2012/3/19

2195:メキシカンピラフ  

 「どうでしたか・・・まだ半分ですけど・・・」ファミリーレストランのテーブルにつくと、「寧々ちゃん」は、すかさず訊いてきた。
 
 「すべて理解できるわけではありませんが、希望のある考えですね・・・」テーブルにおかれたメニューを開きながら、そう答えた。

 「希望のある・・・そう、そう、希望が持てますよね・・・なんだか希望がわいてきました。」「寧々ちゃん」の表情は明るかった。

 土曜日のお昼時、ファミリーレストランの店内は思ったよりも空いていた。雨は依然降り続いていて気温も低かった。そういった天候のせいかもしれない。

 「何にします・・・」メニューを見ていた「寧々ちゃん」に訊いた。「ずわい蟹アメリカンソーススパゲティー・・・」「寧々ちゃん」はそう答えた。

 私は「タンドリーチキン&メキシカンピラフ」を選んだ。ドリンクバーもそれぞれ頼み、私はホットコーヒーを、「寧々ちゃん」はウーロン茶を飲みながら、一緒に昼食を食べた。

 彼女は、会話の端々に今回のセミナーで得られそうなものに多くの期待をしていることがうかがえた。彼女にとって、このセミナーは希望の光になったのかもしれない。

 「もちろん、どうなるかは分かりません。私は何も知らないのですから・・・このことが良い方向へ向かう大きな契機となるのか、あるいは結局何も変わらず、日常生活の中に埋没してしまい、その輝きをすっかり失ってしまうのか・・・私には何も分かりません・・・でも、希望を持つことは自由ですよね・・・それがたとえ失望に変わっても・・・」彼女は眼を輝かせていた。

 「あ、そうだ・・・話は変わりますが、その、もう一度二人で会いませんか・・・素晴らしいお蕎麦屋さんを見つけたんです・・・保谷の方にあるんですけど・・・これが今まで一番のお勧めかもしれないのです・・・一緒に行きませんか・・・」

 「保谷の方ですか・・・」

 「最寄駅は保谷駅ですが、店の住所は練馬区のようです・・・もう二人っきりでは会わないようにしよう・・・とこのまえ話したばかりですが・・・これは私からのお願いですが、もう一度会いましょう・・・きっと感動しますよ・・・」

 「そうですか・・・お願いですね・・・相当良いお店のようですね・・・実は私からもひとつお願いがあったのですが・・・」
 
 「何ですか・・・」

 「そのお蕎麦屋さんで、話します・・・ちょっと恥ずかしので今は言えません・・・」

 「じゃあ、楽しみにしておきましょう。」

 「寧々ちゃん」ははにかんだように含み笑いをした。とりあえず、私からの申し出は受け入れられたようである。

 「じゃあ、日程はメールで決めましょう。木・金はお休みなんです。それと予約必至の店のようです。例のスーパーの駐車場で待ち合わせて、私の車で行きましょう。」

 昼食を食べ終えて、セミナー会場へ戻る途中、灰色の雲の合間からはうっすらと明るい空がところどころ垣間見えていた。雨も小降りになてきたようである。

 後半も同様な感じでセミナーは進んだ。この考えを受け入れ学んだことを日常的に実践していくのか、それとも学んだことは頭の中には残らず、日常の現実的な時間の中に埋没し、顔のない日々をかき分けるように進んでいくのか・・・いずれであっても自分の責任で答えを見出していく必要があるようである。

 それは「寧々ちゃん」との関係を今後どうするのか、流れを断ち切るのか、流れにのまれるのか、ということも同じように答えを見出す必要があるようである。



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