2012/1/9

2125:ユンカース  

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 ponta邸につくと玄関には三つのスリッパが並んでいた。「他に誰か来られんですか?」とpontaさんに訊くと「まだ、分からないんですが、ゴローさんとエム5さんに急襲されるかもしれないんです・・・」とのこと・・・

 「えっ・・・」熟練の達人お二人が来られるかもしれないとのこと・・・一瞬緊張感がすっと全身を走った。

 「急襲」という言葉からの連想であろうか、第二次世界大戦で活躍したユンカースJu87が2機、悠然と空を飛んでこちらに向かっている絵が頭の中に浮かんだ。

 pontaさんのリスニングルームにはエレクタ・アマトールが自然な姿勢で置かれ、高価なオーディオ機器達は、ゾーセカスのラックに整然と収められていた。

 そのオーディオ機器の前には椅子が三つ置かれていた。まだ「急襲」を受けると決まったわけではない。三つとも席が空いていたので、とりあえず真ん中に座らせてもらった。

 コーヒーをいただきながら、pontaさんのプログラムに従って、音楽を聴かせていただいた。整然とセッティングされたオーディ機器同様、その音は変な癖のないバランスの良いものであった。「中庸の美」とでも表現すべきであろうか・・・

 ソナス・ファベールの音の甘みもしっかりと感じられれる。ごわつきやピーキーな挙動は見当たらず、小さめの音量の関係で少しばかりおとなしい雰囲気ではあったが、一般家庭で音楽を楽しむのに充分なクオリティーが感じられた。

 pontaさんのプログラムはスムースに進み、半ばあたりハーバーのバイオリン協奏曲を聴かせていただいていた時であった。「ピンポ〜ン」とチャイムが鳴った。私にはその音はユンカースJu87の飛行音のように聞こえた。

 卓越した操縦技術と凄耳を持つパイロットが操る2機のユンカースJu87である。私はとっさに左の席に移った。

 ゴローさん、エム5さんそして私が座って、用意された三つの椅子は全て埋まった。pontaさんのプログラムは後半に入り、しばらくは平穏な時間が経過した。「変な癖はありませんね・・・ソナスの美味しいところも出ています・・・」エム5さんはさらっと総評された。

 上空を巡航態勢のまま2機のユンカースJu87は通り過ぎようとしていた。pontaさんが予定されていたプログラムが終了した。

 その後はゴローさんが持参されたCDを聴かせていただいた。そのなかで、ボリュームの重要性をゴローさんから実践を通じて説明していただいた。そのシステム、その曲目で、一番美味しく音楽が奏でられる音量がどれくらいか・・・それを決定することが、オーディオを鳴らすうえで実に大切な要素であることがとてもよく分かった。エレクタ・アマトールから発せられる音量はぐっとアップした。

 さらにその後グラフィックイコライザーの設定や、左右のスピーカーの特性の違い、モノラル音源での調整ポイント、さらにはスピーカーセッティングの足元の問題点など、矢継ぎ早に、改善すべき項目が発掘された。

 気づけばユンカースJu87は、独特の急降下音を響かせながら、ponta邸のリスニングルームを縦横無尽に飛び交っていた。その爆撃ポイントは的確でありかつピンポイントで正確であった。

 「結論は、Accordoはまだ早いですね・・・この子はまだまだ鳴りますよ・・・」とゴローさんはエレクタ・アマトールを眺めながら締めくくった。

 実に見事で的確な急降下爆撃を完了した2機のユンカースJu87は悠然と飛び去っていった。ユンカースJu87は急降下するとき、独特の甲高い風切り音を発する。その音は「悪魔のサイレン」と呼ばれたそうであるが、その意味合いが今日は良く分かった。



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