2010/12/10

1732:庭木  

 打ち捨てられた庭木は、健気にも生き延びていた。本能の赴くまま、その占有面積を維持拡大しようと、枝を伸ばし、葉を茂らせていた。人の手が加わらないので、その形はややいびつな形状となっている。

 人間が勝手に空間を仕切るために設置したフェンスの存在を無視するかのように、ややアンバランス気味な枝の伸張を示しているのである。旺盛な生命力は、本来あるべき無秩序的な多様性の一端を示しているのであろうか。

 自宅から歩いて数分のところにある中古住宅は一向に買い手が見つからないようである。その庭木は人の手が加わらないのでいびつな形に伸びきっている。もう半年以上になるであろうか。その家の周りに2本掲げられている不動産販売会社ののぼりは、色あせ、だらりとポールにもたれかかるように垂れ下がっている。

 土地の広さは35坪ほどであろうか、家は築20年ほどと思われるが、結構しっかりとした外観を保っている。間取りはきっと典型的な建売住宅のそれであろう。ひとつひとつの部屋はそれほど大きな空間ではないはずである。

 この不景気では、不動産の販売も順調にいくはずもない。きっと所有者の希望価格で売れる可能性は低いのであろう。新聞の折り込みチラシで見た売却額は2,180万円であった。チラシ価格で成約する事は稀であるため、成約するとしたら、おそらく2,000万円であろう。

 この物件を購入して、大規模なリフォームを行い。ワンルームの吹き抜けにする。すると20畳近い広さを確保できるはずである。吹き抜けであるので天井高は5メートル近く確保できる。トイレと小さな洗面所のみを残しあとは広く高い空間のみを確保する。

 そこに大型のスピーカーを設置して、リクライニングソファに腰掛けて音楽三昧なんていいかも・・・1台100キロ以上あるスピーカーでサブウーファー領域の低域も毅然と再生する。

 実現可能性は極めてゼロに近いが、そんな空想もついついしてしまう。非日常的な広い空間で、巨大なスピーカーを鳴らす。これはオーディオマニアにとってひとつの憧れである。そこにはそういった空間でないと再現できない世界があるのは確かである。

 一階では実質6畳間オーディオを実践し、2階では主寝室の空いた空間に無理やりオーディオを押し込んでいる我が家である。広々としたリスニング空間とは無縁であるが、これはこれでまた楽しみがあるのも事実である。
 
 制約オーディオとでも呼ぶべきであろうか・・・いろんな制約があるなかで心情的に満足できる音世界が構築できないかと、あれこれ試行錯誤するのである。ここにもささやかな楽しみを見出したい。



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