2011/11/30

2085:ダンベル  

 昨日のゴルフスクールでは、鈴木プロから「もう少し左腕の力が必要かもしれませんね・・・」と言われた。

 「どうしても右腕中心でスウィングする癖がありますね。ある程度であればいいのですが、その傾向が強いと、右肩が前に出すぎてしまって、チーピンもスライスもどちらも出てしまいます。」

 「テニスをしていましたので、その癖でしょうか・・・左腕を鍛えて筋肉を増強する必要があるかもしれませんね・・・」私は答えて言った。

 テニスは当然右腕中心でラケットを操る。左腕は全体のバランスと取るぐらいしか役割がない。しかし、ゴルフの場合左腕がスウィングにおける主導権を握るほうが方向性は安定する。

 パワーは右腕のほうがあるので、そのパワーは活かしながら、左腕が先導するようにスウィングすると、もう一つレベルアップできるようである。

 「ダンベルか何かで、日常的に左腕をトレーニングしたら良いかもしれませんよ・・・」そう鈴木プロはアドバイスをくれた。

 「ダンベルか・・・そういえば家にあったな・・・階段下の物置にしまっていたはず。時々取り出して、左腕の筋力アップを図ろう・・・」そんなことを思いながら、1時間半のスクールを終えた。

 「寧々ちゃん」」グループはSさんがお休みで、Nさんは用事があるようで先に帰った。私と「寧々ちゃん」は、スクールが終わってから、いつものように休憩コーナーでコーヒーを飲んだ。

 コーヒーカップを手にしながら、ゴルフの話はそこそこに、話題はロードバイクのことに移っていった。

 「また行きたいですね・・・ロングライド・・・○○さん、今度はヒルクライムに挑戦してみますか?」

 「絶対に無理です・・・この前もちょっとした坂でも息が切れて・・・心臓が痛いくらいでした・・・」

 「でも予想していたよりもしっかり走れてましたよ・・・COLNAGO ACEがしっかりと決まっていました・・・」

 「そうですか・・・でもロードバイクって結構ストレス発散になるような気がします・・・全身で風を感じて走るって、気持ち良いですよね・・・」

 「今度は奥多摩湖まで行ってみますか・・・後半少し上りがありますが、景色も良いです。美味しいお蕎麦屋さんもありますし・・・」

 「あの辺まで行くと、遠くまで来た・・・といった実感があるでしょうね・・・車では何度か行ったことがあります。幾つかトンネルを通りました。」

 「そうそう、ロードバイクでトンネルを走るのって、結構怖いんですよ。車の走行音がトンネルの中で反響して、すごい感じなんです。上からは水も滴り落ちてきますし・・・ライトはつけるんですが、暗くて不気味です・・・」

 「あっ・・・それ嫌かも・・・暗くて不気味なのは大の苦手・・・上りも苦手・・・そういったのがないコースが良いな・・・」

 お互い笑顔での会話であった。「寧々ちゃん」の表情は穏やかであった。その心の深層には静かな闇が隠れているのかもしれないが、ゴルフやロードバイクの話をしている時の彼女の表情からは、そういったものの存在は微塵も感じられなかった。

2011/11/29

2084:8番アイアン  

 空には星は見当たらなかった。真っ黒でよくは分からなかったが、夜空は分厚い雲にしっかりと覆われていたようであった。

 そのせいか、気温はあまり下がらず涼やかではあるが、寒いほどではなく、過ごしやすい気温である。風もなく穏やかな夜である。

 昭和の森ゴルフ練習場の駐車場に着いたのは、7時過ぎであった。Mercedes-Benz E350のトランクからゴルフバッグを素早く取り出し、足早にクラブハウスに入った。

 受付のカウンターの側にはクリスマスツリーが飾られていた。きらきらと点滅する電飾がその場を少しばかり華やいだものに変えていた。

 そのクリスマスツリーの電飾を目にしながら、「いよいよ年末に向けて、時間は雪崩を打ったように、収束していくのか・・・」そんな感慨をもった。

 今年はいろんなことがあった・・・大震災に原発事故、大きな台風も来た・・・二人の子供はそれぞれ一つ上の学校に上がり、私はロードバイクにはまるようになってきた・・・毎週日曜には100kmを超える距離を走るのが楽しみである。仕事は相変わらず忙しく、顧問先の経営状況はおしなべて厳しい。

 「2011年は、良い意味でも悪い意味でも、記憶に残る1年になるような気がする・・・後で振り返ってみたならば、日本人の価値観が大きく変わるきっかけとなる1年として記憶されるのかもしれない・・・」そんな根拠もないことが頭に浮かんだ。

 ゴルフスクールは2階の打席で行われる。階段を早足で駆け上がり、指定の打席へ急いだ。「こんばんわ・・・」何名かのスクール生に声をかけて、空いていた打席にゴルフバッグを置いた。

 二つ隣の打席にいた「寧々ちゃん」は、こちらをちらっと見て、軽くほほえんだ。私も目で軽く挨拶をした。仕事からの直行であったので、スーツ姿であった。スーツを脱ぎハンガーにかけた。ネクタイを外し、椅子の上に置き、ポタンダウンシャツの襟を開けた。

 この格好では寒いかと思ったが思いの外寒くなかった。ゴルフバッグからまずは8番アイアンを取り出した。「スウィングリズムをしっかりと体に覚え込ませるには、8番アイアンくらいがちょうど良いですよ・・・」先日鈴木プロにそう言われたので、時間をかけてこのやや短めのアイアンを振るようにしているのである。

 今週の金曜日にはラウンドの予定が入っている。今年のラウンドはあと2回。どうにか良いスコアでこの1年を締めくくりたいものである。

 何度か素振りをしてから、ボールを打ち始めた。トップで力を抜いて上体をリラックスさせること、一定のリズムでスウィングすること、フィニッシュをきっちりと取り、ボールの行方を確かめながら、数秒間フィニッシュの形をキープすること、この3点に気をつけながら、スウィングした。

 星のない夜空には、その代わりとなろうとしているかのように、照明に照らされ青白く光る小さな球体があちらこちらから、打ち放たれていた。

2011/11/28

2083:スクワット  

 ヒンズースクワットは風呂場ですることが多い。風呂場には大きめの鏡がある。その鏡に全身を映しながら、スクワットするのである。200回を一定のリズムで行う。鏡の私は垂直に下がったり上がったりする。

 以前は多少気になっていた腹回りのだぶつきは、すっかり姿を消した。腹筋を特に鍛えているわけではないが、うっすらと腹筋の存在が分かるようになってきた。もちろん六つに割れていたりはしない。ロードバイクでのロングライドは足だけでなく腹筋や背筋もある程度鍛錬してくれるのであろう。

 昨日100km超ののロングライドに出かけたので、足には少々疲労が残っている。今日は仕事から帰り、遅めの夕食をとってから風呂に入った。「今日はお疲れ気味だから、スクワットはいいか・・・」とも思ったが、「いや、習慣にしないと・・・習慣に・・・でないと、絶対に続かなくなる・・・」そう思い直して、スクワットを200回行った。

 習慣にしてしまうと、強い。習慣として定着したことは特に意識することなくても継続できる。習慣になる途中で緩んでしまうと、間が空き、やがて稀になり、そのうち姿を消す。そうなって姿を消したことは数知れずである。

 ブログの記事の更新も、ほぼ習慣になったようである。5年以上の期間、ほぼ毎日、ほぼ同じ字数の記事を記入して投稿する・・・内容のない駄文ばかりであるが、時々自分でも「よく続いているもんだ・・・」と思うことがある。

 顧問先の社長と飲んでいて、午前様になっても、ベッドに入る前にパソコンの電源を入れる。アルコールで程よくリラックスした脳は短時間で、一文を仕上げてくれる。

 先日、顧問先の社長でありゴルフ仲間でもある3名と飲んでいた。一人が「良いところ知っているから、もう一件寄ろう・・・」と連れて行かれたフィリピンパブで、大騒ぎ。

 4名が店に入ったときには、他に2組ほど客がいたが、やがていなくなり、貸切り状態になった。客が4名で女の子が6名・・・ちょっとしたパラダイス状態に、みなハイテンション。

 陽気なフィリピーナ達は歌いまくり、踊りまくり、きわどくセクシーな衣装に身を包んで、挑発する・・・いい年した中年親父4名はノリまくり・・・気づくと既に午前1時・・・料金は一人2万円・・・タクシーで帰ると、家に着いたときには既に2時を回っていた。アルコールも脳内でぐるぐる回っていた。

 そんな状態で、歯を磨きながら、パソコンを立ち上げた。20分ほどで記事を一つ仕上げ、電源を落とすと共にベッドでダウン・・・「これも習慣のなせる業か・・・」そんな独り言をつぶやいた。

 「197・・・198・・・199・・・200・・・」心臓の早い鼓動をしっかりと感じながらスクワットを終えた。習慣になるかどうか・・・まだ今の段階では分からない。そうなることを願っている・・・ 

2011/11/27

2082:坂バカ  

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 冬は他の季節に比べ空気が澄んでいる。天気が良いと、顔振峠の峠の茶屋からは富士山も見える。今日は晴天ではなかったが、左側には丹沢山系が見え、ちょうど真ん中あたりに雪を頂いた富士山が見えた。富士山の左右には、名前は知らないが多くの山が綺麗に連なっている。

 青みがかったグレーの色合いで、山はその稜線をなだらかに描いていた。遠くの山は淡い色合い、近い山は濃い目の色合い。濃淡で遠近を描き、雄大で繊細な風景を見せていた。

 顔振峠には国道299号から上ることが多いが、今日は普段は下っているコースを上ってみることになった。上り始めは緩やかであるが、後半は相当な斜度がある予定である。疲れてくる後半がきつめということは、前半抑え目に上がる必要がある。

 上りの区間は5kmほど。峠の茶屋に到着したら暖かいお茶と味噌田楽が待っている。それを楽しみに上ることにした。

 峠の上り口までは、片道40kmほど・・・まだ11月であるが予想以上に寒かった。それなりに寒さ対策をしたつもりであったが、体が冷えた。

 走り始めて1時間以上経過しても体が暖まってこない。鼻水が滴って落ちてくる。もう少し暖かいかと思っていたが、走行区間はしっかりと冬の気配が支配していた。

 保温効果の高いアンダーウェアを着て、その上にサイクルジャージ、さらにウィンドブレーカーを着込んでいた。しかし、その程度では風が体温を奪っていくことを完全に阻止することはできない。太陽が出てくるともう少し暖かいはずであるが、うす曇の天気であった。

 体がなかなか暖まることがないままに峠の上り口に到着した。上り始めは穏やかであった。斜度も緩め。和やかな気持ちでクランクをゆったりと回した。

 途中から徐々に斜度がきつめになってきた。心拍計の数字はじりじりと上がってきた。呼吸も速くなってくる。今日は呼吸に着目していた。吐いて吸ってを2回づつ行うようにしたのである。「ハア、ハア、スー、スー」といった機関車風のリズムで上った。

 それが良かったのか、意外と苦しくなかった。もちろん楽ではないのであるが「これを上るの・・・マジで・・・」といった感じの辛さ全開といった感じではなかったのである。

 多少は峠慣れしてきたのかもしれない。前回の「和田峠」、前々回の「梅野木峠」と急峻な上りを立て続けに経験したことも良かったのであろう。スピードはゆっくりではあるが、着実に上ってゆけた。

 いわゆる「坂バカ」にはなりきれないかもしれない。でも、その入り口付近には立っているのかもしれない・・・そんなことを思った今日のロングライドであった。

2011/11/26

2081:ヒーターグローブ  

 真冬の寒さには程遠いが、今朝はロードバイクで走っていると、指先が冷たくなり感覚が少し麻痺するような感じであった。もちろんフルフィンガータイプのグローブを着用しているが、それでもそういった感じになった。

 また、足のつま先にも似たような冷たさを感じた。こちらはまだシューズカバーは未着用である。いずれにしても、これからの時期は体幹の寒さ対策と同時に、指先とつま先の冷え対策も重要な課題となってくる。

 普通のフルフィンガータイプのグローブとシューズカバーは入手済みである。11月、12月はこれで充分対応可能である。問題は1月、2月の真冬の寒さである。おそらくその時期においては更なる高性能なものを入手しないと、ロードバイクで走ること自体が拷問になってくる可能性がある。

 バイクルプラザR.T.の多摩湖周遊道路を走る走行会から戻ってきて、そんなことを考えていた。何か決定的に有効性のあるものはあるであろうか・・・それとも我慢、我慢の一点張りなのか・・・そんな思いでインターネットを覗いてみると、「これって、良いんじゃない・・・」と思えるものを発見した。

 それは「パールイズミ」のホームページにそれは乗っていた。「パールイズミ」は日本のメーカー。サイクルウェアではトップブランドで、その性能は折り紙つき。

 そのホームページに乗っていたのは「ヒーターグローブ」と「ヒーターシューズカバー」である。充電器が付いていて、指先やつま先をヒーターで暖める画期的なもの。1回の充電で5時間ほど作動するとのこと・・・これなら、ロングライドでも大丈夫かもしれない。

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 「これ、欲しい・・・」思わず見入ってしまった。価格は当然高めである。「早速注文を出そう・・・まだ今のうちなら在庫はあるはず・・・本格的な寒さが来る前に手を打とう・・・」

 寒さにはめっぽう弱い・・・まだ猛暑のほうがましである。指先とつま先のしびれるような寒さはロードバイクで走る気分を台無しにする。昨年までは1月2月はロードバイクはお休み。玄関脇でロードバイクは埃をかぶっていた。しかし、この冬は全走する予定である。

 明日はロングライドの予定が入っている。天気は良さそうである。朝のうちは少し寒いかもしれないが、太陽が出てくれば、寒いということはなさそうである。フルフィンガータイプのグローブに少し厚手のウィンドブレーカーがあれば充分であろう。

2011/11/25

2080:習慣  

 日常生活において、今やなくてはならないものに携帯電話がある。うっかりして、忘れてしまったりすると心穏やかでない。そわそわした落ち着かない気分となり、一旦家を出て車で出かけても、途中で忘れたことに気づくと、あわててUターンして、取りに行ったりする。

 携帯と同じように日頃身近にないと落ち着かないのが、スケジュール帳である。スケジュールも携帯で管理すれば「一石二鳥」で便利なのであろうが、アナログ人間の私はどうしても手帳でスケジュール管理したい。

 スケジュール以外にもいろんなことがメモされているスケジュール帳が見当たらなかったりすると、非常にあせる。たいがいビジネスバッグの隅っこにまぎれていたり、事務所の机の引き出しに入っていたりするのであるが、再会するまでは、心穏やかではない。

 スケジュール帳は当然年毎に新しいものに変える。今年ももう残り少なくなったので、来年用の新しいスケジュール帳を購入した。といってもまったく同じメーカーの同じ仕様の手帳である。同じであると安心感がある。

 真新しいスケジュール帳を手にすると、新たな年が近いことが実感される。古びてよれよれになってきたスケジュール帳は、年が変わると引退し、机の引き出しにしまわれる。

 そうして引退したスケジュール帳は引き出しの中で5年間保管される。もう実質的な用はないのであるが、時折稀に昔を懐かしむ主人の手にとられ、過ぎ去った過去の出来事をかすかに伝える役目を果たすのである。

 昨晩はブログの記事をいつものように更新しようとしたら「現在サーバーのメンテンス中です。ご迷惑をおかけします。」という表示が出てそれから先に進めなかった。

 メンテナンスの予定時間は「11月24日 4:00〜12:00」となっていたが、どうやら大幅にてこずっているようであった。既に22:00になっていた。10時間以上も予定時間を経過している。

 しばらくしてもうもう一度トライしてみたが、同じ表示が出るばかりで埒があかない。結局昨日はその表示が消えることはなかった。

 どうにも落ち着かないものである。普段身近にあるべきものがない・・・あるいは普段やりなれていることが急にできなくなる・・・そうすると人間は不安になるものである。「人間は習慣の産物」とも言われるが、「習慣」というものがいかに力を持っているものなのか・・・改めて認識した。

2011/11/24

2079:ランドマークタワー  

 東京ジングフェライン第4回定期演奏会(J.S.バッハ・ヨハネ受難曲)が行われる神奈川県立音楽堂に着いたのは、1時半の開場の30分前であった。既に入り口から続く長蛇の列が形成されていた。その列に並び、今登ってきたばかりの「紅葉坂」のほうを見ると、ランドマークタワーの特徴的な姿が目に入った。とてもシンボリックな形をしたビルである。どことなく「神殿」のような雰囲気がある。
                                                                    
 開場を待つ列があまりも長くなったせいであろうか、予定よりも10分早く開場となった。私とpontaさんは「今日はリュートが加わる予定だから、少し前目の席に座りましょう」と話していた。
                                                                    
 先日同じプログラムが演奏された富士市文化会館のときと違いオーケストラにリュートが加わる。リュートは他の楽器に比べ音量が小さめ、後方の席だとその存在感が希薄になる可能性があると思ったのである。
                                                                    
 運良く、11列目の真ん中の席をキープできた。音楽堂のホールは、大きさとしては中ホールほどであろうか。席が後方へ行くにしたがって上がっていくのであるが、その角度が一般的なホールに比べ急である。建物は外装も内装も歴史を感じさせるもので、落ち着いた雰囲気。少し古めのホールであるので、前席とのスペースはミニマム。足を組むことはとてもできない。
                                               
 リュート以外の構成は富士市文化会館のときと同じである。合唱は東京ジングフェラインと富士ベートーベンコーラス。オーケストラはオルケストラ・デル・ジョルノ。古楽器を使用している。テノール、バス・バリトン、ソプラノ、カウンターテナー、バリトンのソリストが加わり、豪華な布陣である。指揮は福島章恭さん。
                                                                   
 「ヨハネ受難曲」は「ヨハネによる福音書」をテキストとして、12使徒の一人ユダの裏切りによりイエスが捕らえられ、刑に処せられ、死にいたり、埋葬されるまでを、エバンゲリオンの語りを中心にイエスやイエスを取り巻く人々、さらには群集が加わり、スリリングにそしてダイナミックに物語が進行していく。
                                                                     
 その神聖な物語はイエスの復活と栄光をたたえるコラールで締めくくられる。そのクライマックスへの流れは、時には悠然と、時には激流のように激しく、時には冬空に小さく輝く星の光のように静謐に流れる。
                                                                      
 素晴らしい演奏に浸りながら、聴衆は船に乗って川を下るように、イエス受難の物語をたどっていく。船頭役の福島さんは気迫にあふれていた。そして、その気迫に応え、すべての演奏者が感動を共にしながら演奏するさまは、この曲の持つ神聖な力を音楽堂の隅々まで浸透させていたようである。
                                                                     
 音が音楽堂のホールの緩やかにうねる天井に反射し幾たびも聴く者の耳に到達するように、「ヨハネ受難曲」に込められた聖なる美しさは目に見えないエネルギーとなって心の中に繰り返し染み込んでくる。演奏終了後の盛大な拍手は、その「証し」であるかのように音楽堂に鳴り響いた。
                                                                         
 演奏が終わり音楽堂の外に出ると、既に夜の闇が支配していた。来る時に登ってきた「紅葉坂」を下りながら、夜空を眺めると、そこには美しくライトアップされた「神殿」が目に入った。それはまさしく「神殿」に見えた。

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2011/11/23

2078:エコ・ライン  

 立川駅に着いたのは午前7時50分であった。8時01分発の南武線・川崎行きの電車はすでにホームに到着していた。まだがらがらの電車に乗った。三人がけの端の席に座って、持ってきた高千穂遥著「ヒルクライマー」を読み始める。今日は往復で3時間ほど電車に乗る予定である。きっとこの本を一冊読みきれるであろう。

 最初の目的地は「大船」。以前よりお誘いのあったseibo邸を訪問する。そして二番目の目的地は「桜木町」。東京ジングフェラインの第4回定期演奏会を聴きに神奈川県立音楽堂を訪れる。そういった予定であった。

 立川から川崎までは約1時間ほど。そこで東海道線に乗り換えて30分で「大船」に到着。巨大な観音様が見える西口へと降りた。携帯で到着を知らせ、seiboさんの車を待った。

 空気はひんやりとしている。休日であるので行き交う人々や車の様子も少しばかりのんびりした風情が漂っていた。

 5分ほど待っていると、seiboさんのSAABが見えた。seiboさんのお宅にお伺いするのは1年ぶりぐらいであろうか・・・AMPEXのスピーカーはその時と変わらない渋い茶色の色合いを見せてくれていた。

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 私が使っているCHATSWORTH同様、木のキャビネットが美しい、古く、どこかしら懐かしさを覚えるようなスピーカーである。本来は密閉型であるが、手を加えられて背面を半分開放されている。AMPEXのプリアンプと日本のガレージメーカーが製作した真空官式のパワーアンプがそのバックを務めている。

 最近はこの駆動系以外に、お知り合いのマニアの方が製作された、乾電池式のプリアンプとデジタルパワーアンプもラインナップに加わり、適宜使い分けていらっしゃるようである。この新たな駆動系はきわめてコンパクトで省エネルギー、「エコ・ライン」とでも呼びたいところである。

 今日はその駆動系の聴き比べがメインテーマでもある。まずは真空管式のプリとパワーの「球・ライン」から・・・レコード、CDと聴かせていただいた。AMPEXはアメリカのスピーカーらしい抜けの良い明るめの音色で音楽を奏でてくれる。細かいところに拘泥しない素直な音の出方である。

 「やはり木のキャビネットのスピーカーは良いなあ・・・」としみじみ感じさせてくれる音色である。スピーカーと真空管式のアンプとの見た目的な整合性もばっちり・・・

 続いてプリアンプをAMPEXから、乾電池式のものへ、パワーアンプはそのままなので「ハイブリッド・ライン」である。すると音が一気に現代的に。SNが良くなったことが一聴して分かる。音の明瞭度が増し、空間も広がる。

 「変わりましたね・・・」

 「ぜんぜん違うでしょう・・・」

 「こんな小さなプリアンプですが、音を聴くと大きく見えてきますね・・・」

 最後はパワーアンプを乾電池式のデジタルアンプに変える。省エネ・省スペースの「エコ・ライン」である。すると音の変化幅は先ほどよりも小さいが、音の粒子がより細分化され、粒子感が空間に漂い始めた。温度感は若干下がり、繊細に・・・

 「やはり、デジタルアンプの特色が出ますね・・・繊細でクリア・・・」

 「乾電池式といっても馬鹿にできないでしょう・・・」

 三通りの音の出方は、それぞれその機器の特色がしっかりと出ていた。こういった楽しみ方もオーディオを楽しむひとつの方法である。かけるソフトのジャンルやその日の気分によって、駆動系をチョイスする・・・贅沢な楽しみ方である。

 3通りの味わいを充分に堪能してseibo邸を後にした。大船から桜木町までは京浜東北線で数駅である。駅から神奈川県立音楽堂までは歩いて10分ほど・・・「紅葉坂」という洒落た名前の坂を登っていく。やや急なその坂を歩いて登りながら、「この坂、ロードバイクで登ってみたい・・・少し短いけど良い練習になるかも・・・」そんなことを思った。

 音楽堂の古びた懐かしい感じのする建物が見えてきた。すると開場30分前にも関わらず、既に長蛇の列が形成されていた。

2011/11/22

2077:リズム  

 ヒンズースクワットを200回・・・これは、ほぼ日課になった。最初のうちは50回程度でも、筋肉痛に見舞われたが、今は200回してもほぼ平気である。だらしのない貧脚も多少は鍛えられてきたようである。

 太ももの裏側の筋肉、ハムストリングスを鍛えるには、ヒンズースクワットをする際、かかとに体重がかかるような感じですると効果があると雑誌に載っていた。お尻を後方に突き出すような感じでひざを曲げていく。太ももが床に平行になったら上に上げる。

 この単純な運動は一定のリズムで繰り返される。あまり早いリズムで行うと心拍数が上がりすぎてしまう。あまりにもゆっくりでは、筋肉がきつくなってくる。ちょうどいいと思えるリズムで行い、途中で止めたり、リズムを変えたりしないようにしている。

 斜度がきつめの坂をダンシングで上っているときのペダリングのリズムをイメージしながら行っていると「実際のヒルクライムはこんなもんじゃないよな・・・」と多少余裕を持ってできる。

 リズムは何ごとにおいても大事である。ゴルフにおいてもちょうど良いスウィングリズムを体得し、そのリズムでスウィングできればミスショットの確率はずいぶんと減る。

 今日は昭和の森ゴルフスクールであった。陽が落ちて肌寒さが増してきたので、セーターをしっかりと着こんだ。

 「ややボールが右に出るな・・・」と思っていると、鈴木プロが「ちょっとリズムが悪くなっていますね・・・トップでは腕の力と上体の力をもっと抜いたほうがリズムが良くなりますよ・・・」とアドバイスをくれた。

 私の悪い癖はトップからの切り返しで力みが出ることである。それは認識しているのであるが、これがすぐには直せないものなのである。

 「トップでリラックス・・・リズム良く・・・一定のリズムで・・・」そんなことを頭の中で繰り返しながら、ボールを打ち続けた。

 確かにトップでの脱力がうまくいくと、スムースな振りぬけができる。すると綺麗なドローボールが照明に照らされた夜空に飛んでいく。

 その白く光るボールの軌道を眺めていると、LINN LP-12のプラッターを右手の中指で軽く押した時の揺れる様子が目に浮かんだ。プラッター全体とアームベースが完全に同調してゆっくりと同じリズムで揺れ、そしてその揺れが減衰してゆき、静かに止まる様が・・・「何事もリズムが大事か・・・魅惑的なリズムが・・・」そんな取り留めのないことを思いながら、ゴルフクラブを振った。

2011/11/21

2076:空隙  

 自宅試聴のために3日間お借りしているLINN AKIVAのことのついて記事をひとつ書こうと思っているのであるが、少々気が重く、筆がスムーズに進みそうにない。

 ブログの記事の更新は30分程度で済ませるというルールを設けているので、パソコンの画面の前で首をひねりながら逡巡している暇はない。30分なんて時間はあっという間に過ぎてしまうからである。

 普段はパソコンの電源が立ちあがったなら、一筆書きの絵を描くようにキーを叩き続け、20分ほどで文章を書き、誤字や変換ミス、さらに文章の流れをチェックして「投稿する」ボタンをクリックして、一連の作業は30分ほどで終わる。

 しかし、今日は電源を立ち上げても、「どう切り出そうか・・・」あるいは「どう言い訳しようか・・・」としばし黙考・・・それだけで5分ほど時間が経過してしまった。

 これから述べるAKIVAに対する感想は、幾つかのかなり特殊な環境のもとでのものであり、普遍性という点において、きわめて心もとないものであることを、まず断っておかないといけない。

 特殊性その一・・・我が家のリスニングルームは8畳と狭く、広々したエアボリュームが不足していること。

 特殊性その二・・・我が家のリスニングルームに鎮座するスピーカーとこれを駆動するアンプは、約半世紀前に造られた「骨董品」であり、現代機のような高い性能を有していないこと。

 特殊性その三・・・我が家のリスニングルームの主人は、バロック音楽、それも古楽器を用いて演奏されたレコードなどを好物としている変わり者で、オーディオ的な快感度の高いソフトをあまり好物としていないこと。

 特殊性その四・・・我が家のLP-12は、ほぼポン置き状態のまま数年が経過してしまい、昨日の「講習会」を契機に調整作業をこれから始めようとしている低レベルのものであること。

 こういった特殊性を考慮していただくと、私のインプレなどとるに足らず参考にすらならないものであるということがお分かりいただけたと思う。

 もしも我が家ではなくAKIVAがその実力を遺憾なく発揮できる環境で用いられたなら、その価格に見合った素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたはずである。

 しかし、我が家の特殊な環境(上記のように高級な機器がその実力を発揮しずらい環境)のもとでは、「ありゃりゃ・・・」という言葉と共に、ため息しか出なかった。根本的なところで私の好みと違った方向性を感じてしまった。

 「AKIVAならオーバーハングもぴったり・・・」と内心期待してたのであるが、残念である。こうなれば、RUBYではどうしても合わないオーバーハングを合わせるために、各種メーカのリード線を購入し、試すことにした。

 さらにLINN純正のリード線の端子部分を不器用な手で加工してみた。慎重にやったつもりであるが何本がリード線をだめにしてしまった。

 というわけで、EKOS SEの三つ目のネジ穴はぽっかりとその空隙を空けたまま、埋まることはなさそうである。



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