2012/5/31

2268:暖気運転  

 QUAD989は良いスピーカーである。唯一欠点をあげるとしたら、寝起きが悪いことであろうか。QUADのアンプに電源を入れて、レコードプレーヤーかCDプレーヤーから音楽信号を送り込む。

 すると最初の30分ほどは、今一つぱっとしないのである。30分を経過して徐々にその本領を発揮し始める。そして1時間以上経つと、まろやかさがさらに増してくるのである。

 これは、QUAD989が巨体を有するからであろうか・・・広大な面積をもつパネルが音をしっかりとこなし始めるには、それなりの時間の経過が要求されるのであろうか。

 それとも使っているアンプ、QUAD22・QUADUの真空管がその熱量の放出を高めるに従って、その音の放流がより上質になり、その質感の違いをQUAD989は如実に表現するからであろうか。

 あるいは、カートリッジ、Benz-Micro RUBYの針先が十分に温まり、レコードの溝を滑らかになぞるには、多少の辛抱強さを要求されるからか・・・

 まあ、いずれにしても助走時間が必要なのである。ある程度、本領を発揮してくると、時間が経過するほど、ESLらしい幽玄さを発揮してくる。

 音出しはじめと1時間以上経過してからとでは、音楽の聴こえ方がずいぶんと違ってくる。ある意味個性的な音の表出であるが、その味わいが好きな者にとっては、やみつきとなる。

 これに対処する方法として、実際に音楽を聴く前に慣らし運転をしておくというものがある。冬場の車のエンジンではないが、乗り込む前にエンジンを始動しておき、エアコンもかけておくのである。すると車に乗り込んだ時には暖かく、エンジンフィールも滑らかである。

 今晩はその方法を使ってみた。家に帰り着き、すぐさまリスニングルームへ向かった。QUAD22の電源をONにする。パイロットランプにオレンジ色の灯りがともり、QUADUの合計10本の真空管に電流が流れ始めたことを示す静かな音がふわっと広がる。

 そしてCDプレーヤーから音情報を送り込むのである。ボリュームは小さめにしておき、CDプレーヤーのリモコンのREPEATボタンを押しておく。

 そしてゆっくりと家族と食事をする。その後、たっぷりと温まったアンプや、パネルがほぐれたQUAD989の音の具合を楽しむのである。

 時代の流れは早い。こういった多少手がかかるが、ゆったり感のある装置は時代遅れかもしれない。しかも、節電が謳われている昨今、時代に逆行していると揶揄される可能性は高い。

 しかし、こんなささやかな抵抗であれば、多少の逆行であったとしても、大目に見てもらえるのではと、期待しているのである。

2012/5/30

2267:直線イメージ  

 「taoさんのお知り合いの方がシュミレーションゴルフのショップをされていると話されていたでしょう・・・今度の週末に、Nさんも一緒に3人で行きませんか・・・」

 「寧々ちゃん」は、少し紅潮した頬をタオルで押さえながら、話した。

 「もちろん、いいですよ・・・あそこはVIPルームがあるんですよ。VIPルームは個室になっていて、ソファも置いてあるんです。なかなか雰囲気が良くて楽しいですよ・・・いろんな名門コースから選択して、実際にラウンドしているような感覚を味わえます。Sさんはどうしますか?」

 「Sさんはまだ腰が悪いようですよ・・・ゴルフは当分無理ってこの前会ったときに言ってました・・・」Nさんが答えた。

 「そうですか・・・じゃあ日程と時間を決めましょう・・・今度の土曜日にしますか?何時頃に待ち合わせます?昼を食べてからにしますか・・・じゃあ、2時ごろの待ち合わせにしますか・・・」

 「寧々ちゃん」と二人でスイングアリーナに行ったのは、ずいぶんと前のことになる。VIPルームでのシュミレーションゴルフはとても楽しかった。

 もちろんNさんの前では二人っきりで行ったということは内緒にしておく必要がある。週末はVIPルームが埋まっている可能性があるので、大山さんに連絡を取って押さえておいてもらおう。

 「今年中に100を切るのが目標んなんです・・・」

 「寧々ちゃん」は話のなかでそう言った。彼女はまだ一度も100を切ったことがない。ベストスコアは103である。ゴルフを始めてもう5年ほどになるようであるが、あと一歩のところで100切りができていないのである。

 「あ、そうそう・・・この本読んでみますか?この本に出会ってなんとなく100を切れるような気がしてきたんです・・・とてもシンプルで分かりやすいゴルフスイングの理論なんです。ああでもない、こうでもないといった感じで迷っていたことがすっきりとするんです。」

 そう言って彼女はバッグから一冊の本を取り出して、渡してくれた。

 「Nさんも読んで良かったって言ってました・・・」

 「結構目から鱗って感じのことがいっぱい書いてありますよ・・・」Nさんもお勧めのようである。

 本のタイトルは「スイングイメージは直線」である。著者の名前は中井学。ゴルフスイングはクラブヘッドの動きを見ると円運動であるが、その動きを作るために体を回す必要はない、体の重心を右から左に直線的に移動するだけで、ゴルフスイングは完結する・・・その独創的であるが理にかなっていて、きわめてシンプルな理論が分かりやすく書かれている、とのことである。

 「え、そうなんですか・・・」二人の話を聞きながら、その理論にとても興味を持った。「シンプルイズベストな理論ですね・・・よく読んでみます。」

 「じゃあ、こんどの土曜日にまた会いましょう・・・それまでにこの本を読み切って、シュミレーションゴルフで活用してみます・・・」

 そう言って、二人と別れた。期せずして、手元にはとあるゴルフ理論の本がある。「もしかしたら、低迷する私のゴルフスコアにとって、大きな光明になってくれるかも・・・」その大きくもないサイズの本がなんとなく、頼もしく見えた。

2012/5/29

2266:左手の親指  

 今日の天気予報は夕方から夜にかけて雨、しかも雷を伴って強く降る可能性があるとのことであった。最近、この手の予報が多い。そして予報通りになることも多い。

 昨日も昼を過ぎて2時ごろであったであろうか、空が急に暗くなり、雷鳴がなったと思ったら、土砂降りの雨が襲ってきた。短時間で止んだが、大気の具合が不安定な日々が続いているようである。

 今晩は7時からゴルフスクールである。ゴルフ練習場は屋根があるので、土砂降りでない限り濡れることはない。しかし、できれば雨は降らない方が良い。

 昭和の森ゴルフ練習場に7時少し前に着いた時、雨はほとんど降っていなかった。若干ぽつぽ
つときてはいたが、本当に小雨であり、気になるほどのことはなかった。

 空にかかる雲もところどころ切れていて「これなら大丈夫そうだ・・・」とほっとした。打席に着いた時には、既に4名のスクール生が来ていた。

 「寧々ちゃん」もNさんも来ていた。笑顔で挨拶を交わし、打席にキャディーバッグを降ろした。7時になり、鈴木プロが顔を見せたときには、私を含め6名のスクール生が打席で素振りをしていた。

 「今日はテイクバック軌道についてのレッスンを前半にします。後方から見てください・・・今日気を付けるポイントはクラブヘッドが手の軌道よりも常に外を通ることを意識するということです。アマチュアの多くはインサイドに引きすぎる傾向があり、それがスウィングを乱す要因になっています・・・・」

 鈴木プロは、スクール生を後方に立たせて、手の軌道とクラブヘッドの軌道を示しながら、注意点を説明した。

 「そう言われてみれば、確かに内側に引きすぎているような気がする。手の軌道よりもクラブヘッドが常に外か・・・そうするとかなり外側にあげていくような意識を持つ必要があるな・・・」

 そんなことを考えながら、テイクバックの練習を繰り返した。鈴木プロがよく言う言葉に「テイクバックが上手くいけば、スウィングの6割は上手くいったようなものです」というものがある。

 つまりボールを実際に打つダウンスウィングよりもテイクバックの方がスウィングの成否を決める比率が高いということである。

 打席の後ろには大きな窓がある。夜はそれに自分のスウィングが映る。その後方から見たスウィングをゆっくり確認しながら、テイクバックの練習をしばらく行った。

 その後、今日のワンポントレッスンを参考にしながら、実際にボールを打ってみた。全て上手くいくわけではないが、感触は良かった。

 テイクバックにおいてクラブへッドを引いていく軌道を意識することは重要なようである。鈴木プロは「その際、もうひとつ意識するポイントは、左手の親指です。左手の親指を斜め上に上げていき、手が腰の高さに来たところからは、その親指を真上に上げていくような意識を持てばクラブヘッドが手の軌道よりも内側に入ってくることは少なくなります・・・」ともアドバイスしてくれた。

 「左手の親指か・・・今まで意識したことがなったな・・・手が腰まで来たら親指を真上に上げるか・・・」そう心のなかで呟きながら、スウィングすると、持ち球とは違うフェード系のボールが出る。

 「フェードの方がリスクも少ないし、スコアの安定には良いかも・・・」高く打ちだされたボールが落ち際で右に曲がって行く軌道を目で追いながら、そんなことを考えた。

 スクールが終わって、いつものように休憩コーナーでスポーツドリンクを飲みながら「寧々ちゃん」とNさんと3人で少しの時間談笑した。

 「そうそう、taoさんに頼もうと思っていたことがあったんです・・・」「寧々ちゃん」は何気に思い出したように言った。

 「えっ・・・何ですか・・・」彼女の何気ない様子に合わせるかのように、私も軽めのトーンで答えた。

2012/5/28

2265:早朝リスニング  

 全仏オープンテニスが開幕した。まだ始まったばかりで、WOWOWでの試合中継もまだ1回戦である。9時過ぎに帰宅すると、ちょうどジョコビッチの試合を放送していたので、テレビの前のソファに座り、その試合中継を観た。

 男子テニス界は、現在ビッグフォーを呼ばれる4人の選手が引っ張っている。ジョコビッチ、ナダル、フェデラー、マレーの4人の選手が、他の選手よりも頭一つ二つ抜きでた実力を有していて、グランドスラムの決勝はほとんどこの4人にうち2人によって争われる。

 その中でも昨年全仏オープン以外のグランドスラムを征したジョコビッチは、実力がNo.1である。その世界ランキングNo.1のジョコビッチの1回戦であったので、仕上がり具合がどうかと思って観たのである。

 第1セットは、想像以上に接戦であった。ジョコビッチの強力なストロークが時折相手コートに炸裂するが、スペインのベテランであるスタラーチェはクレーコートのスペシャリストらしい上手い試合運びで、ジョコビッチを苦しめていた。

 全仏オープンはレッドクレーと呼ばれるレンガを砕いた粉を使ったクレーコートで行われる。球足が比較的遅いコートなので、1ポイントが決まるのに時間がかかることが多い。何本ものラリーの末、ポイントが決まるのである。

 球足の速い芝のコートで行われるウィンブルドンのようにサーブのみでゲームが終わってしまうというようなことはまずない。

 このような全仏オープンでは、ナダルのようにトップスピンで粘り強く戦う選手が勝ち残ることが多い。ハードコートを得意としているジョコビッチにとって、このサーフェスはあまり好きなものではないのであろう。

 第1セットが終盤に入ったころから、私はついうとうとし始めてしまった。試合は接戦であったので面白かったのであるが、1ポイントが長く、試合時間が延びるに従って、体の疲れからか、執拗な睡魔が襲ってきたのである。

 何度か船を漕いでは、はっと眼ざめ、頭を横に2度3度振る。そんな様子を見ていた娘に「お父さん、もう寝たら・・・」と言われてしまった。

 「これはもちそうにない・・・」と思い、2階の寝室へ向かった。平日に仕事を終えて、家に帰り着くとそれなりに体は疲労している。

 今日は昨日のロングライドの疲労も残っている。そんな状態でテレビを観ていると、結構眠くなってくる。

 テレビではなく、リスニングルームに入り、オーディオを聴いたならどうなるか・・・睡魔の威力は2倍になって襲ってくる。

 CDであればまだいいのであるが、アナログの場合には、リスニングルームで眠りこけてしまうと、針を痛める危険性もある。

 「今日は疲れているな・・・」という時はリスニングルームには入らない。そういう日は早めにベッドに入り、朝早く起きる。そして、早朝にリスニングルームに入るのである。

 我が家のリスニングルームは東側に窓がある。スピーカーの後方である。音楽を聴きながら朝日を感じる。朝日には心をリフレッシュする効果があるような気がする。音楽との相乗効果で心は生き返り始めるのである。

2012/5/27

2264:不調  

 先週のMt.富士ヒルクライムの事前走行会の疲れが完全にとれていないからであろうか、あるいは昨日の那須往復400km超の車の運転疲れからか、あるいは25度を超える気温のせいか、今日のロングライドは序盤から体が重い。体にキレがなく足が回らない。

 今日の目的地は山伏峠。往復でちょうど100kmほどの距離。1週間後にMt.富士ヒルクライム本番を控えているせいか、いつもより多く12名の参加があった。

 「体が重いな・・・」少々気分がさえないまま、山伏峠の上り口までどうにか辿りついた。ここは練習用に最適なのか、バイクルプラザR.T.意外にも多くのサイクリストがこの上り口で休憩した後、山伏峠を上がっていった。

 「今日は体調が良くない・・・こういう時にあまり無理をすると、辛い目にあうはず・・・序盤から抑えめに上がろう・・・」

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 上り始めは緩やかであるが、徐々に斜度はきつくなってくる。その後は緩くなったりきつくなったりを繰り返す。距離は4kmちょっと。

 「やっぱり、どうにも足が重い・・・」もともとヒルクライムは遅い方なのに、体調がいま一つで、ペースは全く上がらず、ずるずる落ちていってしまう。

 結局、相当なスローペースで上がり終えた。タイムは20分50秒。前回のタイムよりも2分近く遅い。「この歳だし、体調が悪い時には無理は禁物である・・・」自分に言い聞かせるが、あまりに遅いタイムに少々落胆した。

 峠の頂上で恒例の記念撮影を済ませ、下り始めた。半分くらい下ったところで、上ってきたオートバイの一団とすれ違った。下りのときにはスピードが出すぎるとカーブで膨らんでしまうので、オートバイとすれ違う時には気を付ける必要がある。ぶつかると怪我をするのはこちらである。

 すれ違って少し行くとチームメンバーが数名止まっていた。「落車か・・・パンクか・・・」そう思いながら近づくと、メンバーの一人のレーサーパンツの一部が破れ、擦り傷の痕跡が、腕にも傷が・・・オートバイとすれ違う際、避けようとしてタイヤがロックしたようである。

 擦り傷は負ったが、幸い大きな怪我ではなくて済んだ。「下りはスピードが出る。緊張感をもって下らないと・・・」改めて、気持を引き締めた。

 帰り道は下り基調であるが「山王峠」と「笹荷田峠」が待っている。どちらも小さな峠であり、上る距離も短い。しかし、疲れ切った体にはやはり堪える。

 どうにかその二つの小さな峠をやり過ごし、家に辿りついた。シャワーを浴びて汗を洗い流し、ベッドに倒れ込んだ。そのまま数時間、無意識の奥底の旅に出かけた。

2012/5/26

2263:T3  

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 那須の風は心地良い涼しさであった。天気は良く、ウッドデッキでバーベキューをするのに最適な天候であった。

 今日は那須にあるサウンドデザインの試聴室で、オーディオ仲間が多数集まってのバーベキューパーティーに参加した。

 チューバホーンさんのお宅に朝の9時半に集まり、A氏さん、Shuksさん、seiboさんも加わって5名で那須に向かった。

 心配された渋滞もほとんどなく2時間ちょっとで到着。到着したときには、既におおかたの参加者が来られていた。

 早速、ビールやウーロン茶を飲みながら、バーベキューを楽しんだ。参加者の顔ぶれは様々・・・オーディオを趣味としているという共通点はあるが、年齢も職業も千差万別である。

 試聴室内では、PSD T3をSD05で駆動していた。送り出しはPCが使われていた。しかし、美味しいバーベキューにアルコール、そして尽きない話題に花が咲き、試聴室は比較的閑散としていた。

 私は斑目さんとのロードバイクについての話に時間を忘れ、Sさんとはゴルフのスウィング理論に関する話で盛り上がった。ほとんどオーディオに関する話は結果としてしなかった。

 楽しい時間は早く過ぎ去ってしまうもの・・・気付くと、帰宅すべき時間が迫ってきていた。「このまま帰ったら、バーべキューパーティーにのみに参加しただけで、終わってしまう。オーディオイベントでもあるので、少しは聴いたほうが良いか・・・」と思い、試聴室に入った。

 ログハウスの内部は気持が良いもの。木の優しい肌合いが目に馴染む。PSDのスピーカーのキャビネットの色合いは、このログハウスの雰囲気にぴったり。いろんなものが調和して、時間の流れは、ゆったりと感じられる。

 PCオーディオに関しては、まったくと言っていいほど知識も経験もない私は、試聴室に置かれたノートパソコンや様々な機器から、どのようにして音が出てくるのか全く分からなかった。

 ここ2日ほど、QUAD ESL989を目の当たりにしてきた私の目には、PSD T3がとてもコンパクトに見えた。そのT3は以前と同じように、整然とした音を放っていた。

 振り返ってみるとオーディオを趣味とするようになって6年の時間が経過した。その時間の経過のなかでSD05とPSD T3とも出会った。そしてどのような流れからか、QUADに辿りついていった。久しぶりにPSD T3の姿を目にして、短いながらも私のオーディオ歴にもそれなりの歴史があったな・・・と少々懐かしくその音をひと時の間愛でた。

2012/5/25

2262:浸透力  

 QUAD989は、リスニングルームのなかを優雅に泳ぐ熱帯魚のように、ゆっくりとその位置を変えた。背面の壁との距離は当初想定して距離よりもはるかに短いエリアを好んで泳いだ。

 二つの989の距離は絶え間なく変わった。ある時は近づき、ある時は離れた。しかし、時間の経過とともにおおむねセンター間で2m05cmほどのところでホバリングするようにその位置を定め始めた。

 狭い部屋なのでこの配置だと部屋の横幅をほぼ使い切るような形となる。内振りは若干の角度、10度程であろうか、がつけられ、わずかにこちらに視線を向けてくる。

 これがベストとは言い切れない。今後時間をかけて調整すべき項目であり、たった2日で結論を出すべきものではないのであろう。

 この配置であると、ESL独特の漂うような空間表現は出てくる。直線的な音の矢は飛んでこないので、ジャンルによっては向いていないものも当然ある。

 しかし、私のメインジャンルであるバロック音楽の場合、聴き心地が良い音の出方である。クラシックを聴いているかぎりにおいては帯域の不足感は感じられない。

 次は足元の調整である。床とスピーカーベースとの間に幾つかのインシュレーターを挟んでみた。金属系のもの、木質系のもの、幾つか試したところ黒檀の小さめのウッドブロックの印象が一番良かった。

 これも聴くジャンルによって向き不向きがあるように感じられた。金属系はジャズ・ロック・ポップスの場合強みを発揮する。音の際立ちがしっかりとして気持良いのである。

 木質系は音をマイルドにまとめ上げる。木質系でも黒檀のように比較的硬いものの場合、多少音をすっきりとさせて、バランスがとれているように感じられた。

 次にボードを活用するかどうかである。Chatsworthのセッティングの場合、カエデの集成材のボードを活用していた。

 今回もそれを使用するか否か・・・床とスピーカーの間にカエデボードを入れ、さらにボードとスピーカーベースの間に黒檀のウッドブロックを挟む。

 この状態で何曲か聴いた。「滲むというか、響くというか、画家が色を入れた後指でなぞってその色をぼやかすような感じで、音の余韻が伸びる・・・」

 これは一長一短あるが、バロック音楽の場合、ボードを入れた方が雰囲気が出る。オンマイクで録るジャンルの場合には向いていないかもしれないが、オフマイクで録るソフトの場合には相性が良いと感じられた。

 これで、おおむねのセッティングは決まった。もちろん様々な愛聴盤を聴いていくうちにスピーカーの位置は微妙に変化していくであろうし、足元を飾るアクセサリーも変更される可能性は大きい。

 しかし、今の段階ではこのセッティングでまずまずの線が出ているような気がする。ESLはおおむね部屋との協調関係がとれる位置を探りあてれば、それほど神経質なスピーカーではないのかもしれない。

 989の音はESLらしく伸びやかである。漂うようでいてよく聴くと細かな音情報も出ている。細密画的な音の表示は決してしない。微細な克明ではなく全体の俯瞰がしっかりと呈示される。その大きさゆえか低域に関しても不足感を感じることは全くない。もちろん不得手なジャンルは存在するが、私がメインで聴くジャンルに限って言えば、とても得意としているようである。

 私がもっとも数多く聴く曲の一つであるPergolesi「Stabat Mater」がとても心に沁み入る感じで、耳に入ってくる。「このスピーカー、浸透力があるな・・・」そんな言葉が自然と漏れ出てしまう。

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2012/5/24

2261:巴投げ  

 QUAD988と989の中古を探してみると、989のみ二つ見つかった。一つはVintage仕様。もう一つはBlack仕様である。

 Vintage仕様の方が優雅で好みではあったが、価格差が20万円。これではBlack仕様を選択した方が賢明というものであろう。価格は648,000円。現在の新品定価からするとリーズナブルに感じられた。

 ショップに電話で確認にしたところ、ユニットは全てロッキーインターナショナルで交換してもらったとのこと。ワンオーナー品で傷はない。「それなら安心かも・・・」ということで即決。

 そのQUAD989が昨日我が家に届いた。昨晩、箱から出して、リスニングルームに移動した。電源コードを接続しベース部の背面にある電源スイッチをONにした。

 「しばらく鳴らしていない場合には5時間以上通電してから鳴らしてください」と取り扱い説明書に書かれていたので、昨日は音出しはしなかった。 

 今晩はQUAD989の位置を調整しながら音出しすることにした。QUAD989は、背後の壁からは1mほど離した位置に置いてみた。背後の空間を十分に確保した方がコンデンサー型スピーカーにとっては良い、というのが定説であるからである。

 スピーカーの間隔はセンター・センターで2mほどに。ほんの若干内振り角度を付けた。この狭いリスニングルームではリスニングポイントとスピーカー位置とは結構近い。背が高いスピーカーであるので少々威圧感がある。

 「とりあえず、この辺で良いか・・・」という感じで置いてみた。コンデンサー型スピーカーは部屋との位置関係が大きくその音質に影響を与える。とりあえずの位置で嵌まることはまずない。「きっと思いっきりはずすだろうな・・・最初は・・・そんな雰囲気がプンプンする」

 「こいつ、巴投げをくらわす気だな・・・」そう思いながら、アンプの電源を入れて、CDプレーヤーのトレイにCDをセットした。そしてリモコンスイッチを押した。

 まずは、ベートーベンのピアノ協奏曲第3番第1楽章。「音がすかすかだ・・・しばらく鳴らしていないユニットがほぐれずに強張っているのかも・・・部屋との協調関係も薄いような・・・」

 スピーカーと後ろの壁との距離は1mほど・・・「空間が十分あった方が良い・・・とは思ったが、少し量感が足りないような気がする・・・もう少し壁に近づけよう・・・」

 スピーカー位置を調整し、曲を聴く。さらに調整して曲を聴く。そんなことを繰り返していくと、スピーカーは徐々に後ろの壁に近づいていった。結局後ろの壁から50cmほどまで後退した。

 部屋との関係が改善されたせいであろうか、ユニットがこなれてきたのか、真空管アンプが十分に温まってきたからであろうか、あるいはそれらの要素が複合したのであろうか、音に勢いと厚みが加わってきた。

 明日は、さらにその位置を調整をして、そのうえで現在床にべた置きであるスピーカーの足元をどうするか、といったことを詰めていく必要があるであろう。

2012/5/23

2260:漆黒の双璧  

 昨日は冬で、今日は夏であった。四季のはっきりしている日本であるが、一日違いで大きく季節が変わることが最近多いのは、やはり異常気象の現れなのであろうか・・・

 太陽からの熱を屋根が吸収して車のなかは暑かった。窓を開けて走っているだけではどうしても暑く、結局エアコンのスイッチをONにした。

 今日の午後、車で顧問先の会社に向かっている途中で、自宅から携帯に連絡が入った。「ものすごく大きな箱が二つ届いているけど、どうするの・・・」妻のいぶかしそうな声であった。

 「あっ・・・あれか・・・もう届いたのか・・・でもそんなに大きな箱なのであろうか・・・」と心のなかで思った。

 「とりあえず玄関に置いておいてもらって。着払いのはずだから、払っておいてね・・・」そう答えて、電話を切った。

 ひととおり仕事を済ませた後、家にたどり着いた。車を駐車場に停めて、家の玄関を開けると、その大きな物体は、二つ肩を寄せ合うようにして置かれていた。

 確かに大きい。その箱の中に入っている物体は重量はそれほど重くないはずであるが、まずは背が高い。そして横幅もそれなりにある。

 箱に入れるに当たっては、発泡スチロールで四つ角をしっかりと支え、そのうえで段ボールに入れるので、その箱の容積はそれなりに巨大になってしまう。

 その大きさを間近に見て「想像以上に大きいな・・・失敗であったであろうか・・・この大きさは少し持て余してしまうかもしれない・・・」そう思った。

 その大きさに多少怯んだが、「とりあえず開梱して、中身を確認しなければ・・・」と思い直して、カッターで段ボールを留めているビニールテープを切り開いた。

 そして、四隅を固定している発泡スチロールのいくつかを取り除き、その中の物体を箱から引きずり出した。

 一つが澄んだら、もう一つにとりかかる。ようやく2つの物体はその全容をさらした。これらの物体を覆っていた巨大な段ボールは一旦玄関から家の外へ出された。「これだけ大きいと裏庭の物置しか収納場所はないであろう・・・明日の朝にでも放り込んでおこう・・・」そう思った。

 二つの物体の色は漆黒である。飾りっ気のない色合いが、男性的である。それが二つ正面を向いて並ぶと「漆黒の双璧」と呼びたいような威容を誇る。

 高さは1335mmある。横幅は670mm。しかし、重量は23.5kgと軽量である。少々持ちづらいがひとりで運ぶことは十分可能な重さである。

 腰をかがめ、両手で持ちやすい場所を探して持ち上げた。そしてリスニングルームに運び込んだ。とりあえず今日は移動のみ。電源コードを壁コンセントに接続して、電源スイッチをONにした。取扱説明書には5時間以上通電してから使用するように注意書きしてあった。アンプにつなぐのは明日になるであろう・・・

2012/5/22

2259:メロンパン  

 5合目は、想像以上に寒かった。曇っていて太陽が全く顔を見せなかったことも影響しているのであろうが、防寒着を着ても体が震えるくらいであった。

 5合目で食料を補給し、疲れ切った体を休めた。5合目は多くの観光客が訪れていて、とても賑わっていた。いくつもの土産屋やレストランがあった。その一つに入り、ここの名物だという富士山の形をしたメロンパンを買った。土産屋では大きなストーブが焚かれていた。そのストーブの暖かさがとても嬉しかった。

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 名物の富士山メロンパンは1個250円と少々高いが、家族の土産に3個が箱に入ったものを買った。それとは別に、自分がここでが食べるためにばらで1個を買った。食べてみると、ふわっとして柔らかく、美味であった。人気商品のようで買うためには行列に並ぶ必要があった。

 体を十分に休ませた後にいよいよ下りである。隊列を組んで下り始めた。「やはり、寒い・・・」スピードが上がるとともに体が受ける風圧も上がってくる。その冷たい風はわずかに残った体の熱をも根こそぎ奪い去ってゆく。

 疲労成分が充満している足は、その寒さで攣りそうになる。ビンディングで足が固定されていなので下りは少々怖い。路面状況が悪いと、大きな振動がロードバイクを襲うが、その際足が踏ん張りきれないので、安定性に欠けるのである。

 下っていくにしたがって、気温が上がっていくのが分かる。2合目まで下ってくると寒さは収まってきた。北麓駐車場に着くころには、あの寒さは何だったんだろうというくらいに、暖かかった。

 北麓駐車場に着いたのは1時半ごろ。これから日帰り温泉で体を休める予定のメンバーと別れ、私は一路家を目指すことにした。「この時間に出れば、さすがの中央高速も渋滞はしていないはず・・・」そう思いながら、車のエンジンボタンを押した。乾いたエンジン音がした。しっかりとした感触のシートが疲れた体をいたわるように支えてくれるのが嬉しかった。

 サイクルシューズを忘れ、ゴール直前では「変なおじさん」につっかえ、下りの寒さのなかで足が攣りそうになったりと、いろんなことがあったMt.富士ヒルクライム事前走行会であった。

 体のあちこちには痛みが残っている。車のハンドルを握りながら、曇りがちの空に少しだけその威容を垣間見せている富士山を見つめた。

 「また、ここに来たい・・・とても辛い1時間45分であったが、またチャレンジしたい・・・」そう思わせる何かがここにはあった。



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