2010/12/11

1733:ジャバウォックの森  

 その森にたどり着く道はひとつではなかった。野山北・六道公園は鬱蒼と茂る木々のなか遊歩道が東西に伸びている。その遊歩道からは幾つかの脇道が出ている。その先がどこに繋がっているのかは不明であるが、その脇道の数だけこの森にたどり着くルートがあることになる。

 冬の季節、遊歩道を歩く人影はまばらで、ごく稀に犬を連れた人やマウンテンバイクに乗った人とすれ違うぐらいであった。小鳥の声もいつになく静かである。

 駐車場は一箇所のみであるが充分な広さがある。車を止めて遊歩道を歩き終点の展望台を折り返し点としてまた戻ってくると、ちょうど1時間ほど。軽いウォーキングにちょうどいい。

 今日は愛犬のメリーを連れて少し長めの散歩のために、森の中の遊歩道を歩いた。この森の中に来ると、いつも「『ペンギン・ハイウェイ』に出てくるジャバウォックの森は、きっとこんな感じなのではないだろうか・・・」と思ってしまう。

 不意に目の前をジャバウォックが通りすぎたとしても不思議ではないような雰囲気があるのである。実際に、私はジャバウォックらしきものを見た。ただし夢のなかでの話であるが・・・

 野山北・六道山公園の遊歩道らしき道を歩いているときに、右手の森のなかから不意にジャバウォックらしき動物が姿を現したのである。その姿を認めたとき「やはり、いたのか・・・この森に・・・」と思った。

 その姿は確かに異様ではあったが、俊敏な動きをする気配はなかった。その表情は無表情で白目がちな小さな目をしていた。特に鳴き声を発するわけでもないが、口からはやや大きめな呼吸音がしていた。

 遊歩道に立ち止まってこちらの様子を伺っているようであったが、不意にしゃべった。しゃべったといっても、その言葉はジャバウォックの口から実際に発せられたもののようには思えなかった。しかし、夢の中ではしっかりと認識できたのである。

 「てんでばらばらにとりはずされたパズルのピースは、哄笑の渦の中に埋もれている。ひとつ、ひとつを手に取り、もとの位置に戻すのは大変である。静かに見つめていれば、それらは本来の位置を自ら語るであろう。」

 意味不明な言葉の羅列のように思えた。そう言い終えるとジャバウォックはその小さな目を念を押すかのように少し動かし、遊歩道を横切って逆側の森の中に消えていった。

 その夢は印象的であったので鮮明に記憶に残った。静かな遊歩道を歩きながらその夢のことを思い出した。1時間ほど歩いてから、ややお疲れ気味のメリーを連れて、自宅に戻った。玄関には小さな段ボール箱が置かれていた。
 
 それはオルフィさんに依頼していた真空管であった。TELEFUNKENのEF86とECC83である。QUAD22のMullard製のEF86とECC83を取り替えてみる予定である。「これももしかしたら、ジャバウォックの言うピースのひとつなのであろうか・・・」ふとそんな取り止めのないことを思いながらその箱を開けた。



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