2012/6/30

2298:セブン  

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 人は普通特に根拠はないが、好きな数字があるはず。もちろん嫌いな数字もあるはず。私の場合、月並みではあるが「7」が好きな数字である。「7」以外にも「6」と「3」が好きな数字である。

 特に何かしらの根拠があるわけではない。「7」は「ラッキーセブン」と言われているように、一般的に人気の高い数字である。時折「7」をやみくもに並べた車のナンバーなどを街で見かけることもある。

 今日は「7」に絡んだOFF会であった。といっても今日は6月30日。「7」が日程に絡むわけではない。7時7分から始まったOFF会でもない。

 私がGRFさんの小さいほうのリスニングルームに到着したのは夕方の5時ごろであった。その時にはすでにA氏さんとたくみ@深川さんが来られていた。

 今日の主役はアルファベット7文字からなる名前を持つスピーカーである。神秘的で美しい姿のそのスピーカーの名前は「UNICORN」。このGRFさんのお宅のUNICORN、つい最近DDDユニットが新型に交換された。この新型DDDユニット、性能は一段と強化され、帯域も広がっているとのこと。

 この新型DDDユニットを搭載したUNICORNを駆動するパワーアンプは、ローマ字で書くと7文字からなる有名なアンプ製作者が作成したもの。「KOREEDA」アンプである。

 そしてその前段となるプリアンプは、カタカナで書くと7文字からなるメーカー製の新製品。シンプルなデザインの「サウンドパーツ」製のプリアンプは試作機とのこと。

 そして、そのアンプ群に音楽信号を送り込むCDプレーヤーは、MARANTZ CD34。工藤氏により徹底的なモディファイが行われた「羊の皮をかぶった狼」である。その型番の二つの数字を足すと「7」。

 そして、決定的な「7」がもう一つある。それはこの部屋である。畳6畳に板間部分が約1畳の7畳の広さの和室である。

 この決して広いとはいえないリスニングルームに、ユニコーンはコンサートホールを彷彿とさせるオーケストラサウンドを出現させる。

 広々としたエアボリュームが必要条件と思われているオーケストラの空間表現がものの見事に再現されるのである。そしてDDDユニット一発とは思われない重心の低い低域が、ティンパニーの連打を堂々と放出する。

 高域方向への帯域も拡張されているようで、音の伸びやかさがさらにアップしている。鮮度感とリアリティーも1段階突き抜けたようである。

 7段の階段を一つ繋ぎ、二つ繋ぎ、三つ繋ぎしていき5段重ねて、その階段を上って行くと、全く今までとは見える世界の異なるステージに上がっていけるかのように、この「7」の累計システムは、魅惑的な音世界を見せてくれる。

 「その異次元ステージでは、伝説の動物であるユニコーンが、その軽やかな脚取りでトロットしていても全く不思議ではない・・・」そう思わせる雰囲気が溢れていた。

2012/6/29

2297:183号  

 「Stereo Sound」183号の特集記事は「現代パワーアンプのサウンドイメージ」。200万円未満13モデル、200万円以上12モデルの計25モデルの高級パワーアンプが取り上げられている。

 こういった特集記事はある意味定番である。「ありがちな・・・」といった印象で記事を読み始めたが、「あれ・・・」「いいの、これ・・・」「結構本音で書いているような・・・」「ここまで書くと広告来なくなるんじゃない・・・」と途中から興味深くなってきた。

 「これはきっと編集方針というか、記事を書く上での方針のようなものがはっきり変わったはず・・・」そう思った。

 いわゆる「提灯記事」に毛が生えたようなものばかり書いていたのでは、下がる一方の発行部数を維持することはできない、との判断があったのかもしれない。

 印象が良くなかったものはずばりと指摘し、印象が良かったものはしっかりと褒める。随分メリハリのある記事になっていた。

 「総じて繊細な表現力に乏しく、ここでは質より量を優先した大味な音と言わざるを得ない」「音楽としてのダイナミックな盛り上がりとは違って、爆発的な凄さに終わる。またオーケストラのような大編成曲では、表情や音色の幅が狭い印象で、表現の多彩さに欠ける。いったいどうしたのだろう。」

 そういった表現が幾つかのパワーアンプの試聴記事にまぎれているのである。「ここにもある・・・これもそういった表現かな・・・ちょっとオブラードにはくるんではあるが・・・」褒め言葉ではない表現を見つけては、楽しんでいた。

 オーディオ雑誌に載っている試聴記事というものは、紋切り型というか、読んでもほとんど記憶に残らないものが多い。そういった記事ばかりだと、だんだん興味は薄れてきてしまう。今回のようにしっかりとメリハリをつけてもらえると、なんとなく信憑性が高くなるような気がしてくる。

 「今後もこういった方針で記事を書いてほしいな・・・」そう思った。そんなメリハリのある今回の特集記事で、べた褒めされていたのが、FIRST WATT「SIT1」。出力10Wという異例の小出力アンプである。

 ネルソン・パスのプライベートブランドであるFIRST WATTから出た新製品である。見た目は無骨。よく言えばシンプル。

 「大傑作である。」「オーディオ装置で音楽を聴く素晴らしさを再認識させた感動的な音である。」そういった表現が並んでいた。今回の特集記事のなかでは「本当ではないか・・・」といった気にさせるのである。

2012/6/28

2296:90切り  

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 今日は梅雨の中休み、日中は雨が降る心配はなかった。薄曇りの空のもと、久しぶりのラウンドで汗を流した。場所は東京国際カントリークラブ。6月の後半、芝の色合いはとてもしっかりとしてきた。

 もう少し頻度高くゴルフ場に足を運ばなければスコアアップは望めないとは思いつつ、なかなか思うようには回数は増えていない。

 そのせいか、最近はめっきり90を切れなくなってきている。どうにか低迷気味のゴルフを回復基調に乗せるためにも、今日のラウンドは重要である。

 練習場では、ゴルフスクールで鈴木プロから最近教わっている「腕を使わないスウィング」を最近重点的に練習してきた。

 この「腕を使わないスウィング」を実際のラウンドで試してみるのは今日が初めて。飛距離はやや落ちるが方向性が良くなるこのスウィングでどうにか90切りを果たすべく、朝の7時ごろに家を出た。

 ゴルフ場に着いたのは8時15分ごろ。スタートは9時であるので、時間は比較的余裕があった。練習場で30球ほど打って、パター練習場でパター練習・・・そうこうするうちにスタートの時間がきた。

 INコースからのスタート。このゴルフ場はINもOUTも最初のホールは長いミドルホールである。ここは2オンする可能性はほとんどない。3オン2パットのボギーでどうにか切り抜けたいところ。

 しかし、2打目にミスが出て4オンとなってしまった。結局ダブルボギースタート。少々出鼻をくじかれたが、その後は立ち直りパーを連取。後半はミスが出て崩れそうになりながら、どうにか持ちこたえてボギーでしのぐホールが続いた。

 結局前半はダブルボギーが一つのみで済んだ。パーが二つ。あとはボギー。スコアは「44」であった。後半もこの粘り強いプレイで久しぶりの90切りを達成したいところである。

 昼食休憩後、OUTを回った。このゴルフ場はOUTの方がINよりも難しい。ティーグランドに立った時にどうにも違和感を覚えるホールが幾つかある。

 その違和感からか、苦手なホールではやはりダブルボギーが出てしまった。7番ホールまで進んだ段階でダブルボギー二つでパーが一つ。残りはボギーであった。残り二ホールをボギーで回れば「46」。トータルは「90」になる。90切りを達成するためにはどちらかのホールでパーをとる必要がある。

 8番は難しいロングホール。9番は短いミドルホール。9番は十分パーがとれる可能性がある。8番はどうにかボギーで収めることが肝要となる。

 そういった「とらぬ狸のなんとか・・・」が悪かったのか、8番のドライバーショットは左に引っ掛けてしまった。木が邪魔になってセカンドショットは斜めに軽く出すだけ。サードショットを打ってもまだ100ヤードほど残った。

 4打目は少々大きくグリーンの奥のラフへ・・・結局痛恨のダブルボギー。その結果、9番でパーをとっても90切りできない状況に陥ってしまった。少々落胆気味に9番のティーグランドにたった。

 9番は短いミドルホール。距離は290ヤードほどしかない。「上手くいけばバーディーの可能性もある・・・」そう思いなおし、ドライバーを振り切った。

 グリーンめがけボールは勢い良く飛んでいった。ピンまで40ヤードほどのところにボールは止まっていた。

 何度か素振りしてからウェッジを短く持って打ち出したアプローチショットはピンの右手前3メートルほどのところにオンした。

 そして、バーディーパット・・・ボールサイドから見てもピンサイドから見てもほぼ真っすぐなライン・・・腕を使わず、肩の回転だけで打ち出したボールはカップへまっすぐに転がり、そして吸い込まれた。

 起死回生のバーディーである。これで後半は「45」。トータルで「89」となり、ぎりぎり90を切れた。

 「腕を使わないスウィング」を心がけた今日のラウンド・・・全て上手くいったわけではないが、手ごたえを感じた。次回のラウンドもこの作戦で行こう。

2012/6/27

2295:SWISS MADE  

 ORBEA ONIXに乗り始めて1年と2ケ月が経過した。「3年ぐらい乗ったら、また新しいのに乗り替えたいな・・・」そんなことを漠然と思っている。

 「次は何がいいかな・・・」と思いながら、サイクル雑誌を見たりしている。もうすぐツールドフランスが始まるので、雑誌にはツールドフランスで活躍するであろうチームが乗っているロードバイクを特集していたりしている。

 「昨年の覇者で今年の本命であるエバンスが乗るBMCなんて、どうかな・・・」そんなことを思いながらサイクル雑誌の写真を見ていた。

 BMCのフラッグシップは「Impec」。かなり個性的なデザインである。その理詰めで構成された感が満載のデザインと赤と黒を基調としたカラーリングからは、とてつもなく硬派な印象を受ける。

 BMCはスイスのメーカーである。やはりお国柄が出るのか、イタリアやスペインのメーカーに比べ、禁欲的というか、理詰めというか、硬質な印象を受ける。

 ロードバイクの世界では「SWISS MADE」は比較的珍しいが、オーディオ製品の世界においては一大勢力を構成する。

 その代表はGOLDMUND。ステラボックスが取り扱いを止めて、どの輸入代理店が扱うのか注目を集めていたが、トライオードが「GOLDMUND JAPAN」という新会社を立ち上げ、その会社が取り扱うことになったようである。

 GOLDMUNDは、その外観からしていかにも「SWISS MADE」らしい。精緻というか精巧な造形美に溢れている。

 ちょっと冷たいというか、冷静というか、感情に流されない理智的な平静さが、そのデザインの魅力である。

 マーク・レヴィンソンが新たに立ち上げたブランド「ダニエル・ヘルツ」も「SWISS MADE」。その外観からもスイスらしい空気感を感じる。

 「ラテン系のノリとは一味違うBMC・・・なかなか良いなあ・・・でもこの Impec、ネックはその値段であろうか・・・」サイクル雑誌の片隅に明記されたその値段を見て、思わず呟いた。

 そういった呟きが漏れ出てしまうのは、「SWISS MADE」のオーディオ製品と同じである。「SWISS MADE」になると、やはりそれなりのプライスタグが付いてしまうのである。

2012/6/26

2294:A1 Sportback  

 プレミアムコンパクト市場に新たに殴り込みをかけたAudi A1の販売は好調なようである。街中でもその雄姿を時折見かける。

 当初、3ドアハッチバックのみであったモデル構成に、5ドアハッチバックである「Sportback」が新たに加わった。日本市場では5ドアの方が利便性の面から広く受け入れられる可能性が高い。さらに販売台数を増やすことが予想される。

 後席に人を乗せる場合、やはり3ドアハッチバックは不便である。さらに、ちょっとした荷物を置くのにも後部ドアがあると便利である。

 このSportbackのワールドプレミアは2011年の東京モーターショーで行なわれた。このSportbackはもともと日本市場を相当意識したモデルであったのかもしれない。

 A1 Sportbackは、ただドアの枚数を2枚増やしただけのモデルではない。ボディサイズは全長3970×全幅1745×全高1440mmで3ドアモデルと比べると5mmほど全幅が広がっている。

 そして3ドアよりもルーフが80mm以上延長されているため、後席の頭上空間は11mm拡大している。乗車定員も5人乗りとなっている。

 エンジンは1.4Lの直4で、Sトロニックとの組み合わせ。アイドリングストップ機能も備えており、エコカー減税&補助金の対象車である。

 サイズ的には私が乗るVW POLOと競合するが、市場としては若干のずれがある。POLOはコンパクト車市場で、A1はプレミアムコンパクト車市場で戦っている。A1の最大のライバルはMINIである。価格的にも、A1 Sportbackはほぼ300万円に達する。

 エコが叫ばれるこの時代、大きな車は肩身が狭い。小さく燃費が良い車が注目される時代である。小さくても質感が高い車が欲しい、小さくしてもFUN TO DRIVEを捨てたくはないという需要は高まっているはず。そこに、新たに投入されたA1 Sportbackは、実用性も兼ね備えており、きっと人気が出るであろう。

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2012/6/25

2293:グランフォンド  

 「距離は117kmか、それほど長いわけではないな。標高差は1,000mか、これは結構きつそう。どうしようか・・・やっぱりやめておくか・・・いや、ヒルクライムだけというのも今一つ面白みに欠けるような・・・やっぱりエントリーしよう」

 そう心に決めて、「グランフォンド八ヶ岳」のパソコン画面を進めた。RUNNETにはMt.富士ヒルクライムにエントリーする際に事前に登録してあったので、比較的スムースに進む。

 Mt.富士ヒルクライムのように超人気イベントではないので、時間にせっつかれることもない。入力項目を一つ一つ入力していく。乗っている自転車のブランドまで入力する項目もあった。

 全ての項目を入力し終えて、「エントリー」をクリックする。最後に参加費7,500円をクレジットカードで決済して、エントリーは完了した。

 グランフォンド八ヶ岳の日程は10月7日。前日の10月6日が受付日であるので、必然的に1泊2日となる。八ヶ岳周辺はペンションやホテルには事欠かないので、宿泊場所に困ることはないであろう。

 グランフォンド八ヶ岳の公式ホームページには、「八ヶ岳の絶景を望めるビューポイントや木漏れ日溢れる高原ラインなど八ヶ岳ならではのコース設定です。また、南アルプスで富士山を見渡せるビューポイントもあります。標高1,600m以上、標高差1,000mを誇る、日本屈指の山岳グランフォンドです。八ヶ岳南麓では高原ならではの美味をいたるところで味わえます。コース沿いにあるお店に立ち寄ってグルメを味わおう。」と広告されていた。

 タイムを競う競技ではない。自分のペースで走り、周囲の景色を楽しみ、エイドで出される食事をところどころで楽しむ。

 それでも長い上りは当然待ち構えているし、天気だって晴天とは限らない。楽しいばかりでは当然ないはずである。

 ロードバイクのイベントには8月に行われる予定の「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」が初めての参加となる。Mt.富士ヒルクライムはエントリーのしかたが良く分からず、エントリーに結局失敗してしまったのである。

 何かしらもう一つ参加したいと思っていたところ目に留まったのが「グランフォンド八ヶ岳」であった。

 「日本屈指の山岳グランフォンドか・・・そそられる謳い文句だな・・・」グランフォンドはイタリア語で「長い距離を移動する」という意味であるらしい。

 約120kmの距離はそれなりに長い。ずっと平坦であればたいしたことはないが、八ヶ岳の周囲を走るので当然高低差は相当ある。

 これで、参加予定のイベントは二つとなった。こういったイベントに参加することは、当然モチベーションのアップにもつながる。エントリーが完了したので、今日は涼しい夜の空気の中「夜練」にでも出かけよう。

2012/6/24

2292:上り返し  

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 相模湖の湖面が見えた。その色合いは以前来た時と随分と違っていた。色が茶色なのである。さらに流木などが大量に湖面の上に浮かんでいた。

 先日の台風4号の影響である。大量の土砂と流木が相模湖に流れ込んできたようであった。相模湖までは片道50kmほど。往復でちょうど100kmほどの距離である。

 いつものように集合場所のバイクルプラザから隊列を組んで、五日市街道から八王子方面へ向かった。甲州街道を少し進み、浅川に沿った道を北上。高尾山を横目に見ながら圏央道を過ぎると、東京都と神奈川県を繋ぐ大垂水峠にさしかかる。

 峠の上りは4kmほどであろうか・・・厳しい斜度ではないが、緩やかでもない。それなりに体には負荷がかかる。上り終えて下り始めると、道は何度が大きくカーブする。

 そしてしばらくすると相模湖に辿りつくのである。相模湖に行った場合、通常は津久井湖へ抜けて町田方面を通って帰ることが多いが、今日は下ってきた大垂水峠を逆から上る予定である。下りながら、「今度はこの道を息せき切って上るのか・・・」そんなことを思いながら下った。

 2週間ぶりのバイクルプラザR.T.のロングライドは、大半が曇り空の下であった。しかし、午後になると時折晴れ間が出て、気温を押し上げた。

 それでも晴天というわけではないので、体的にはとても楽であった。梅雨明け後は一気に夏に突入して、昨年同様灼熱の空気の中でのロングライドになるであろう。比較的快適なこの時期のロングライドは貴重である。

 曇天の相模湖は閑散としていた。人がほとんどいない。湖を巡る遊覧船の乗客も数えるほど・・・クジラを模した遊覧船が時折あげる潮も心なしか寂しげであった。

 復路は上り返しで始まる。大垂水峠を神奈川県側から上るのは初めて。こちらからも逆側同様それほど厳しいわけではないが、緩いというわけでもない。やはりそれなりに負荷がかかる上りである。しかも上り返しなので、脚があまり残っていない。

 それでも、それほどだれることなく上りきることができた。どうしようもない貧脚も少しは根性がついてきたようである。もちろんスピードはたいしたことはないのであるが・・・

 大垂水峠をやり過ごしてしまえば、帰りはスムースであった。五日市街道から立川通りに入るところで、チームから離れ単独で自宅へ向かった。ここからぐんとスピードアップ。40kmほどのスピードで平坦な道を疾駆した。

 今日は比較的気温が低めに推移したからであろうか。家にたどり着いた時、それほどの疲労感はなかった。シャワーを浴びて、さっぱりした。時間は2時半。その後は家族サービス・・・新宿まで出て、ショッピングと食事・・・さすがに帰りの電車の中ではあくび連発であった。

2012/6/23

2291:蕎 ふるやま  

 OFF会の後に訪れた「蕎 ふるやま」の中の照明は、穏やかな色合いであった。A氏さんとNaruさんは日本酒を、私はお茶を飲みながら、美味なる料理を食した。

 「鴨ロース」「そば味噌」「野菜のビール漬け」「卵焼き」・・・そのいずれもが逸品と言いたいほどに、練られ、丁寧に造りこまれていた。

 なかでも新鮮であったのは「野菜のビール漬け」・・・これは美味しい。はじめての味わい感である。「これならいくらでもいける・・・」思わずそう独り言を言った。

 当然締めは蕎麦である。「ぶっかけ蕎麦」を頼んだ。野趣溢れるそばであるが、そこはふるやま流、上品さと気品を兼ね備えている。

 今日は、A氏さんのお宅を訪問した。A氏さんは、TANNOY GRFをお使いである。以前はA氏さんのお宅のGRFを目にすると、まずはその立派な躯体に感心した。

 「やっぱり、TANNOYはGRFぐらいどっしりしていた方が良いな・・・」とその都度思っていたのであるが、今日はGRFの大きさを感じることが以前ほどなかった。

 わが家の狭いリオスニングルームには、今QUAD ESL989が鎮座している。このスピーカー、厚みはないが横幅のそれなりにあり、さらに高さが130cmもある。正面から見た面積は結構あるのである。

 そのQUAD989を毎日目の当たりにしていたので、GRFの大きさを以前ほど感じなくなったようであった。

 A氏さんのリスニングルームの広さは10畳ほどであろうか、我が家よりも1周りほど大きい。部屋は縦長使いである。ル・コルビジェがデザインしたお洒落なソファに腰をかけると、レストランでのコース料理のように、美味しい音楽が順序よく出てくる。ここではシェフのお任せコースを頼むのが常道である。

 まず一皿目は、TELLEFSENのグリーグ・ヴァイオリンソナタである。澄んだ空気感を伴うヴァイオリンの音色が実に気持良い。

 2皿目は、JURIUS BERGERのブルッフ。むせび泣くような、豊饒な響きのチェロは驚きの味合いである。だしの味わいがたっぷりと包み込まれた卵焼きのように、まろやかな耳触りは快感である。

 3皿目はADELE STOLTEのソプラノ。その伸びやかかな響きは慎ましく気品に溢れている。清澄なその音楽性はまっすぐ伸びた若木のように爽やかな生命感に溢れている。

 4皿目はIGOR OISTRAKH。偉大な父をもつこのヴァイオリニストの音は魔性の魅力を持っている。魔性の響きとでも言いたいほどに変幻自在に滑らかなで切れのある音を放出する。思わず口あんぐり状態へトランスする。

 締めは蕎麦である。SUSI LAUTENBACHERのクロイツェル・ソナタ。これは絶品である。野趣あふれながら気品がしっかりとある。お腹の中にすっぽりと収まる。そして、しっかりとした質量がありながら重くならないその腹具合に、すっかり満足する。

 A氏さんのお宅では、お任せが一番。旬の素材を使い丁寧に造りこまれた音楽がタイミングよくGRFから放たれる。その芸術性の高い味わいには「さすが・・・」と唸る。今日はA氏邸で耳と心を満たし、「蕎 ふるやま」で舌とお腹を満たした一日であった。

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2012/6/22

2290:50:50  

 「このブログのフィクション比率は40%ほどである」という記事を以前書いた記憶がある。しかし、最近はその比率が徐々に上がってきているようである。

 今では、フィクション比率は50%ほどになっているのであろうか・・・ということは半分は「作り話」ということになる。

 実際にあったこと:悪ふざけ気味の妄想=50:50という図式が成り立つのである。相当いい加減なものではあるが、半分づつというのは何かしら割り切りが良いような、ちょうどバランスがとれているような、そんな気もするのである。

 「50:50」で連想するのはやはりBMWである。BMWは前後の重量配分が「50:50」になるように常に努力するメーカーである。そのことに対するこだわりはエンジンの設置方法などを見ても相当に根強いものを感じさせる。

 2年前まで乗っていたBMW 735iは相当に大きなセダンであったが、そのハンドリングは気持が良かった。ラグジュアリーサルーンである7シリーズであっても、その前後重量配分はほぼ「50:50」であった。

 この前後重量配分「50:50」は、素直なコーナリングに資するというのがBMWの主張である。FRであること、前後の重量配分が均等であること、そのことが素晴らしいハンドリングを生む、とのことである。そのために生産コストは上がってしまうが、それがこのブランドの「売り」のひとつである。

 では、前後重量配分「50:50」はBMWの専売特許かというと、そういうわけでもないようである。意図する、意図しないは別にしてなんとなく「50:50」になったというケースもある。

 今乗っているMercedes-Benz E350 BLUETEC STATIONWAGONの車検証に記載された前軸重は990kg、後軸重は970kgである。ということは、この車の前後の重量配分は「50.5:49.5」ということになる。

 まあ、大まかに言って「50:50」である。これはワゴンボディーでセダンよりも後方に重量がかかるために、たまたまそうなったのであろう。

 しかし、それを発見して私は何故だか嬉しくなった。「なんだか、この車、ハンドリングが素直だ・・・」そんなこととを思うようになったのである。

 前後重量配分が「50:50」だからと言って、その恩恵を実感するには、相当な速度域でコーナーを駆け抜けないといけないので、普段乗りでその恩恵に浴すことはほとんどないはずであるが、そんな気分になれるから、気は持ちようである。

 なので、このブログのフィクション比率が50%になったことは喜ばしいことではないかと、全く勝手ながら、そう思っているのである。

2012/6/21

2289:封印  

 台風4号による猛烈な雨風を避けるために、昭和の森ゴルフ練習場の休憩コーナーで過ごした時間は40分ほどであった。

 その間、先日Nさんを含め3名でロードバイクで出かけた時のことや、最近のゴルフのラウンドの話などで時間をやり過ごしていた。

 そして、少しそういった話題が途切れた時に、気になっていたことがふと私の口をついて出た。
 
 「御主人は、その後どうですか・・・変わりましたか・・・例の女性とのことはきれいさっぱりと清算したのでしょうか・・・」

 彼女はちょっと困ったように視線を窓の外の雨の様子に移してから、

 「良く分からないのです・・・変わったと言えば変わったような・・・変わらないと言えば変わらないような・・・関係は清算したと言っていますが・・・本当かどうかは確かめようがなくて・・・」

 「そうですか・・・」

 私も彼女の視線につられて、外の様子を窺うように、窓の方へ視線を移動した。風は相変わらず強いようであるが、雨は先ほどよりも弱くなってきていた。窓に打ちつけるような雨の襲来はなくなってきていた。

 「雨が少し弱くなってきたようですね・・・風はまだ強いようですが・・・これならもうそろそろ大丈夫かもしれませんね・・・」

 私はそう言って、腕時計を確認した。時計の針はもうすぐ9時を指そうとしていた。台風が運んできたと思われる、生暖かい空気が二人の周囲を覆っていた。 
 
 「封印を解きませんか?」

 私が独り言のようにそうつぶやくと、彼女は私の方に視線を移した。その視線にはじっとりとしたなにかしら形容しがたい要素が含まれていた。

 それは非難でもなく、承認でもなく、諦めでもなく、ましてや憧憬でもない。形容しがたい感情の重なりのようなものが襞をなしていた。

 「封印・・・面白いですね、その表現・・・」

 彼女は少し微笑んだ。それはアルコールに弱い女性が少量のアルコールを口にした時に見せる溶けていく緊張感のように、ゆっくりと染み出してくるような頬笑みであった。

 私は、その彼女の言葉は、肯定の意味に捉えた。

 「雨がだいぶ弱まりましたね・・・もう大丈夫そうですよ。また強くなるといけないから、そろそろ行きましょうか・・・」

 私はそう言って、アイスコーヒーが入っていた紙コップを片付けた。キャディーバッグを肩に担いで二人は足早にそれぞれの車に向かった。



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