2011/10/21

2046:ホ・オポノポノ  

 「今、真剣に受けてみようかと考えているセミナーがあるのです・・・自己啓発セミナーの類なんですけど・・・」

 「私も勤務時代に一度受けたことがあります。会社の研修の一環だったんですけど1泊2日で、結構印象的な出来事でした・・・」

 「そういったものとはちょっと毛色が違うんです・・・」

 「そうですか・・・どんな感じなんですか?」
 
 「taoさんは、ホ・オポノポノって聞いたことありますか?」

 「なんですか、オポオポって・・・」
 
 「ホ・オポノポノです・・・ネイティブハワイアンの伝統的なセルフクリーニング法だそうです。心の奥深くに蓄えられた負の記憶をクリーニング・・・つまりきれいにすることによって、日常生活を前向きに心豊かに過ごすための方法なんです。」

 「ハワイですか・・・セルフクリーニング・・・つまり心を浄化するということですか?」

 「ええ、きっとそうゆうことだと思います。ここ数年心の問題では結構悩まされてきました。単にホルモンバランスの問題かもしれませんし、いわゆる鬱病の一種かもしれません。本来は病院に行って薬を処方してもらえばいいのでしょうが、なんだか違うような気がするんです。心の奥底で違う・・・という気がしているのです。最近ホ・オポノポノに関する本を読んで、とても心惹かれるものを感じて・・・」

 「もしかして、そのセミナーに一緒に参加してほしい、というのが頼みたいことですか?」

 「ええ、五反田の時も無理を言いました。主人はこういった方面のことは頭ごなしに否定するタイプの人間で・・・一人で参加するのも正直不安なところもあって・・・」

 「そうですか・・・乗りかかった舟ですからね・・・霊媒師でもネイティブハワイアンでも付き合いますよ・・・」

 「セミナーはすぐではないのです。今申し込んでも、セミナーは3月の下旬です。」

 「3月の下旬・・・下旬なら大丈夫です。確定申告が終わっていますからね・・・私にとっても新しい発見があるかもしれませんし・・・いいですよ、一緒に参加しましょう。参加費はいくらなんですか?」

 「75,000円です・・・」

 「わかりました・・・事務所の研修費で処理できますからね・・・」

 「頼みたいことがある・・・」と「寧々ちゃん」から言われたとき、「いったい今度の頼み事は何だろうと・・・」と少々不安になった。しかし、五反田の件に比べるとセミナーに一緒に参加することぐらい訳はない、と感じた。

 しかも3月のことで、ずいぶん先である。彼女の心の問題が少しでも良い方向に向かうのであれば、それに越したことはない。

2011/10/20

2045:練習場シングル  

 「軸がぶれますね・・・」「もう少し軸を垂直に保つように意識して・・・」「トップでの頭の位置を動かさないような気持ちでインパクトまでもっていってください・・・」鈴木プロは幾つかの注意点を矢継ぎ早に指摘する。

 一昨日のラウンドでは、左右が狭いトリッキーなミドルホールでのドライバーショットの乱れが、決定的な要因となってスコアを崩してしまった。

 これを、鈴木プロに伝えると「ドライバーショットはプロでも曲げますからね・・・アマチュアは曲げて当然ぐらいに考えたほうがいいですよ・・・左右が狭いと思って恐々振るから体が途中で止まってしまって左にひっかけるのです・・・思い切って体ごと振り切れば大丈夫ですよ。そのためには軸がしっかりしていないと・・・」とアドバイスをしてくれた。

 「軸を垂直に保つか・・・これが結構難度が高い・・・」少し気を抜くとトップでは左に軸が折れ、ダウンではその反動で右に折れてしまう。そうするとクラブの軌道がいびつな形となってしまう。

 右腰を後ろに引くようにテイクバックして、トップまでもっていき、軸を垂直に近く保てると、ナイスショットの確立が高まる。

 「こんな感じかな・・・」練習場ではまずまずである。それはいつものこと・・・練習場では何球でも打てるので気が楽である。しかも足元は水平で、マットが打球方向をしっかりと認識させてくれる。

 しかし、本番のティーグランドは必ずしも水平ではない。方向性も何らかの目印を見出して、それに合わせてどうにか確定する。しかも1球勝負である。緊張感が違う。左サイドに白い杭が立ち並ぶ様が目にちらちらと入ってくると、腕に力が入るものである。

 結局、一時間半のほとんどの時間をウッド系のクラブの練習に費やした。残念ながら今回は「寧々ちゃん」の打席とは離れた位置であった。Nさんはいらしていたが、Sさんは欠席のようであった。

 「今度はいつラウンドですか?」鈴木プロが終わりのほうで訊いてきた。「もう今月は予定がないんです・・・11月には3回ほどラウンドする予定です・・・」そう答えた。

 「そうですか、じゃ来月は3回連続90切りを目指しましょう・・・」鈴木プロの表情は明るい。「練習場と同じようなドライバーショットが本番でも打てれば、できそうですけど・・・」私ははにかみながら言った。

 実際そのとおりである。練習場では時々錯覚する。「俺って上手いじゃん・・・」と・・・しかし、大概は打ちのめされる。「俺ってもしかして『練習場シングル』かも・・・」と意気消沈することが多いのである。

 スクールが終わった。Nさんは「ちょっと用事があって早く帰らなきゃ・・・」と言って、スクールが終わるとすぐに自宅へ向かった。

 私と「寧々ちゃん」で、いつものように休憩コーナーへ。内心「しめしめ・・・」と思いながら、テーブルに着いた。

 取り留めのない話をしばらくした後、「寧々ちゃん」は「実は、頼みたいことがあるんですけど・・・」とためらいながら切り出した。

 「頼みごと・・・まさか、また五反田の霊媒師のところに一緒に行ってくれという話ではないよな・・・」心のうちで少々ヒヤッとするものを感じたが、「もちろん、何でも言ってください・・・」と即答した。

2011/10/19

2044:ロストボール  

 昨日はハードな一日であった。昼間は法人会主催のチャリティーコンペに参加し、夜は昭和の森ゴルフ練習所のゴルフスクールに参加したからである。

 法人会主催のチャリティーコンペは毎年この時期に主催される。法人会の役員の方から誘われてほぼ毎年参加している。場所は東京国際カントリークラブである。

 このコースは変化に富んでいる。そういう意味では面白いコースなのであるが、幾つかトリッキーなホールがあり、若干の苦手意識を持っている。

 昨日は10月としては比較的暖かい気候で、半袖のゴルフウェアでプレイすることができた。乗用カートが用意されていたが、足腰を鍛錬するためにほぼ乗らずに歩いた。

 INスタートであったので、10番ホールから。前半の9ホールはまずまずのでき。パーが二つ、ダブルボギーが二つ、後は全てボギーで、「45」であがった。これであれば、後半の出来次第で90切りが可能なスコアである。

 昼食休憩後OUTコースを回った。1番、2番はボギー・・・そして3番ホールへ。距離のない打ち下ろしのミドルホールである。右はOBゾーンが近く、左は距離が出てしまうと林に打ち込んでしまう。ティーグランドに立った時に居心地のあまり良くないホールである。

 右のOBを警戒しすぎてか、ボールは随分と左方向へ・・・ボールは林の中へ消えた。その第一打が結局ロストボールとなってしまい、このホールをトリプルボギーにしてしまった。

 さらに続く4番ホール。延々上りの長めのミドルホール。ハンディキャップが「1」の難しいホールである。こちらは左側のOBゾーンがカート道のすぐ脇に広がっている。「ひっかけると終わりだな・・・」ついついそう思ってしまう。

 そう思うと、OBゾーンに引き込まれるようにボールはフックして行った。「もう一球お願いしま〜す」・・・キャディさんの冷酷な宣告が響き渡った。

 このホールもトリプルボギー。この二ホールですっかり意気消沈してしまった。その後のホールは全てボギー。結局後半はパーがひとつもなかった。スコアは「49」。トータルでは「94」というラウンドとなってしまった。

 心身ともに疲れたのであるが、夜になってゴルフスクールに参加することにした。いざという時にどうしても乱れるドライバーショットを練習する必要を感じたのと、「寧々ちゃん」の存在が、疲れた体をVW POLOのドライバーズシートに押し込めたのである。

 昼間は暖かかったが、日が落ちるとさすがに涼やかである。駐車場に着くと、黒のMitoを探した。ここの駐車場は広い。運良く、すぐさま見つけることができた。「今日も参加している・・・」ちょっと安心した。左横が空いていたので、POLOをその間隙にすばやく滑り込ませた。

2011/10/18

2043:カトキッチャン  

 「カトキッチャン カトキッチャン 食べて美味しい カトキチの冷凍讃岐うどん」・・・「加ト吉」という社名は変わってしまったようである。ブランドとして「カトキチ」は残るが、社名は何故か「テーブルマーク」へと変わってしまった。

 「何故・・・」少々落胆した。「何故テーブルマークなんだ・・・何故加ト吉では駄目なんだ・・・」心の中で小さく叫んだ。

 確かに冷凍讃岐うどんは美味しい。沸騰したお湯に入れて1分ほど。熱々に茹で上がったうどんをどんぶりに入れ、生卵を入れてかき混ぜる。うどんの熱で半熟になった卵が麺に絡みつく。青ねぎを細かく刻んで大量に入れる。だし醤油を適量たらして食すると・・・「カトキッチャン、カトキッチャン・・・」と鼻歌でも歌いたくなる気分になるものである。

 けっして「テーブルマーク、テーブルマーク・・・」とは歌わない。いくら不確実性の世の中であっても、それだけはないと断言できる。

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 チューバホーンさんのお宅では、XERXES20の調整がほぼ煮詰まり、音の質感がぐっと上昇気流に乗ったのであるが、この段階ですぐさま「カトキッチャン、カトキッチャン・・・」と鼻歌があちらこちらから漏れ出ることはなかった。

 「妙に空間が広い・・・」チューバホーンさんがそう漏らした。Naruさんも頷く。私もセンターに座らせてもらって検証すると、かぶりつきの席でオーケストラを聴くような感じで左右に妙に空間が広がっている。音量は19列目、左右の広さは3列目・・・そういった違和感を感じた。「テーブルマーク」という社名に感じたような違和感を・・・

 そこで急遽、「テーブルマークを加ト吉に変えよう作戦」を展開する運びとなった。従来の「交差法」から「平行法」にスピーカーの設置方法は変更されていたが、二つのスピーカーの間隔が広すぎるのが違和感の原因のような気がした。

 そこで、スピーカーの間隔を狭めることに・・・一旦大胆に狭めたら、少しばかり空間表現が窮屈にになってしまった。何事もやりすぎはいけないということである。

 今度は少々間隔を広げた。視覚的な落ち着き感もでてきて、空間表現も適切と思われるサイズに納まった。チューバホーンさんがセッティング用のソフトを使って微調整すると、落ち着くべきところに落ち着いたような安心感がりスニングルームに舞い降りてきた。

 やはり加ト吉である。「カトキッチャン、カトキッチャン、食べて美味しい冷凍讃岐うどん」このCMソングが、私の耳の中で鳴り響き始めた。

 Naruさんは「きてるね・・・」と何度かつぶやかれた。そうきていたのは「カトキッチャン」であったのである。私にはその姿がはっきりと見えた。

2011/10/17

2042:人妻  

 アナログは調整項目が多い。そして、それらの調整項目によって、音の変化する幅が大きい。それが楽しみでもあり、時には苦しみでもある。

 アームの高さ、針圧、インサイドフォース、カートリッジの取り付け位置、はたまたカートリッジをアームに取り付ける際のネジの締め付け具合に至るまで様々な調整項目がある。

 フローティング構造であればそのフローティング構造体の調整も重要な要素となってくる。LP-12は、フローティングの要のスプリングの締め具合で、音に相当な影響があるようである。

 私は、フローティングの調整はプロの方にお願いして、アームの高さと針圧、さらにインサイドフォースを調整するぐらいではあるが、それでも試行錯誤は続く。いずれはフローティングの調整に関しても手を染めたいと思っているのであるが、収集がつかなくなるような気がして躊躇しているところである。

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 昨日はチューバホーンさんのリスニングルームにお邪魔した。チューバホーンさんのお宅のアナログプレーヤーはROKSAN XERXES20。実は私が以前使っていたプレーヤーである。私は一時「アナログプレーヤー中毒症」に罹患していた。

 その典型的な症状としてアナログプレーヤー複数所有症を併発していたのである。3台ものアナログプレーヤーを一時所有していた。「これではいけない・・・」と反省し、中毒症を克服するために2台のレコードプレーヤーを手放したのであるが、チューバホーンさんのお宅でXERXES20の美しいメープルを目にするたびに、心に疼くものが・・・
 
 それはさておき、チューバホーンさんのXERXES20の下には「アップグレード・プリンス」と呼ばれる専用の純正ベースが設えられた。その組み込みも含め、アナログプレーヤーの調整は名手Naruさんが担当されている。

 チューバホーンさんのお宅に到着した時にはほぼ組み込み作業が完了して、音出ししながら幾つかの調整項目を整える段階であった。

 脇の椅子に座りながらその様子を見ていたのであるが、すぐさま「音が別物・・・」という印象を持った。低音の密度感や躍動感がぐっとアップ・・・下半身が安定したティーショットのような、力強さを感じさせる・・・クラシックはもとよりBEATLESなどのレコードも実に良い感じで鳴るようになった。

 「アナログは変化幅が大きい・・・微妙な調整の累計が妙なる音を引き寄せる。」改めてその認識を新たにした。XERXES20は華麗でしっかりとした台座と名人の手による調整を経て、一皮も二皮もむけたようである。

 その美しくも自然で有機的な音のテクスチャーを紡ぎ出すXERXES20は、その美しい横顔がさらに光り輝いていた。XERXES20はもう「人妻」である。「人妻」であるだけに余計に激しく疼くものが、私の心には湧き上った。

 アナログの調整が終わった後は、従来の「交差法」から「平行法」に変更されていたスピーカーのセッティングに課題が移行した。その様子は明日にでも・・・

2011/10/16

2041:単独走行  

 集団で走行する場合と、単独で走行する場合では、集団で走行する場合のほうが心身にかかる負担は軽い。プロ選手のような高速走行時には30%もそのかかる負荷が変わるという。

 ホビーライダーのゆっくりとした速度域でもその差はある。20%ほどは違うのであろうか・・・7,8名で先頭を順次後退しながら隊列を組んで走ると、やはり楽である。風の抵抗が軽減されるうえ、ペースを一定に保てる効果が大きい。

 バイクルプラザR.T.では毎週日曜日にロングライドを行っている。そして第3日曜日は、そのなかでもかなり長い距離を走る。そのため通常の100kmほどのロングライドでは2時ごろに家に戻ってこれるが、第3日曜日の場合には、家に着くのが夕方になってしまう。

 今日は4時から予定が入っていたので、チーム走行をパスして、単独走行でのロングライドに行くことにした。目的地は山伏峠。往復でちょうど100km程の距離である。

 早朝まで降り続いた雨も7時過ぎには止んだ。路面は濡れているが、天気は快方に向かっているとの予報であったので、サイクルウェアに着替えて、ORBEA ONIXのサドルにまたがった。

 10月中旬としては気温は高めで、アームウォーマーはいらなかった。単独走行時にはペース配分に気をつけないと、オーバーペースになりがちである。速度を25km程度に抑えてゆっくりと走る。

 30kmほど走って名栗川沿いを走る頃には、天気はほぼ快晴に近い状況となった。一旦小さな食料品店によって、エネルギー源を補給。少しの時間小休止した。鄙びた感じの小さな食品店には、時折近所の方が立ち寄り、果物などを買っていった。周囲の山間の風景と溶け合った、穏やかな景色である。

 そこからしばらく走ると、峠の上り口につく。ここから約4kmほど先の峠の頂上まで上り、そしてUターンして戻ってくる。上っている時間は20分ほど。いつものように「亀」を決め込んでゆっくり上がって行く。

 途中ロードバイクで反対から下ってくる方に2名ほど出会った。軽く会釈をして軽やかなスピードで下っていく。こちらは荒い呼吸でペダルを必死で漕ぐ。もう少ししたら、あの軽やかさを私も手に入れることができる・・・そう思いながら漕ぐ。

 4kmというのはそれなりの距離ではある。そして、それなりに体には負担がかかる。頂上に着き、ビンディングから足を外し呼吸を整えてから反転した。

 世界はがらっと変わる。下り終えるまでに逆方向からロードバイクで上ってくる方に2名出会った。すれ違いざまに軽く会釈をした。その時優越感のようなものを感じた。一足先に軽やかな世界にワープしただけであるが、少し嬉しかった。

 自宅に着いたのは1時過ぎ。シャワーを浴びて小休止・・・100kmの距離をロードバイクで走ると、当然体には疲労成分がずんと溜まっている。しかし、心は軽やかである。精神の滓のようなものが、汗と一緒に体外へ出たからであろうか・・・

 4時にはチューバホーンさんのお宅に着いて、オプションのベースを装着したROKSAN XERXES 20を聴かせてもらう予定である。セッティングはNaruさんが行うので一分の隙もないセッティングがなされるはず・・・その様子は明日にでも報告します。

2011/10/15

2040:ブリティッシュ  

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 全く異なった価値観によって構築されているような気がする。日本のプリメインアンプの場合、価格が高くなるにしたがって、躯体は立派に大きくなっていく。もちろん重量もアップしていく。それが価格の裏づけであるかのように・・・

 薄くて軽いということは、その価値感に従うと、安く、音が悪いという結果に繋がる。しかし、イギリスのオーディオ製品の多くは薄くて軽い躯体を有している。

 naim audioのプリメインアンプNAIT3は、1993年に発表され、2000年まで製造された。イギリスらしい薄く軽い躯体で、naim audioのロゴデザインにも採用された二つ並んだ大き目のノブが印象的なデザインである。

 私はこの手のイギリス製品にめっぽう弱い。これは体質的な問題で理屈ではない。ごく一般的な見方に従えば高級感の欠片もない造形と色使いであるが、私の心に対する吸引力はすこぶる高い。まるで吸引力がいつまでも落ちないダイソンの掃除機のようである。

 このプリメインアンプと、同じ時期に発表されたnaim audioのCDプレーヤーCD3とセットでラックに納め、HARBETHかSPENDORのスピーカーを鳴らす・・・ブリティシュオーディオの薫り高いオーディオシステムである。

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 naim audioと同じように色濃くイギリスを感じさせるオーディオ製品がAura VA-50である。こちらも薄型の躯体で、一目見たら脳裏に鋭く焼きついて離れないデザインをしている。

 こちらもVA-50とセットとなるCD-50とそろえてラックに・・・そしてイギリス製の真四角なスピーカーを鳴らす。

 こういったオーディオ・セットの場合、リスニングポイントの椅子にしっかりと座って腕を組んで聴いてはいけない。センター位置ではないソファにぐでっとしながら聴くのがいい・・・雑誌でも眺めるともなく眺めながら・・・

2011/10/14

2039:トレイ  

 CDプレーヤーのトレイは普通前後に真っ直ぐ移動する。EJECTボタンを押すと、すっと手前にトレイが出て、止まる。トレイにCDを乗せて、もう一度EJECTボタンを押すと、すっと後方に移動し本体に納まっていく。そして、PLAYボタンを押すと演奏が始まる。

 このトレイの開閉は、できればスムースにそしてかすかな動作音で行われると気落ちが良いものである。この動作がぎこちなかったり、動作音が低級であったりすると、少々興ざめである。

 トレイの位置は正面から見て、本体の左側にあることが多いが、センターや右側に設置されていることもある。我が家のCDプレーヤーのCD-12の場合、トレイはセンター配置である。

 トップローディングの場合には、本体の上部にCDを設置するため、スライド式の蓋が着いていたり、EJECTボタンで蓋が上に開く形式のものが多い。いずれであってもトレイは不要で、CDを設置してスタビライザーを乗せて固定する。

 トップローディングで蓋がスライド式である場合、手動であることが多い。METORONOME TECHNOLOGYの一連の製品などは手でスライドさせる方式であり、これはこれで安心感があり好きである。

 トレイ式の場合、ほとんどが電動であり、リモコンで操作するケースが多い。しかし、トレイ式であっても手動でトレイを開閉するCDプレーヤーもある。そういっためずらしい方式をとっているメ−カーが「naim audio」である。

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 「naim audio」のCDプレーヤーのトレイには小さなノブが付いていて、そのノブを手に持って手前に引き出す。トレイは真っ直ぐでてくるわけではなく、湾曲するようにカーブしながら出てくるのである。

 この動作はとてもユニークである。このいささかユーモラスでありながら優れた洒脱さを感じさせる動きは現行品だけでなく、古い製品でも採用されている。結構歴史のある方式なのである。

 こういった動作をするCDプレーヤーが手元にあったならCDをセットする作業ももっと楽しいものになるような気がする。

 トレイを本体へ戻す作業ももちろん手動である。これなら故障によりトレイが開かなくなったり閉まらなくなったりということも生じ得ない。

 この「naim audio」、残念ながら売れ行きは芳しくなかったみたいで、輸入代理店はその取り扱いを停止した。デザインや独特の機構など、いかにもイギリス的なメーカーで、個人的には好きで応援していたのであるが、残念である。

2011/10/13

2038:闇  

 闇は一様に暗いわけではない。淡くほの暗い部分もあれば、漆黒の闇のように空間が凝縮されたかのような濃い闇もある。

 心の闇も同様である。灰色と呼びたいようなほの明るい色合いの部分もあれば、全ての質量が倍増し吸い込まれていくかのような深い底無し感に満たされた闇もある。

 「寧々ちゃん」の心の具合は、ここ数年そういった闇の濃淡を微妙に描き分けていた。一時は「もしかしたら、自殺するのでは・・・」と本気で心配するような状況にまで至った。

 しかし、一昨日の様子では穏やかな傾向を取り戻し、その闇には淡い光ながら光明が差し込み始めたように感じられた。

 「先週はロードバイクで一緒に走れて楽しかったです。自転車に乗る時には『引く・引かれる』という表現を使うとNさんから教わりました。『引かれる』感覚がとても心地良かったです。

 なんだか身を委ねている安心感がありました。以前一度だけ参加した自己啓発セミナーのひとつのメニューにグループごとに数名に分かれ、順次ひとりのメンバーが後ろに倒れ、それを他のメンバーが床に着かないように手で支える、というものがありました。

 皆一様に目をつぶって後ろに倒れます。最初はやはり恐怖感があるのですが、5,6名の他のメンバーの多くの手が床に着く前に体を支えてくれた時の柔らかな安心感が印象的でした。

 ロードバイクで引かれている時にもそれに似た心境があるように感じました。また、誘ってください。」

 「寧々ちゃん」から今日の午前中に入ったメールである。「長い距離はまだ難しいかな・・・また多摩湖の周遊コースにするか・・・」そう思いながらスケジュール帳を開いた。

 「今週末、土曜日は午前中は仕事の予定がはいている。午後なら空いているな・・・日曜日はロングライドに行く予定だし、土曜日の午後にしようか・・・」そんなことを考えながら、「自己啓発セミナーにも参加したんだ。OL時代のことであろうか・・・」と「寧々ちゃん」のメールの文面のことが頭をよぎった。

 私も勤務時代に企業研修の一貫としてそういったセミナーに参加したことがあった。費用はもちろん会社持ちであり、同僚数名と一緒に参加した。

 いろんな課題をチームでクリアしていき、連帯感を育むメニューが多かった。その中でグループごとに別れ、ひとりづつ横になったメンバーを他のメンバーが手で持って肩の高さまでゆっくりを持ち上げ、またゆっくり床に降ろすというメニューあった。

 もちろん皆初めての経験である。そのときの独特な感覚はとても印象的であった。「寧々ちゃん」が体験した背中方向に目をつぶって倒れていき、それを他のメンバーが床に着く前に支えるというメニューも同様の心理効果をねらったものかもしれない。

 彼女は安心感が欲しいのであろうか・・・何もも考えず身を委ねられるような安心感が・・・心の闇をやわらげてくれるような・・・

2011/10/12

2037:視線  

 ゴルフスクールが終了した。涼しい気候であったが、1時間半ゴルフボールを打ち続けていると、体はそれなりに汗ばんだ。昨日はSさんとNさんも来ていたので、私と「寧々ちゃん」を含めて4名でいつものように、休憩コーナーで冷たいものを飲みながら、10分ほど談話した。

 Nさんと「寧々ちゃん」とで、ロードバイクの話になった。そこへSさんが割って入ってきた。

 「ロードバイクって、あの細い自転車のこと・・・ブレーキがないって問題になってるやつ・・・」

 「いえ、いえ、違います。ブレーキがないって問題になっているのは、また違う自転車です・・・普通のロードバイクにはブレーキはちゃんとあります。」Nさんが落ち着いて答えた。

 「あっ・・・そうなの・・・○○さんも始めたんですか?あら、そう・・・じゃあ、私も始めようかしら・・・でも、自転車がかわいそうね・・・私に乗られたんじゃ・・・」

 心の中で「ナイス、つっこみ・・・そのとおり!」とは思ったが、笑顔を作って「始められたらどうですか・・・今の季節はロードバイクで走るのに最高ですよ・・・」と、とりなした。

 Sさんのサイクルウェア姿は正直目にしたくはない。サイクルウェアは体のラインがしっかりと出る。その曲線はできればしなやかなものであってほしい。

 休憩コーナーから出て、ゴルフバッグを担ぎながら駐車場に置いてあるそれぞれの車に向かった。残念ながら、「寧々ちゃん」のMitoとはかなり離れた位置にE350は停めてあった。なので、すぐさま別々の方向へ向かうことに・・・

 「お疲れ様・・・」

 そう言葉を交わして、別れた。その一瞬「寧々ちゃん」と視線が交差した。その時の感触が妙にひっかかるものであった。どう表現すべきか迷うが、何かしら求められているような感覚であった。

 E350はいつものように硬質な音を響かせてドアが閉まった。固めのシートにすわり、エンジンのスタートボタンを押す。ディーゼルエンジン特有の乾いた感触のエンジン音が立ち上がる。

 「妙に訴えかけるような視線だったな・・・」

 白く光るスピードメーターの光に目をやりながら、独り言を言った。「何かしら、話したいことがあったような・・・あるいは何か頼みごとがあるような・・・」そんな風に感じた。



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