2010/12/15

1737:展望台  

 残念ながら快晴ではなった。昨日の天気予報では快晴のはずであったが、午後からは厚い雲に覆われて、太陽はその姿を隠してしまった。

 雲に覆われた空は動きがないように見える。気分が晴れるという天候ではないが、それでも自然の中を散策することは、精神に多少なりとも良い影響があるはずである。

 駐車場で、午後3時の待ち合わせであった。駐車所に着いたときには、既に「寧々ちゃん」のMitoは停まっていた。その隣にE350を滑り込ませた。

 Mitoのウィンドウが開いて、見慣れた笑顔が明るく輝いた。「あれ、元気そうだな・・・心配しすぎだったかも・・・」と心の中で一人つぶやいた。

 昨晩の携帯での会話では、言葉の端々に気分の落ち込み感が感じられた。昨日よりは状況が好転したのかもしれない。

 「元気そうじゃないですか・・・」その笑顔に向かって声をかけた。「ええ、昨日よりずいぶん良いです。今は回復基調かな・・・」「寧々ちゃん」の瞳にはまだ一抹の暗い影が見え隠れしていたが、表情は柔和な明るさに満たされていた。

 「展望台まで歩きますか・・・」そう誘って、駐車場から遊歩道へ向かって二人は歩き出した。遊歩道の両サイドは木々が鬱蒼と茂り、薄暗い。今日は特に天気が曇りなので暗く感じる。

 「この雰囲気だと、いかにも魔物でも出てきそうですね・・・」「寧々ちゃん」は昨晩の会話の続きをするかのように話し始めた。

 「そうそう、ジャバウォックがこの遊歩道を横切ってもおかしくないでしょう・・・」まずは当たり障りのない会話から始まった。最近読んだ小説の話や、先日もらったVashti BunyanのCDのことなどが話題に登った。

 「あのアルバムで私が一番好きなのは、Rose Hip Novemberなんです・・・」「あっ・・・あの曲ですか・・・あの曲って、今日のこの森の風景そのものって感じの雰囲気ですよね」「そうですね、薄暗い森って感じですね・・・」

 森を抜けて広場に出ると、展望台の建物が見えてくる。展望台は結構高さがある。階段がついているが、登りきると息が切れるほどである。

 展望台に登るとぱっと景色が広がる。「わ〜思ったよりも高いですね・・・360度見渡せるって気持ち良い・・・」「寧々ちゃん」の表情はすっと軽やかなものになった。

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