2012/3/31

2207:直感  

 そばの後は、そばぼうろが出た。懐かしい味わいで、自然な甘さである。カリッとした食感で、口の中でさくさくと砕けていく。

 「良い料理人の条件って知ってますか?ちょっと前にテレビで観たことがあるんです・・・」「寧々ちゃん」はそばぼうろを口に含みながら訊いてきた。

 「手先が器用なこと・・・舌が敏感なこと・・・記憶力が優れていること・・・そんなとこですかね・・・後は根気があるとか・・・」

 私は思いつくままに、良い料理人の条件を並べてみた。まあ、どれもこれも一般論というか、ありふれたものではあったが・・・

 「良い料理人の条件は、直感と理性のバランスがフィフティー・フィフティーでバランスがとれていることなんですって・・・」

 「なんですか・・・それ・・・直感と理性ですか・・・料理と関係ないような気がするけど・・・」

 「直感は、閃きですね・・・それを構成し、再現性を持たせるのが、理性です・・・どちらかに偏っていても、いけないようなのです。直感に偏りすぎていては、いろんなアイディアが湧いてはきますが、それを再現性のあるものに構成できない。理性に偏りすぎては、きらめき感のないありきたりのものしかできない・・・」

 「なるほど・・・良い料理人の条件ではないですが、それに似たようなことをNHKか何かの番組で観たことがあります。確かどこかのアメリカの大学の講義を紹介するものでした。人生の目的を幸福になることと定義した場合、その目的を達成するためにはどうすればいいか・・・直感と理性のバランスが重要だと、説いていました。直感はすぐ間近、目の前にある幸福を追求する・・・理性はより未来の幸福を追求する性向があるようです。たとえば、目の前にチョコレートケーキがある。直感はそれを手に取り食べれば幸福感に浸れると訴えます。しかし、理性は今チョコレートケーキを食べてしまうと、カロリーオーバーで太ってしまう、と警告する。その直感と理性の間で人は様々な選択をする。その選択の多くが直感でなされた場合、幸福感を味わうことができるが、永続性のあるものになりにくい。一方理性により多くの選択がなされると、幸福感を実感しにくく、豊かな喜びとは縁遠くなってしまう・・・確かそんな内容だったような覚えがあるいます・・・」
 
 「チョコレートケーキの例えは分かりやすいですね・・・直感はチョコレートケーキを手にとって口に運ぶべきと主張し、理性は今は食べるべきではないと主張する・・・どちらも正しいように思えますね。」

 そばぼうろを食べ終えて、暖かいお茶を飲みながら、そんなとりとめのない話を続けていた。「寧々ちゃん」は湯呑を両手で軽くつかみながら、その湯呑を軽く左右に揺らすような仕草をした。その左手の薬指には銀色に光る指輪が静かに納まっていた。

 「そういえば、何か私に頼みたいことがあるって前回言ってましたね・・・なんですか・・・」そう訊くと、彼女は視線を湯呑の中に落としたまま、呟くように言った。

 「直感はチョコレートケーキを食べるべきだと・・・そう私に言っているのです・・・とても甘く、滑らかなチョコレートケーキを・・・すぐ目の前にある快楽に浸るべきだと・・・」

2012/3/30

2206:辛味大根  

 そばがきは素朴な料理である。そば切りの方が時代的には後から食されるようになったものであり、そば料理の原型はそばがきであった。しかし、今ではそばがきは日陰の存在であり、あまりポピュラーとはいえない。

 そば豆腐の後に、そばがきが出た。ここのそばがきは、本来素朴で鄙びた感のあるそばがきが、一つの立派な料理として完成されている。箸で切ると、すっと箸が通る。少し濃いめのたれがかかっていて、それになじませるようにして口に運ぶ。そばの香りが口の中に広がる。淡い雪が手のひらの熱で溶けるように、舌の上ですっと溶ける。有機的な複雑な味わいをその舌の上にしっかりと残しながら・・・

 「これ、美味しいでしょう・・・」「寧々ちゃん」の表情を盗み見するようにしながら、訊いてみた。

 「わたし、そばがきってあまり好きじゃなかったけど、ここのそばがきはぜんぜん別物って感じですね・・・とても上品で繊細・・・このたれの味も絶妙・・・」

 「そうでしょう・・・・そばも素晴らしいのですが、実はこの店の隠れたお勧めの一番は、このそばがきなんです・・・」

 一気に食べるのが惜しいように、ゆっくりといつくしみながら、そばがきを食した。もちっとした食感や、香りのよさ、なめらかな舌触りなど、ゆっくりと味わいたくなる逸品である。

 「そういえば、この前のセミナーどうでしたか?あのセミナーで教わったことを日常生活のなかで実践していますか?私は、細々ですけど続けています。」「寧々ちゃん」は先日一緒に参加した「ホ・オポノポノ」のセミナーについて訊いてきた。

 「私も、実践していますよ。四つの言葉やブルーソーラーウォーター、呼吸法なんかを・・・試しています。具体的な変化といったものを実感するまでにはいたっていませんが・・・家族の中で私は唯一の綺麗好きなんですが、その度合いが加速しました。毎朝、リビングを拭き掃除しています。おかげで、リビングは常に綺麗です。」

 「私は、気持が軽くなったような気がしています。まだ10日ほどですから確かなことは言えませんが、良い効果があるような気がしています。すぐに日常生活のざわついた空気の中に埋没してしまうかも、と思っていたのですが・・・これからも続けていこうと思っています。」

 「そうですね・・・結局継続できるか、否か・・・そこにかかっているんですね。これは何でもそうですが、継続する能力というのは、とても大事ですよね・・・私も続けてみようと思っています。日常生活の中で、具体的な変化は徐々に現れるのでしょう。ある程度の月日が経過すると、その変化のほどが実感できるようになるような気がします。1年とか2年とか、そういった時間の経過があれば、きっと大きな差が出るのでしょう・・・」

 そばがきが終わると、いよいよそばである。切れとコク、豊かな風味・・・どれをとっても一級である。見た目も素晴らしい。薬味の辛味大根も良い味を出している。そばを潔くすする「寧々ちゃん」の口元に思わず視線が集まった。

2012/3/29

2205:そば豆腐  

 「子供の昔の写真を見て、泣いたりしたことってありませんよね・・・」「寧々ちゃん」はテーブルについて、注文の確認を済ませた私の方を向いてさりげなく訊いてきた。

 「えっと・・・まあ、涙を流すほどではないですけど、しみじみと見入ることはあります・・・うちは女の子が二人なんですけど、下の子が小さい頃はとてもかわいい顔立ちをしていて、まるで天使のような存在だったんです。今となってはできの悪い中学生になり下がってしまいましたが、3,4歳の頃の写真を見ると、ほんとにかいわかった・・・そういうときは、昔に戻してほしい・・・と本気で思いますね・・・」

 「そうですか・・・うちも女の子ですけど、やはり、幼稚園の頃や小学生の低学年の頃の写真を見ると、ついつい頬が緩んでしまます。そして過ぎ去っていった時の流れを思うと、悲しくなってしまうんです。あんなに素晴らしく純粋なものが手元にあったのに、今はもうない。全ては過ぎ去ってしまう、全ては流れ去ってしまう・・・そんな無情な感じが心を支配してしまいます。」

 前菜は三つ出てきた。それぞれ季節のものを上手にアレンジした気品ある料理で、とてもおいしかった。「寧々ちゃん」は「ビールが飲みたくなりますね・・・」と漏らした。

 「でも、車ですからね・・・アルコールが入ると、料理の味が少しぼやけてしまいますし・・・それにしても、気が利いているというか、つぼをおさえているとういうか、良い仕事してますね・・・結構若いんですよ、ここの店主・・・さっき出てきた女の人が奥さんのようです。」

 「店の外観も内装も、出てくる料理も、運んでくる方も、なんだか気品にあふれていますね・・・さりげないけど、とても吟味されているって感じです・・・」

 「もう大学生ですよね・・・娘さん・・・うちの上の子と一緒だったはずだから・・・」最後の前菜を食べながら、「寧々ちゃん」に確認した。

 「ええ、そう・・・大学生・・・この4月からは2年生です・・・早いですよね・・・7月になると20歳ですもの・・・もう20年も経ったんですね。」

 「そういえば、結婚早かったんですね・・・」

 「ええ、短大を出て2年半会社勤めをして、寿退社・・・その2年後には子供が産まれたんです。同級生の中では結婚も早い方だったかしら・・・まあ、順調な人生だったような気がします・・・病気をしてからはいろいろありましたけど・・・」

 三つの前菜の後には、そば豆腐がでた。これが何ともいえずに素朴で上品な味である。「そば豆腐って初めてかも・・・美味しいですね・・・」「寧々ちゃん」も気に入ったようである。

 店内には四つのテーブルが置いてあった。そのうち3つは埋まっていた。それぞれ2,3人の客が座っていた。みな一様に静かに食していた。言葉少なに、その深い味わいに心奪われているようであった。

2012/3/28

2204:待ち合わせ  

 「そばきり すゞ木」には駐車場が2台分あるとのことを、予約した際に確認した。住宅街の一角、マンションの1階部分にひっそりとその店はある。

 その店に向かう道は結構細いものであることが予想されたので、私は、E350ではなく、VW POLOに乗って、待ち合わせに指定した食品スーパーの駐車場へ向かった。

 食品スーパーの屋上駐車場は空いていた。店内への入り口付近、いつもの場所に車を進めた。「寧々ちゃん」の黒いMitoはすでに、その個性的なエクステリアを昼の太陽の光に輝かせていた。その左隣に車をバックで駐車させた。

 パワーウィンドウのスイッチをかちっと音をさせて下に押すと、ウィンドウはゆっくりと全開した。春らしい柔らかい空気が入ってきた。今年の冬はしつこかったが、ようやく春にその座を明け渡そうとしているようであった。

 「寧々ちゃん」は小さくい手を振った。そして、車を降りて、リモコンキーで自分の車を施錠してから、私のPOLOの助手席に収まった。

 「まだ、新車の香りが残っていますね・・・どのくらい経ちますかこの車・・・」「寧々ちゃん」は穏やかな笑顔で訊いた。

 「8月の納車だから7ケ月ぐらいですか・・・」そう言われてみると、確かにまだかすかに新車の香りが残っている。心に新鮮な好奇心のようなものを起こさせる香りである。

 天気は良かった。穏やかに晴れ渡り、気温も春を感じさせるものであった。しかし、朝の天気予報では、夕方に強風を伴った夕立が降るかもしれない、と警告していた。

 「今日の夕方、一時的に雨が降ると天気予報は言ってましたが、今のところそんな感じはないですね・・・今日は暖かいですね・・・ここ数日寒かったですが、ようやく春が来たという感じです・・・」私は車の窓から空を見上げるようなしぐさをしながら彼女に話した。

 「そうそう、雷雨になるかもしれないって・・・でも、大丈夫そうな感じですよね・・・」彼女は助手席に座りながら、シートベルトを締めた。

 「じゃあ、行きますか・・・40分ほどで着くはずです。楽しみにしていてください・・・絶対のお勧めですから・・・」

 「taoさんが言うなら、大丈夫でしょう・・・いままではずれはありませんでしたから・・・」

 平日の昼間、食品スーパーの屋上駐車場には人影はほとんどなかった。時間は確かに動いているのであるが、その歩みは遅く、実際の時計の針の進み具合に数歩遅れているようであった。

 緩やかなスロープを下り、道路に出た。いくつかの信号を通過し、左折すると新青梅街道に出た。片側2車線の道路には車が数珠つなぎになって進んでいた。工場のラインのようなその流れに、二人の乗ったPOLOは接続された。時間の進み具合がすっとテンポアップした。

2012/3/27

2203:そばがき  

 「そばきり すゞ木」の「そば三昧」は、とても美味であった。しかも価格が1,500円ととてつもなくリーズナブル。この倍の値段を払ってでも納得のクオリティーであった。

 「そばきり すゞ木」にNaruさん、tackさん、チューバホーンさんと一緒に行ったのは、3月11日・・・その全く同じ日にGRFさんも同じ店に行かれていたとのこと。

 一昨日、その話をGRFさんから伺って「全く奇遇ですね・・・」と驚いた。私達が店を出た直後にGRFさんはご家族と一緒にこの店を訪れたようである。同じく「そば三昧」を頼まれ、その味の良さと値段の安さに感心された。

 この「そば三昧」・・・ひとつひとつの料理はゆっくりとしたリズムで出てくる。素材を十分に吟味し、手間ひまをしっかりとかけて、丁寧に仕上げている。

 その姿かたちは、押し付けがましさの全くないものである。虚飾を廃したとでも言うべきか、その自然で奥ゆかしい料理を一口食べると自然と頬が緩む。その滋味あふれる味わいはお腹ばかりでなく、心も満たしてくれた。

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 GRFさんのお宅を訪問したのは半年ぶりくらいであろうか、この部屋の本来の主であるTANNOY GRFの音を久しぶりに堪能することができた。

 この部屋はかって「GRFのある部屋」であったが、現在は「GRFもある部屋」になっている。というのも「世界の銘器」と評すべきいくつかのスピーカーがこの部屋めがけて集結してきたからである。

 そのため、TANNOY GRFはしばらく主役の座を明け渡していたのであるが、今はその本来のポジションを回復して、その存在感を改めて静かに主張していた。

 TANNOY GRFの音は押し付けがましさがない。低音は風のように吹き出す。重々しい低音ではなく、軽く吹きつけるような低音である。

 この低音がコンサートホールの広い空間を見事に再現する。TANNOY GRFは密閉箱ではない。バックロードホーンという構造からくるのであろうか、箱鳴りを感じさせない風のような低音は実に気持が良い。

 もし、私がこの部屋のオーナーであれば、TANNOY GRF以外のスピーカーは全て処分するであろう。プレーヤーやアンプなどの機器も部屋の隅に目立たないように設置し、この広い部屋の中にはあたかもTANNOY GRFと自分だけがいるような構成にしてしまいたくなる。

 TANNOY GRFとひっそりと対峙し、言葉少なに音楽について会話したい。「この指揮者は、相当理智的な性格だな・・・品性が高い・・・しっかりとした構成力を有している・・・」「このピアニストはあまりモーツァルト向きじゃないかも・・・ちょっと表現が重い、べートーベンあるいはシューベルルト的なタッチだな・・・」「このゆったりとしたテンポで、刻々と変化する光の具合を表現するかのような演奏は実にレベルが高い・・・」そんなことをTANNOY GRFに語りかけてみたい。きっとTANNOY GRFはゆったりとした体躯を身じろぎもせず、その問いかけに静かに答えてくれそうである。

 TANNOY GRFが紡ぎだす音楽に耳を傾けていると、耳だけでなく、心も満たされてくる。何故かしら「そばきり すゞ木」で食した「そばがき」の味わいが思い出された。

2012/3/26

2202:SCD1  

 昨日の夕方5時過ぎにチューバホーンさんのお宅に着いた。ロードバイクで100km以上走った後であったので、体には疲労成分がそれなりに蓄積していた。しかし、体を思いっきり動かして汗をかいた後というのは、体は疲れているが、頭は結構すっきりとしているものである。

 昨日の夜にGRFさんのお宅でのOFF会&食事会の予定が入っていた。そこで、一旦車でチューバホーンさんのお宅に行き、チューバホーンさんをピックアップして、GRFさんのお宅に向かう手筈になっていた。

 しかし、GRFさんは長野からの帰り道、中央道で渋滞に嵌まったようで、帰宅予定の時間が1時間ほど遅れるとの連絡が入っていた。そこで、少し時間ができたので、チューバホーンさんの2階のリスニングルームに上がりこんで、最近試験的に導入されているSONY SCD1の音を聴かせてもらうことにした。

 SONY SCD1は、世界初のSACDプレーヤーである。まじかで見るとやはりでかい。いかにも物量を投入したといういでたちである。トップローディング方式で、イジェクトボタンを押すと蓋が少し持ち上がり、すっと静かに横にずれていく。

 「なかなか精緻な機械感が溢れている・・・」と思わずその動きを目で追う。CDをセットし、スタビライザーを乗せて再度イジェクトボタンを押すと蓋が音もなく戻ってくる。

 それからしばらく読み込み時間が経過して、いよいよスタンバイOKとなる。さてその音であるが、どんなものであろうか・・・チューバホーンさんのシステムは、プリアンプとパワーアンプがサウンドパーツの真空管式のもの、スピーカーはTANNOY LANCASTER。

 一聴した印象は「オーソドックス・・・過不足ない・・・不自然さもない・・・やくざな部分がなく、堅気な雰囲気・・・まじめで、実直・・・日本のサラリーマン・・・紺色のスーツ・・・」といったもの。

 SONYはすでにSCD1のサポートを打ち切っている。故障してももう修理してくれないのである。そこが不安な要因ではある。

 せっかくだから、CDとSACDとを聴き比べてみましょう・・・というとこになり、ハイブリッドのSACDのソフトを用意して、CD層とSACD層を聴き比べてみた。

 まずはショスターコービッチの交響曲・・・これは明らかにSACDの方が良い。空間が広いうえ、音の質感もリアリティーがアップ。「さすがにSACD・・・」と少々見直した。

 さらに女性ボーカル・・・「うん・・・なんだか、不自然・・・SACDの方が妙なバランスだな・・・確かに高域が伸びているように感じるけど音がバラバラ・・・音楽としてのまとまりがいいまひとつ・・・こちらは明らかにCDの方が良い・・・」

 「SACDはクラシック向きなのか・・・しかも、編成の大きなものに有利のような・・・」そんな気がした。まあ、2枚しか聴き比べしなかったので、大まかなことしか言えないが・・・

 さらに、従来使われていた駆動系、SONY MS-1とSound Design SD05の組み合わせも引っ張り出して聴いてみた。こちらで聴くと、サウンドステージがぐっと広がる。

 帯域も広がったような気がする。オーケストラなどはしっくりとくる。しかし、真空管アンプのときに感じられた艶やかな音色感はやや後退。サウンドステージをとるか、有機的な音色感をとるか・・・これはプライオリティーをどちらに置くかで選択するしかないであろう。

 そうこうするうちに、GRFさんよりようやく到着した旨の連絡が入った。そこで、私の車でGRF邸へ向かった。同じ杉並区内であるので、15分ほどで到着した。

2012/3/25

2201:落車  

 もうすぐ山伏峠の上り口にさしかかるときであった。チームのメンバーの一人が落車した。幸い落車したメンバーに大きな怪我はなかった。

 前を走っていたロードバイクの後輪に、前輪が接触してハンドルを取られたのが原因であった。チームで走行するとき、隊列を組んで走行する。風を効率よく避けるためには、前を走るロードバイクとの間隔は車輪1個分ぐらいがちょうどいい。

 なので、気をつけないと、前を走っているロードバイクの後輪に自分のロードバイクの前輪が接触することがある。すると前輪がはじかれてバランスを崩して落車する危険性が高いのである。

 疲れてきて注意力が散漫になった時や、前を走っているロードバイクが不意の障害物を避けるために急にスピードを落としたときなどに、起こりやすいアクシデントである。

 チームでのロングライドに参加してメンバーの落車に遭遇したのは三度目である。毎回落車を目の当たりにすると背筋が寒くなる。やはり、安全が第一である。

 落車したメンバーのヘルメットは割れていた。落車した時に道路わきのガードレールに頭をぶつけたようであった。ヘルメットをしていたから大怪我にはならなかったが、もしヘルメットをかぶっていなかったら大変なことになっていたかもしれない。改めてヘルメットの重要性を再認識した。

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 山伏峠は4,3kmほどの上りである。それほどきつめの斜度ではない。今日は久しぶりのロングライドであったためか、少し体が重かった。もう少し早いペースをキープしたかったが、なかなかスピードは上がらない。

 斜度が緩いところはそれなりのペースで上がれるが、斜度がきつくなると、どうしてもずるずるとペースが落ちてしまう。

 ダンシングでしのごうとしても、苦し紛れ的なダンシングで勢いがない。「まだまだだな・・・」といった多少落ち込み気味の気分で峠の頂上に着いた。

 体のコンディションは今一つではあったが、天候は素晴らしかった。寒さも緩んできたのでこれからはいよいよロードバイク本番といったところであろう。

2012/3/24

2200:対極  

 「我が家のオーディオとはある意味正反対ですね・・・」エム5さんは、三人がけのソファに座り、私のシステムをひととおり眺められて、呟いた。

 「そうですね・・・ある意味対極的なシステムかもしれませんね・・・」私はそう応じた。「このスピーカーもそれを駆動するアンプも50年ほど前のものですから・・・」

 エム5さんのシステムは、B&W N801をCLASSEのモノラルパワーアンプで駆動されている。送り出しはEmm Labsのセパレートで、DAコンバーターがプリアンプ機能も有しているので、その機能を有効に活用されている。さらにSACDマルチにも挑戦されていて、まさに正統派ハイエンド。

 そして、そのリスニングルームは広大なエアボリュームを有し、音響的な配慮もしっかりとなされた専用ルームである。

 そこで、聴かれる音は精緻にしてダイナミック。十二分に広い帯域を充溢感あふれる音がしっかりと埋めていて、オーディオの醍醐味がこれでもかっというくらいに存分に味わえる。

 我が家のリスニングルームはその容積でおそらくエム5さんの部屋の4分の1ほど。TANNOY ChatsworthをQUAD22・QUADUで駆動するというシステムは、いわゆる「ビンテージ」に分類される。

 表面上だけを見ると、私のシステムとエム5さんのシステムはまさに対極的な位置にある。エム5さんのリスニングルームには、三度お邪魔した。その音をじっくり聴かせていただいて、オーディオ的なグレードは比べるまでもないのであるが、音の表面ではなくその底辺に流れるものに多少の共通点を感じた。

 そこで、「ご迷惑になるかも・・・」と案じたけれど、エム5さんを我が家へお誘いした。きっと、私のシステムを一瞥されてエム5さんは「これは、期待薄だな・・・」と思われたのかもしれない。

 しかし、ひととおり聴いていただいた後で「想像していた音とは全然違いましたね・・・」との感想をいただいた。もちろんオーディオ的な不足点は多かったはずであるが、「ビンテージ」という言葉から連想する「懐古趣味的なくすんだ音」とは違う音を感じていただけたのかもしれない。

 エム5さんは近い将来アナログを復活される計画があるとのこと。しかも、予定されているレコードプレーヤーはLINN LP12だという。「アナログを復活した暁には、ぜひまたお邪魔させてください・・・」とお願いした。あの部屋で、あのシステムで、アナログがどのように鳴るのか・・・興味は尽きない。

 アナログを止められて、持っていた数千枚のレコードは大半を処分されたとのこと。しかし、これはっといったレコードはまだ手元に残されている。KING CRIMSONのレコードも全てとってあるとのこと・・・エム5さんの部屋でKING CRIMSONの音楽を聴いてみたい。ぜひともアナログで・・・

2012/3/23

2199:天然素材  

 「どこかで見たことがあるような気がする・・・確かまだオーディオアクセサリーという雑誌を購入していたころに、雑誌で見かけたような・・・3,4年前のようだった気が・・・」

 我が家のリスニングルームのスピーカーの間には小さな飾り台が置かれ、その上には妻が購入した天然素材でできた空気をきれいにする効果があるといわれている乾燥した植物の茎の束が置かれている。

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 そんな大きなものではなく高さは20cmほどであろうか・・・根元は束ねらっれていて上にいくに従って自然に開いている。茶道で使う茶筅を逆さに置いたような形である。

 スピーカーの間には何も置かない方が良いと思っていたが、何かしらを置くことによって様々な効果があることOFF会で知り、いろんなものを試してみた結果、一番良いと思ったのが、これであった。

 もちろん、オーディオ用ではなく、価格も3,000円程度のものである。しかし、その姿を毎回目にしていて、何かしら記憶の片隅に、オーディオアクセサリーとして似たようなものがあったことを思い出した。そして、インターネットで調べてみたら、出てきたのである。

 「スピーカーの間に広げて設置するだけで奥行きのある音場感が得られます。スピーカー間に置くだけ。全く新しい発想、劇的ルームチューニング効果。国内産天然井草と越前焼き専用容器。置き場所によって変化させられる音場感 。広いお部屋でも使用できます。 自然で伸びやかな高域、深みのある音楽表現。奥行き感のある音場感。いろんな楽器の音が混沌とせずに耳元に届きます。」

 その謳い文句が凄い。メーカー名はGenesis Sound。製品名はORE-100。値段は11,000円(税込)である。その姿はやはり似ている。二つのスピーカーの間に設置するというところも似ている。

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 メーカーのうたい文句は多少オーバーなような気がするが、変化があるのは事実である。11,000円という値段、オーディオアクセサリーという括りで見れば決して高価ではない。

 この「本家」とでもいうべき製品を試してみようか・・・という気にもなってくる。我が家で使っているものは素材はおそらく天然井草ではないと思うが、植物であることは確かなようである。近い将来「本家」VS「似非」といった対決構造で比較試聴してみたいものである

2012/3/22

2198:メンタル  

 今日は春めいた陽気であった。最高気温は15度まで達し、コートが不要であった。明日になると天気予報では雨が降ると言っていたが、今日の天気は晴れで、ひところ吹き荒れた冷たい北風もすっかり止んだ。

 「開幕戦」としてはこれ以上ない天候である。「開幕戦」の場所は青梅ゴルフ倶楽部である。2ケ月ほどゴルフには行っていなかったので、ずいぶんと久しぶりのゴルフということになる。これからゴルフシーズンの始まりである。

 「2ケ月ぶりだから、今日はスコアは期待できそうもない・・・」という気持ちで、朝一番のティーグランドに向かった。

 ところが、予想に反して比較的スムースに事は運んだ。あまりドタバタしないのである。3連続ボギーと続き、4番でパーがきた。

 「あれ、ずいぶんとブランクがあるのに、スムースだな・・・小技はさすがに今一つであるが、ショットはまずまず・・・」と気分良く回っていた。

 ショートホールでアプローチをトップしてしまい、このホールをトリプル・ボギーとしてしまったが、その次の長いミドルでパーをとり、8番が終わった段階でボギーペースであった。9番をパーで上がれば、このハーフは44。ボギーで上がれば45である。

 9番のティーグランドに上がった。どうにも立ちづらい。距離は355ヤードなので、それほどない。しかし、左がえぐれたようになっていてOBゾーンが食い込んでいる。左に引っ掛けると即OBである。

 右は右でOBゾーンがすっと直線に延びていて、どうにものびのびできない。「距離があまりないから、フェアウェイウッドにするか・・・」という考えも浮かんだ。しかし、「弱気はいけない・・・強気強気・・・」とその考えをすぐに引っ込めた。

 そして、左側のティーマークに近いポジションにボールをセットした。やや右めをむいてドローを打ちにいった。

 勢い良く右に飛び出していったボールはまっすぐに進んだ。ドローがかかっていれば左に曲がって戻ってくるはずであった。しかし、ボールはそのまままっすぐに右に抜けて行った。

 「すみません・・・暫定球をお願いします・・・」キャディーさんは申し訳なさそうに言った。ボールは右のOBゾーンに突っ込んでいったようであった。

 結局このホールはトリプルボギー。この一発がリズムをすっかり狂わせてしまった。午後もOBがらみで二つのトリプルボギーをたたいてしまい、結局トータルで95というスコアであった。

 開幕戦はややほろ苦いものとなった。「いつものこと・・・いつものこと・・・」心の中でそう呟きながら、車にキャディーバッグを積み込み、帰宅することに。

 ゴルフというのは一旦リズムが崩れるとなかなか立て直しがきかない。自分で自分を鼓舞すべきところを、ついつい「やはりだめか・・・くそっ・・・」といった落ち込んだ気分が支配的となってしまうのである。「メンタルの強化が必要である・・・」そう思わざる得ない一日となった。



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