2011/10/28

2053:ツレ  

 わが家のオーディオシステムは、クラシック向きのやや古めの製品で占められている。まずはスピーカー。TANNOY CHATSWORTHはTANNOYの中でも小型に分類される製品である。その見た目の華奢な感じといい、盛大にキャビネットを振動させる構造といい、タイトで重量感のある音よりも、軽めで広がり感のある音が得意分野である。

 そして、アンプ。Quad22・Uのペアは、真空管アンプ独特のやや高めの温度感で少し音像をぼかし気味に描く。オンマイクよりもオフマイクで採られたものが好物である。

 このアンプとスピーカーで大迫力のロックを聴こうとしてもそれはなかなか上手くはいかない。アコースティック楽器を使用したジャズであれば、それなりの雰囲気を出せるかもしれないが、暑くほとばしり、こちらに迫り来るような怒涛の威圧感はあまり出ない。

 この組み合わせがもっとも得意とするのは、クラシックの弦楽合奏であろう。小編成の弦楽合奏や、協奏曲などは実に滑らかな質感で表現してくれる。特にバロック時代の作品などは、ちょうどスウィートスポットにはまるようである。

 解像度はやや低め、実際のホールで耳にする程度の混ざり具合である。きっちりと個々がその存在を主張し、明確な区分を描こうとするというよりも、色合いが混ざり合ってにじみもところどころに見受けられるような色調になりがちである。なので、オーディオ的に突き詰めた感じはでない。

 QUADのアンプで鳴らすCHATSWORTHを初めて聴いたのは、もう4年ほど前になるであろうか・・・その時の印象は、「実にリラックスした、陽性の音・・・」というものであった。

 わが家ではなく、お知り合いの方の家で聴かせてもらったのである。その音に触れ、肩から妙に力が抜け、頬が緩みがちになっている自分に気付いた。

 それまでに様々なオーディオマニアの方のお宅で、思わず「凄い・・・」と唸ってしまう音に触れてきた。そういった凄みは微塵も感じられなかったが、妙に心惹かれるものを感じた。「もしかして、道を間違っていたのかも・・・」そう感じた。

 心を惹かれるという表現は適切ではないかもしれない。心を許せると言ったほうが私が感じた実感に近いかもしれない。

 やがて、わが家からは高額で重量の重いオーディオ機器は姿を消し、片手で持ち上げられるほど軽く古いTANNOYのスピーカーと、ぱっと見はこれで大丈夫なのといった不安感を抱かせるぐらいにコンパクトで時代がかった意匠をまとったQuadのアンプが、リスニングルームの主要な座を占めるようになった。

 それから、数年が経過したが、その状況は変わっていない。OFF会などで、凄みのある音に触れると掛け値なしで「これは、凄い!!」とは思う。そんなOFF会の後、家に帰ってすぐさま我が家の音を聴くと、「ずいぶんしょぼくれているな・・・」とは感じるのであるが、「なんだか、ほっとする・・・」とも感じてしまうのである。



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