2011/5/31

1903:ラウンドレッスン  

 上野原カントリークラブの上空には雲がかかっていた。しかし、西側の雲はとぎれとぎれになりつつあった。その雲間からは鮮やかな青い色が垣間見えていた。

 今日はゴルフスクールのラウンドレッスン。参加したレッスン生は6名。3名づつ2組に分かれる。午前中は1組目に、午後からは2組目に鈴木プロが一緒にラウンドする。現場でいろんなアドバイスをしてくれる。

 「寧々ちゃん」グループの3名は全員参加。私以外にも2名の男性が参加。私は2組目、同伴は「寧々ちゃん」とNさん。その組み合わせを見て、内心「ついている・・・」と思わずにはいられなかった。

 しかし、少々不安要因も・・・「寧々ちゃん」と一緒のラウンドでは、一度も良いスコアが出たためしがないのである。

 良いところを見せようと意気込むのがかえって空回りしてしまうのかもしれない。「今日は肩の力を抜いて、7割がたの力でスウィングしようと・・・」心に誓ってのラウンドとなった。

 午前中は鈴木プロは前の組について回るので、3名でのラウンド。常に「肩の力を抜いてクウォータースウィング・・・」と自分意言い聞かせながらスィングした。距離は落ちるが方向性のばらつきは比較的軽減される。

 まずまず、穏やかな滑り出しであった。しかし、なかなかパーが来ない。1番から4番まですべてボギー。5番はセカンドショットがグリーン手前のバンカーにつかまった。バンカーはここ数日の雨で砂が重い。

 一発で出なかった。手前に入りすぎたようである。ダブルボギーとなってしまった。その後もボギーが続き、パーがこない。

 9番は短いミドル。ここはパーを狙える。クウォータースウィングを心がけていたが、つい力みが入ったようである。左へ思いっきりひっかけてしまった。ボールは林の中に消えた。そこからは横に出すだけ。サードショットもグリーンに乗らず、結局ダブルボギー。

 「寧々ちゃん」とのラウンドでは良いスコアが出ないというジンクスは依然生きているようである。午前中は、結局パーなしの「47」。意気消沈気味に昼食を採った。

 午後は鈴木プロと一緒に回る。ラウンドレッスンはありがたいが、あがり症の私はプロがすぐそばで見ていると、どうしても動きがぎこちなくなる。今までラウンドレッスンでまともなスコアが出たためしがない。

 「これでは・・・90切りは難しそうである・・・」少々あきらめモードで後半へ突入。結果は「48」。トータルで「95」・・・スコア的にはがっかりと肩を落とした結果となってしまった。

 しかし、悪いことばかりではなかった・・・ 

2011/5/30

1902:コンデンサー  

 白い円柱状の小さな部品に、その両端から細い金属の線が出ている。とても小さく軽いコンデンサーである。

 このコンデンサーをパワーアンプの出力端子かまたはスピーカーの端子に取り付ける。すると不思議な現象が起きる。

 音の雑味感が消え、ストレートな音調となるのである。よりシャープでダイレクトな音の出方である。音の流出速度が上がるかのような印象である。

 オルフィさんのお宅にお邪魔すると「お土産」をいただくのが恒例となった。前回は、真空管に巻く銅箔をいただいて帰った記憶がある。その銅箔の輪はわが家のEF-86のお腹を温め続けている。今回は小さなコンデンサーをいただいて帰った。

 オルフィさんのリスニングルームには、実の多くの「部品」や「真空管」や「その他様々なもの」が溢れている。

 そういった多くのものが実際にオーディオ機器に装着され、その効果の程の検証が日夜繰り返されているのである。

 そういった厳しい検証を潜り抜けてきたコンデンサーなので信頼性は高い。わが家のビンテージ・オーディオ機器においてもその効果のほどは確認できた。

 設置場所はQUADU、TANNOY CHATSWORTH、TANNOY ST-100から選択することとなる。色々と試行錯誤した結果、TANNOY ST-100の端子に接続した時に、その効果の程がちょうどいい具合の効きに納まるように感じた。

 QUADUかTANNOY CHATSWORTHの端子に接続したほうが、その効果のほどは大きいように感じられたが、直間比率で直接音の比率がぐっと上がる。多少ももやもや感のある程度の範囲に収めるには、ST-100の端子に接続するのがいいようである。

 シャープな質感になり過ぎてもいけない、音の表面の産毛を保ちつつ、全体の見通しもクリアにしていく。そういった狙いにちょうど良い効果をもたらす・・・この小さなコンデンサーは、なりは小さいが、その効果のほどは大きいようである。

2011/5/29

1901:タイム・トライアル  

 ジロ・デ・イタリアは最終日を迎えた。3週間にわたって行われてきた過酷なレースの最終日は、個人タイム・トライアルである。タイム・トライアル用のロードバイクはその形状が独特である。見るからに空気を効率よく切り裂けるようなエアロフォルムが満載である。その目的は実に明確である。

クリックすると元のサイズで表示します


 今日は降り注ぐ雨のなかオルフィさんのお宅に向かった。従来圏央道は川島インターが終点であったが、新たに桶川・北本インターができ、そこが終点となった。新しいインターができたおかげで、オルフィ邸到着までにかかる時間は随分短縮された。ちょうど1時間で到着した。

 オルフィさんのリスニングルームの主役はガルネリ・オマージュである。しかし、このガルネリ・オマージュにオリジナルの面影はあまり残っていない。徹底的にチューンナップが行われた結果、別次元のスペシャルバージョンが出来上がったのである。

 そして、今日はガルネリ・オマージュばかりでなく、興味深い2つのスピーカーも居合わせていた。ひとつは5インチのフルレンジユニットを搭載したFeatrex製スピーカーであり、もうひとつはHARBETH HL COMPACTである。

 片や先日とても興味深く聴いた5インチフルレンジユニットを誇らしげに示す、独特のプロポーションの独創的なスピーカー。片や英国紳士然とした育ちの良さをそのいでたちからしっかりと漂わせている。

 2つのスピーカーは、それぞれにその持ち味を発揮してくれたが、この部屋の主役は、あくまでガルネリ・オマージュである。

 ガルネリ・オマージュが、その持てる力を遺憾なく発揮できるように、無数の対策の累計がこの部屋を覆いつくしているからである。

 ガルネリ・オマージュには、新たにフロントバッフルに2つの小さなポートが穿たれていた。これが相当な効果があったようで、音の抜け切り感がメーターが振り切れる程にアップしている。音を放出するのに躊躇感や息苦しさがまったくない。スムースな呼吸からしっかりとした明瞭な発声が行われている。

 タイム・トライアル用のロードバイクが独特の形状をしているように、オルフィさんのガルネリ・オマージュは独特のチューンナップが隙なく施されている。その目的は明確である。

 バイオリンの優雅で鮮烈な音がその場で奏でられるごとく、ロスなく放出される・・・そのために、あくなきチューンナップ作業が繰り返されてきた。そして今後も新たな次元への移行を目指し、繰り返されるのであろう・・・

2011/5/28

1900:オレンジ  

 エウスカルテル・エウスカディは、スペインのチーム。終盤を迎えているジロ・デ・イタリアでも予想以上の活躍を見せている。

 第14ステージでは、ゾンコラン峠を制したイゴール・アントンが、エウスカルテル・エウスカディに、ジロ・デ・イタリアでの初勝利をもたらした。

 翌日には、ミケル・ニエベが、229kmを走るジロ・デ・イタリアの最難関、第15ステージにおいて勝利を挙げた。ミケル・ニエベは、5つもの峠を擁する最も厳しいとされるこのステージにおいて、エウスカルテル・エウスカディのチームに見事2つ目の勝利をもたらした。

 エウスカルテル・エウスカディのメンバーは、原則スペイン人しかもバスク地方出身者に限られている。相当にローカル色が強いチームである。

 そのチームカラーはオレンジ。機材提供しているのはORBEA。そのフラッグシップであるORCAにも、オレンジ色が印象的にに使われたカラーリングが施されている。

クリックすると元のサイズで表示します

 私はORBEAのONIXを愛用しているので、多少なりともエウスカルテル・エウスカディを応援している。J-SPORTでジロ・デ・イタリアの中継を観ているとついついオレンジ色のサイクルジャージを着ている選手を目で追ってしまう。

 総合優勝の行方はほぼ決まってしまったので、楽しみはオレンジ色がまたまた活躍するかということに限定されてしまった。

 オレンジ色はQUADのイメージカラーでもある。QUADはわが家で幅を利かせている。1階でも2階でもQUADは、その主要な地位を明け渡す気配を見せない。電源スイッチも兼ねているボリュームノブを右に回すと、QUAD22のオレンジ色のパイロットランプが光り、それに少し遅れてQUADUの真空管も色調を合わせるかのようにオレンジ色の明かりを灯す。

 オレンジ色には縁があるのであろうか・・・その色合いは暖かく人懐っこい・・・好きな音の色合いとも通じるものがあるような気がする。

2011/5/27

1899:300i  

クリックすると元のサイズで表示します

 最近、オーディオ雑誌をすっかり買わなくなってしまった。以前は「STEREO」「AUDIO BASIC」「STEREO SOUND」「AUDIO ACCESSARY」などを必ず購入していたのが、1年ほど前からぴたっと止まってしまった。

 一応新刊が出ると本屋でパラパラと立ち読みはするのであるが、ほんの数分眺めただけでもとあった棚に戻してしまう。

 そんな私であるか、少し前にとあるオーディオ雑誌を購入した。「管球王国 60号」である。これは季刊のオーディオ雑誌。タイトルどおり真空管アンプの紹介記事が中心である。

 「管球王国 60号」の表紙はNAGRA 300iである。NAGRAの60周年記念の製品である。出力管に300Bを4本用いたプッシュプルアンプ。その存在感は類稀なものである。

 NAGRA独特の精緻で硬質感漂うシャーシの上に、300B、出力トランス、ケミコンが林立している。一目見てNAGRAと分かるデザインが満載。これがラックの最上段に起立していたなら、思わず「お〜」と唸り声を上げてしまいそうな唯一無二の存在感である。

 購入する可能性はないにしても、一度実物に触れ、その音を聴いてみたくなる数少ないアンプの一つである。LINN CD12から送り出された音楽信号をNAGRA 300iで増幅し、TANNOY CHATSWORTHで放出したらどんな音がするのであろうか・・・そういった興味をそそられる。

 きっと現用のQUADに比べ、シャープで爽快感溢れる音が放たれるのであろう。少々温度感は低め、切れがあって、清楚な質感に魅了される・・・そんな予感がする。

 その価格はNAGRA級である。現実感のある価格をはるかに凌駕する値付けに、改めて感心する。300iはインテグレーテッドアンプである。プリナンプとパワーアンプを揃えることを考えれば、まんざらぶっ飛んだ値段ではないのかもしれない。

 QUADの価格と比較してしまうと天文学的数字に見えてしまうが、冷静にハイエンドオーディオのセパレートアンプと比べると、「そんなにあこぎな商売をしているわけではない・・・」とも思えてくる。一度ゆっくり聴いてみたい・・・いや、しばらく眺めているだけでもいい・・・

2011/5/26

1898:峠越え  

 「やっぱり降ってきたか・・・」ほんの霧雨程度の雨粒だったのが、しっかりしたものに変わってきた。多摩湖の周回コースを1周終わる頃であった。

 「これではもう1周は無理だな・・・」堤防を走りながら、そう判断した。周囲は夜の闇が近づきつつあることを示していた。

 今日は仕事を早めに切り上げ家に直行。天気予報では夜から雨が降るとのことであった。6時半に家に着き、すぐさまサイクルウェアに着替えてロードバイクにまたがった。

 雲は今にも泣き出しそうな様相であった。「1時間ぐらいもつかな・・・2周ぐらいできるだろう・・・」と思い、ペダルをこぎはじめた。

 2日前の雨による水溜りがまだところどころに残っている。平日であり、もう既に薄暗くなりつつあったので、ジョギングをしている人は比較的少なかった。

 ロードバイクは雨が大の苦手・・・路面が濡れてくると、カーブを車体を倒し気味に通過することは危険が伴う。一度タイヤがグリップを失い転倒したことがある。それ以来濡れた路面でのカーブは恐怖が伴う。雨が降ってくると、途端に腰が引けて、スピードが落ちる。

 結局、1周回り終えたところで家に帰還。家に着くと、サイクルトレーラーにロードバイクを装着して、夕食までの短い時間、玄関でペダルを回した。

 「こんなところで自転車に乗ってる・・・」二人の子供たちの視線は冷たい。さらに妻は「早く片付けて、邪魔でしょう・・・」汗だくで乗り終えた私の背中に容赦のない言葉を投げかける。

 オーディオ同様、ロードバイクの趣味に対しても家族の共感はこれっぽちも得られない状況である。来月6月からは、いよいよ100km超のロングライドにも挑戦することとなった。しかも平坦地でなく必ず峠が一つ二つ入っているコースとのこと。なので、家族の冷たい視線を浴びたとしてもそれに耐えて体力を付けないと・・・

2011/5/25

1897:5インチ  

 1インチは2.54センチメートルである。日本では長さの単位は基本的にはメートル法であるので、普段はあまりインチは使わない。

 でも時折日常生活でもインチが顔を出す。テレビの画面の大きさを表す場合もインチが使われる。わが家のTOSHIBA REGZAは42インチの画面を持つ。

 さらに車のホイールの大きさを表す場合にも、インチが使われることが多い。ノーマルのホイールをより大きなものに変えることを「インチアップ」と言う。アルミホイールがより大きくなるとその風貌は精悍でスポーティーになるので、ホイールのインチアップは、ドレスアップには欠かせないアイテムである。

 我が家のTANNOY CHATSWORTHは12インイの同軸2ウェイユニットが搭載されている。12インチということは、12×2.54=30.48cmということである。レコードの直径と同じ大きさである。この大きさは、大きすぎず、小さすぎず、なんとなく収まりが良い。

 「これくらいが落ち着くよな・・・」などと思っていたのである。しかし、先日5インチのフルレンジユニットを聴くに及んで、「ありゃ・・・5インチで充分でないの・・・」という気にもなった。

 5インチといえば、5×2.54=12.7cm。CDの直径とほぼ同じくらいの大きさということになる。一般常識的な考えでは「スピーカーユニットとしては小さすぎる・・・」という意見が出るはずである。

 しかしながら、出てくる音には不足感がないばかりか、新鮮な刺身を口に含んだ時のような、充足感を味わうことができるのである。いや〜世の中にはいろんなものがあるのである。

 その素材は和紙・・・洋紙は方向性があるが、和紙にはない。また相当な回数漉くので繊維が縦横無尽に組み合わさり、厚みの偏りもない。そういった和紙の長所がユニットの素材としてぴったりとのことである。

 5インチ・・・その大きさは日本人女性の乳房の平均的な直径である。片手でちょうど納まるぐらい大きさである。やはりそういう意味でも、5インチという大きさは収まりがいいのであろう。

 12インチと5インチ・・・どちらが優れているのかという問いは、愚問である。どちらでもいいのである。レコードをとるか、乳房を片手ですっぽりと包むことをとるのか・・・どちらを選んでもけっして間違いではない。

 私はレコードを愛でている。12インチのTANNOYのユニットを愛でている。しかし、直径5インチの乳房にも魅力を感じないわけはない。そこで、今度の日曜日には、再度5インチの乳房の触感を体験する手はずとなったのである。

2011/5/24

1896:サイクルトレーナー  

 今日の午前中は昨日と同じように本降りの雨で気温は低かった。昼頃からは雨は上がり、空は急速に晴れ渡った。太陽が顔を出すと気温はぐんと上がり、少々汗ばむほどとなった。

 晴れ渡るにしたがって、濡れた路面はその水分を放出し渇いてくる。夕方にはほぼアスファルトの路面は乾ききった。

 「これなら夜間走行ができるであろうか・・・いや、多摩湖の周回コースはまだ濡れているだろうな・・・夜間走行で、路面がところどころ濡れている状況は、危険極まりない・・・」

 多摩湖の周回コースはその多くが木に覆われている。なので、雨が止んでもすぐには乾かない。完全に日陰となる場所では濡れたままになっているのである。路面の状況が目で確認できない、夜間走行時には危険が倍加する。

クリックすると元のサイズで表示します

 こういう晩は、サイクルトレーナーでトレーニング。このサイクルトレーナーにロードバイクをセッティング。後輪に接するローラーの抵抗値を変えることにより足にかかる負荷を変更することができる。

 やや登りぐらいの重さに設定にして、時速20kmをキープしながら、一定のリズムでペダリング。約30分で汗びっしょりになる。ぽたぽたと汗が顎から滴り落ちて、玄関のタイルにしみを作る。

 心拍数は高い値をキープしたままで、早鐘のように打ち鳴らされている。このサイクルトレーナーによるトレーニングは、乗車フォームの適正化に効果がある。さらに、スムースな回転のペダリングができるという効果もある。

 しかし、退屈である。風景は変化しない。風も感じない。路面からの振動もない。30分がとても長く感じられる。

 明日には路面は完全に乾くはずである。明日は夜間走行に出かけよう。そして風のなかを駆け抜けよう。

2011/5/23

1895:小さきもの 2  

 時々メッセージと思しきものを受け取ることがある。しかし、それをどう解釈すべきかということに関しては、確たるものがないままに過ぎ去るにまかせてしまうことが多い。

 何かしらの意味合いが込められているような気がするのであるが、それを紐解く能力を私は持ち合わせてはいない。

 昨日も、Feastrex製の励磁型フロアタイプのスピーカーが、目の前でその驚異的な能力を見せつけている最中にも、隅に置かれていた「小さきもの」の妙に気を引くささやき声が気になってしかたがなかった。

 試聴予定にはなかったが、無理を言ってその「小さきもの」にも、お披露目の機会を与えてもらった。

クリックすると元のサイズで表示します

 私に小さな声でささやき続けていた「小さきもの」は、試聴室の隅から取り出され、専用と思しきスタンドに乗って、表舞台に出てきた。励磁型ではない通常型の5インチフルレンジユニットが搭載されていた。

 色は黒である。黒は凝縮感のある色である。その色のせいか、ぎゅっと引き締まったアスリート系の体型を思わせるいでたちである。

 カタログによると横幅は23cm、奥行きは31.5cmで、本体の高さは61.8cmである。スタンドの高さは40cmほどであろうか、独特のプロポーションである。

 その「小さきもの」は、物怖じすることなく、そして丁寧な発声で歌い始めた。その歌が流れ始めると、試聴室の空気は一変した。

 部屋の空気をすっ飛ばしたり、頭ごなしに殴り込みをかけるような音ではなく、空気を味方につけて調和して伝播するような音の広がりを見せたのである。

 とてもこの小さなボディから発せられているとは思えない見事な歌いっぷりでありながら、自然な風合いを損なう超高性能「サイボーグ音」にはけっして陥らない節度の高さを持っている。 

 「これは良い・・・これは素晴らしい・・・見事な表現力・・・」私は椅子に根が生えたように座り続けた。

 この「小さきもの」が歌いだすまでは、やや腰高試聴体勢であった私の体はぐっと重力どおりに下にさがった。

 「このスピーカーはぜひとも我が家のリスニングルームに迎え入れたい。今日はE350 STATIONWAGONできているから、現品をスタンドごと持ち帰ることもできる。すぐそばにコンビニがあったからATMで現金を引き出せば・・・」ふっとそういった思いが頭に浮かんだ。

 「いや、待てよ・・・我が家の2つのリスニングルームにはCHATSWORTHがそれぞれ陣取っている。それを押し退けることは・・・どうなのであろう・・・」

 数日前にお見舞いに行ったCHATSWORTH同盟会の諏訪さんのやせ細った顔が脳裏に浮かんだ。「やはり、CHATSWORTHを我が家のリスニングルームから追い出すことはできない・・・」頭をもたげた即導入の考えを一旦は否定した。

 しかし数分後には、「これほどの逸材はそうは見つからないはず・・・CHATSWORTHとは別の意味で素晴らしい要素をたくさん持ち合わせている・・・」と思い直した。「やはり決断すべきであろう・・・」

 「これ、持ち帰れます?」そう訊いた。しかし、その声の主は私ではなかった。一緒に参加されていたオルフィさんであった。オルフィさんは、この「小さきもの」が鳴り始めた瞬間から一気に覚醒したようであった。そして、即決・即行動・・・

 というわけで、この「小さきもの」はオルフィさんに引き取られていった。近いうちに私は、オルフィ邸でこの「小さきもの」に再会するであろう。その日を楽しみに待つことにしよう・・・

2011/5/22

1894:小さきもの  

 口径5インチのフルレンジスピーカー・・・と聞くと、ある程度の範囲で上下を切り、活きの良さだけで勝負といったイメージを抱きがちであるが、そういった先入観をものの見事に打ち破るような音が放たれていた。

クリックすると元のサイズで表示します

 今日はhijiyanさんからのお誘いで、山梨県韮崎市にあるFeastrexの試聴室へ出向いた。全員で7名のオーディオマニアが集結。

 Featrexの主力商品は、和紙を素材として使ったフルレンジスピーカーである。口径は5インチのものと9インチのものがあり、さらに励磁型ユニットも取り扱っている。

 まずは5インチの励磁型ユニットから聴かせていただいた。サイズは小振りである。我が家のCHATSWORTHよりも小さいかもしれない。足元にはスティールポイント製のインシュレーターが光っていた。

 送り出しはCDもアナログもEMT。アンプは2種類であった。ひとつは常識的なサイズであったが、もうひとつは巨大なサイズであった。

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します

 この5インチのフルレンジユニット、実に活きが良い。とれたて感が満載である。「お刺身になっても、まだ撥ねている・・・」そんな印象を持った。

 そして、この小さなサイズのフルレンジスピーカーから出ているとは、とても思えない低音の量感にも驚かされた。エンクロージャーのなかには吸音材が一切入っていないことも、大いに音に良い影響を与えているようである。

 続いて登場したのは9インチ励磁型ユニットを搭載したモデル。こちらは一回りエンクロージャーの容量も大きくなって、低音のエネルギー感がさらにアップ。見事なピラミッドバランスを見せる。音の基本的な感触は5インチモデルと変わらない。

クリックすると元のサイズで表示します

 ここまで聴き進んできて、確かにこのフルレンジユニットは只者ではない・・・只者ではないどころか、既成概念をがらりと覆すほどの威力のあるユニットである・・・と感じさせてくれた。

 しかし、心の琴線を盛大に震わせてくれるかという点になると、少々距離感を置いて聴いている自分がいた。「確かに素晴らしい音だが、ちょっと好みとは違う・・・」という印象はいがめなかった。

 試聴室にはこの2つのスピーカー以外にも何種類かのスピーカーが置いてあった。そのなかにどうしても気になる存在のスピーカーが一つだけあった。

 そのスピーカは真っ黒で小さかった。ユニットは5インチのものが装着されていて、スタンドを要する小さく細長いエンクロージャーであった。

 とても気になった。その姿形が実に目に馴染むのである。私の目には5インチや9インチのフロア型よりも佇まいが凛々しく潔く感じられたのである。

 そのスピーカーは試聴を開始した頃合からずっと私に話しかけてきた。「私を聴きなさい・・・私を聴きなさい・・・」と繰り返し小さな声で語りかけてきたのである。

 そのスピーカは部屋の隅に追いやられていて、どうやら試聴予定はないような風情であった。思わず「この小さいのも聴かせて下さい・・・」と無理なお願いをした。

 「私を聴きなさい・・・」と語りかけてきた「小さきもの」の試聴の様子とその顛末については明日にでも・・・



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ