2012/3/12

2188:些細なこと  

 ロードバイクでのヒルクライム・・・普段上る峠はだいたい4〜6km程度の上りを有する。峠によって急峻な斜度を有するものもあれば、比較的なだらかな斜度の場合もある。

 上り終えると、何というか一種達成感とでも呼ぶべき爽やかな感情が自然とわき出てくる。もちろん、上がっている最中は、息も切れ、心拍数も逼迫していて、早く終わらないかと思いながら、踏ん張っているのである。そして、峠の頂上についてサイクルシューズをビンディングペダルから外す瞬間、ほっとして、「終わった・・・」と心でつぶやく。

 その上ってきたばかりの峠を下って、また新たな峠を上るということは、結構な精神力を必要とする。また、あの混沌とした逼迫状況を体験するのは、できれば避けたいと思うのが自然であるから。

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 昨日は、tackさん、チューバホーンさんとともにNaruさんご推薦のお蕎麦屋さんに行ったのち、Naruさんのリスニングルームにお邪魔した。

 NaruさんのリスニングルームにVIOLAのチャンデバが新たに導入されたのが1年前、その後その音のバランスを整え、満足いくレベルに持ってくるのに1年かかったとのことである。

 そして、ようやく最近、そのバランスは最高潮に達した。Naruさんのところには定期的にお邪魔しているので、その言葉の意味がよく分かる。たしかに、ここ最近のNaruさんのリスニングルームの音は「山崎 18年」の豊潤なコクに譬えたくなるような熟成ぶりであった。

 しかし、そこに安住することなく、また新たな峠を目指されるのかもしれない。なんと、Naruさんのリスニングルームには3台めのダールジールがそのオレンジの目を輝かせていた。

 ショップから借りているだけで、まだ購入されたわけではないそうである。ダールジールが3台そろうと、実に壮観である。3台のダールジールを一人で使われている例は、国内はもとより、海外でもないとのこと、まさに貴重なる状況というわけである。

 この試験的に導入を検討されている3台めのダールジールは、スーパートゥイーターを受け持つ。3ウェイマルチ駆動の一翼を担うわけである。

 整えられたバランスは当然一旦崩れる。そのなかで可能性を見極めているとのこと・・・Naruさんの言葉の端々からは、可能性は見えてきているような印象を受けた。

 さてそのダールジール3台駆動での印象は、どうであろうか・・・もちろん従前の最高潮に整えられたバランスからすると、音楽性という点からは後退した印象は受けるが、全体の表情が自然な素振りを見せる。口に含んだときの香りやコクはやや後退した印象は受けるが、舌にはよりマイルドな感覚が残る。

 スーパートゥイーター駆動のパワーアンプをダールジールに換えると、その一旦崩れたバランスを再構築し、従前のように満足いくレベルにまで引き上げていくには、やはり1年くらいはかかるだろうとのこと・・・

 「上り終えたばかりなのに、また次の峠を目指すのか・・・私なら峠の茶屋で味噌田楽と暖かいお茶をいただきながら、峠から見える景色を眺めながら、まったりとしたいところであるが・・・真のオーディオマニアというのは、そういうものなのであろう・・・」

 途中でダールジールでの駆動は、従来のマークレビンソンでの駆動に戻された。従前のバランスに戻ったのである。「やっぱり、これだよな・・・」と腑に落ちるというか、その音楽バランスの素晴らしさに、心の中でうなずく・・・

 完成度が相当高いレベルに達すると、一部の変更は決定的な影響力を持つ。「些細なことにより完全は達成される。しかし、完全であることは些細なことではない・・・」誰の言葉かは忘れたが、そんな言葉が心に浮かんだ。



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