2010/11/3

1695:三つの沼  

 オーディオを趣味とするようになったのは、約4年ほど前のことである。その当時にはまったく想定していなかった三つの沼にすっかりはまり込んでしまって、抜け出せないでいるのが、わが家のオーディオの現状である。

 最初に右足を突っ込んでしまったのが「アナログ」の沼である。当初はCDのみをソースとするシステム構成であったのが、アナログがサブソースとして入り込んでくるや、徐々に浸食作用を強めていき、今やメインソースの座を占めてしまっている。右足はすっかりこの沼にはまり込んでしまって、抜こうにもまったく微動だにしない。

 次に左足を突っ込んでしまったのが「ビンテージ」の沼である。OFF会でいろんなお宅を訪れているうちに、TANNOYやQUADといったメーカーの非常に古いオーディオ機器に出会うこととなった。当初は「ビンテージ」というのはくすんだかび臭い音がするものと思っていたのであるが、実際に聴いてみると、そうとばかりも限らず、とても生々しく音楽を奏でる場合もあることが分かった。

 そういった経験を重ねるうちに「もしかして、自分自信の好みはこっちなのかも・・・大金を使ってきらびやかな最新機器を揃えたが、もしかしたら道を最初から間違えていたのかもしれない・・・」と思うことが度重なり、ついには走っていた高速道路を降りて、田舎道に出てしまった。

 そして第二の沼にはまり込んだ左足はずぶずぶとその位置を下げていき、これまたまったく身動きがとれない状態となってしまった。

 第三の沼は「真空管」である。両足をとられてしまったのでバランスを崩してしまい、両手をこの「真空管」の沼に突っ込んでしまったのである。

 これまたその形といい、その音色としい、その奥深さといい、実に魅力的な沼なのである。私が現在使っているQUAD22・UにはECC83、EF86、GZ32、KT66という4種類の真空管が使われている。

 前半の三つはMullard製のものがついていて、出力管であるKT66はGEC製のものが装着されている。この組み合わせがもっともポピュラーなもので、QUADらしい音色を奏でる。

 このオーソドックスな組み合わせを少し変えると、QUADは異なった表情もみせてくれる。たとえば、整流管をMullard GZ32からSTC 5R4GYに換えてみると、これが実にシャープなすかっとする音の立ち上がりを見せるのである。真空管というと「まったり・ゆったり」の癒し系といった印象を一般的には持たれているかもしれないが、そういった印象を覆す俊敏さを備えるのである。

 Mullard GZ32の持つとろみのある暖かさも捨てがたいが、STCのスピード感も捨てがたい。さらにQUAD22のEF86をTELEFUNKEN製のものに換えると・・・といった具合にその沼の底は深い。

 三つの沼に両手・両足をとられてしまい現状から一歩も動けない状態がここのところ続いている。「ダーウィンの進化論」とはまったく逆の過程をたどっているようなわが家のオーディオである。残念ながら、この「三つの沼」とは長い付き合いとなりそうである。



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