2010/11/30

1722:みぞおち  

 「みぞおちが開いてますよ・・・」「どういうことです・・・みぞおちが開くって・・・」「みぞおちの角度が広がっているということです・・・みぞおちの角度は普通72度です。その角度が広がっているということです。」

 「そういうことなんですか・・・それって良いことなんですか?」「まあ、良いことです。リラックスしているということでしょう。逆にみぞおちが閉じている・・・つまりみぞおちの角度が狭くなっているということは、緊張しているということ・・・交感神経の働きが強まっている場合に見られます。」
 
 この会話の相手は、TANNOY CHATSWORTHである。CHATSWORTHの音楽演奏は、どうやら私のみぞおちを開かせる効果があるようなのである。その容姿はいかにも英国紳士風。華美とは一切無縁であり、質素であるがどことなく気品が漂う。

 普段、CHATSWORTHは1階にいるのであるが、今日は2階に移動してもらったのである。一人で軽々持てる重さであるので、移動はきわめて楽である。

 本来その場所にいたQUAD ESLは隣の和室に・・・ESLはいささか戸惑い気味な表情をみせていた。実は2階でCHATSWORTHを鳴らすのは、初めてのことなのである。最初は目が馴染まない感じであったが、そんな違和感はすぐさま消えた。

 お気に入りのCDをCD12の金属製のトレイに乗せた。CHATSWORTHを駆動するのは当然QUAD22・QUADUのペアである。そして、リモコンのPLAYボタンを押した。

 CHATSWORTHの位置は概ねこの辺かなといった程度であったが、出てきた音はとても伸びやかなものであった。「抑圧されるものがまったくない・・・実に伸びやかだ・・・」心の中でのついつい独り言が漏れる。

 QUADのアンプで駆動する古い時代のTANNOYサウンドには、抗し難い魅力を感じる。リアルというのとは違うような気がするのであるが、その表現の独自のつぼは、見事に私のみぞおちを開かせるのである。

 QUAD ESLのほうがある意味バランスが良い。しかし、旨み成分の多さではCHSTSWORTHの方である。「うぐ・・・うぐぐ・・・みぞおちが・・・開く・・・」その角度は76度程になっていたようである。平均値である72度とは、わずか4度の違いであるが、その4度の違いが、オーディオにおいては決定的な差となって現れるのである。

2010/11/29

1721:補助金  

 わが家には二つのスピーカーがある。一つはTANNOY CHATSWORTHである。もう一つはQUAD ESLである。どちらもいわゆる「ビンテージ」に分類されるスピーカーである。

 TANNOY CHATSWORTHには12インチのモニター・ゴールドが入っている。スリムな外観のキャビネットで、TANNOYのスピーカーとしては、かなり小型・軽量級の製品になる。

 TANNOYでCHATSWORTHよりも小型なスピーカーとなるとVLZになる。こちらはブックシェルフタイプというのであろうか、より背が低い。当然重量も軽くなる。キャビネットが小さくなるため、こちらには10インチのユニットが搭載される。

 日本でVLZは人気が高い。オリジナルキャビネットでモニター・ゴールドが入っていると35万円程度が相場となっているようである。床に直置きすると高さ的に不足するので、普通はスタンドに設置する。

 スタンドに乗せる場合、できれば専用のスタンドをあてがいたい。キャビネットの色合いや素材と合わせた専用スタンドには68,000円のプライスタグがついている。少々高価であるが見た目的な整合性はすばらしいものがある。本体とスタンドの価格を合計すると40万円を超える。かなり高価な買い物となる。

 一方CHATSWORTHはオリジナルキャビネットでモニター・ゴールドが入っている場合、相場は30〜40万円といったところ。キャビネットのコンディションによって価格に開きがある。我が家にあるものはキャビネットが良い状態ものであったので40万円の価格であった。

 VLZも一度我が家でじっくり聴いてみたいと思っているのであるが、結構高価なものであり、おいそれとは手が出せない。

 VLZとCHATSWORTHは、価格的にはほとんど同じぐらいということとなる。であればCHATSWORTHのほうがお買い得のような気がするのであるが、VLZにはCHATSWORTHにはない独特の軽妙な味わい感があるのであろう。

 QUAD22とQUADUのペアで鳴らすTANNOY VLZはどんな味わい感をみせてくれるのであろうか?9月に納車されたMercedes-Benz E350 BLUETECのクリーンディーゼルの補助金が、ちょうどVLZを買えるぐらいの金額なのである。なんだかこちらの欲望の矛先を見透かしたような金額なのである。

 TANNOY VLZは在庫があちらこちらの店にある。インターネットでちょっと調べただけでも5,6台の在庫を確認できた。今年はオーディオにはほとんど投資していない。ついつい、ショップのHPの写真を眺めながら、「補助金で買えば実質負担はないのでは・・・」と自分に言い訳したくなってしまう。 

2010/11/28

1720:S9  

 UNISON RESEARCHは、イタリアの管球アンプブランドである。その製品の造形は、まさにイタリア製と思わせるものであるが、新たに出る予定であるプリメインアンプの「S9」も素晴らしい意匠を身にまとっている。

 電源を入れ真空管が妖しく光りだすことを計算し尽くしたデザインなのである。真空管の光を反射させるために存在しているとしか思えない湾曲した金属板が、舞台装置か何かのように切り立っている。

 そして、真空管たちは舞台に並ぶスターのようにきらびやかに、そして左右均等になるように整然とその位置を占めている。

 こんな美しいアンプを手に入れたなら、センターラック配置にしたくなるであろう。二つのスピーカーの間にラックを設置し、そのラックの最上段にはこの「S9」を置く。そして、照明を落として、真空管の艶やかな色彩のショーを愛でるのである。

クリックすると元のサイズで表示します

 わが家のQUAD製のアンプたちも美しい姿形をしていると個人的には思っているが、それはあくまでイギリス的な美しさである。

 質素・素朴・簡略が基本にあり、けっして艶やかなまでの美しさを貪欲に追い求めたりはしないのである。ぱっと見の惹き付け能力はそれほど強くない。しかし、長い年月をともにできる「手なじみ感」が徐々に染み出してくるといった造形なのである。

 一方、イタリア的な美しさは、艶やかで豪華ですらある。UNISON RESEARCH 「S9」を見ているとそういった美意識の違いのようなものがひしひしと感じられる。

 この「S9」には、やはりイタリア製のスピーカーを持ってきたい。HARBETHやSPENDORのような、イギリス製の飾り気のないスピーカーではなく、SONUS FABERの古めのスピーカーなどが合いそうである。スタンドに大理石と木をふんだんに使っていた頃の小型2ウェイスピーカーなどがぴったりであろう。

 ラックはできれば木でできたものが良い。明るめに色合いのものが合うような気がする。そして、最小限のスリーピース構成とするなら、一体型のCDプレーヤーをラックの中段か下段に納めることになるが、この「S9」の存在感に負けないものは数少ない。

 中古でしか手に入らないが、BOW TECHNOLOGYのZZ-EIGHTはどうであろうか?このデザインの美しさ、艶やかさは飛びぬけたものがある。「S9」との美の競合において勝るとも劣らない存在感を有している。

クリックすると元のサイズで表示します

 「うん、うん・・・」と頷きながら空想する。本屋で立ち読みしたオーデュオ雑誌に載っていた「S9」の写真に目を奪われて、けっしてその製品を手に入れることはないはずではあるが、ついつい持病の「空想癖」を刺激されてしまった。

2010/11/27

1719:銀色  

クリックすると元のサイズで表示します

 とても穏やかな日の光であった。その日の光が木々の間を縫うように降りてくる。それらは細かく刻まれ、さらさらと流れた。けっして一塊になることはなく、幾筋にも分かれた細い滝のようであった。

 無茶庵は静かであった。平日の昼間であったからであろう。土日や祝日であったなら、もう少し賑やかな店内であったはずである。

 われわれ以外にも3組ほどの客がいたが、みな物静かに語らうだけで、その言葉ははっきりとは聴こえてくることはなく、周囲の木々に集う小鳥たちの声のほうがとおりがよかった。

 「紅葉は、春の桜の時期と違って、また違った風情がありますね・・・」私は食べ終えた後、添えてあった椛の葉を指でつまみながら言った。

 「私は最近、秋の紅葉の方が好きかな・・・」寧々ちゃんは、私が指先でくるくる回して見せた葉に目をやりながら、つぶやいた。

 「紅葉が綺麗なのは、やがてそれが枯れてしまい、枝から離れていくからかもしれませんね・・・もうじき、木々には葉はなくなり、寒い冬の空気に閉じ込められてしまうことが分かっているから、より美しく感じられるのかも・・・」

 寧々ちゃんは相変わらず詩的な表現が好きである。「終わりが近づいているから・・・」そう言いながら、こちの視線をすっと真正面から捉えた。

 その彼女の視線に、紅葉した葉に染み込む日の光に似たあでやかさを感じた。そして、その瞳の奥に控える彼女の心の真ん中に向かって言葉を繋いだ。

 「私たちも紅葉する葉のようなものかも知れませんね・・・もうすぐ枯れて枝からはなれ地面に落ちる。その終わりが近い日々のなかで赤や黄色に色づいているのかもしれません・・・枯れ切ってしまう前の一瞬の煌きなのかもしれません・・・」

 「Taoさんも、ずいぶん感傷的で詩的なことを言いますね・・・もしかしてかっては文学少年だったとか・・・・」

 「今はこんな仕事をしていますが、実は私文学部なんです・・・それも日本文学専攻・・・意外でしょう・・・」

 「えっ・・・それは珍しいですね。普通会計の仕事をしている方って、商学部か経済学部っていうイメージですけどね・・・」

 「同業者はほとんどそうです。私は変り種といったところでしょう。そうそう、この前薦めてくれた『翼はいつまでも』読みましたよ。良かったですね・・・純粋だった頃の心の色合いに一瞬戻る、と言っていた意味がよく分かりました。」

 「読まれましたか・・・心の中に潜んでいて普段はまったく姿を見せない、あの年代特有の透明感が、記憶の淵によみがえってくる感じがしますよね・・・」

 蕎麦茶が注がれた湯のみを軽く掴む彼女の左手には銀色の指輪が薬指に輝いていた。窓からは弱い午後の光が入ってきていた。その弱い光を集めるようにして、その銀色は輝いていた。

2010/11/26

1718:椿山荘  

 朝方に雨が降ったようである。椿山荘の日本庭園にはまだ雨の匂いが残っていた。由緒正しそうな三重の塔を右手に見ながら回廊式の日本庭園を巡っていく。

 紅葉は今が盛りである。赤やオレンジ、黄などに色づいた木々は、それぞれが重なり合いながら、色彩のハーモニーを奏でている。

クリックすると元のサイズで表示します

 日本庭園のやや奥まったところにあるそば処「無茶庵」は、園内でひときわ静寂に包まれたエリアにある。見るからに隠れ家的な風情を漂わせているのである。

クリックすると元のサイズで表示します

 値段はもちろん高めの設定。味・雰囲気は申し分ない。紅葉が盛りの今が、もっとも旬ともいえる。すばらしい空間である。

 園内をゆったりと歩き、所々にあるベンチに腰掛けながら周囲の風景に目を和ませる。そして、この「無茶庵」の静かな時間と空間のなかで、そばを食す。都心の真ん中にいることが全く信じられない一時を過ごすことができる。

 「こんなところがあったんですね・・・全然知りませんでした。椿山荘というと高級な結婚式場というイメージしかなかったんです。そばのお値段は少し高めですけど、このローケーションと雰囲気を考えたら、とても安く感じられます。良いところを教えて頂きました・・・」

 寧々ちゃんは、いつもより落ち着いた物腰である。「こういう所に来ると、日本って良いなってしみじみ思いますね・・・」

 「Taoさんのスーツ姿初めて見ました。いつもはゴルフウェアだから、何となく雰囲気が違いますね・・・」「ちょっと、おじさんぽく見えちゃいますか?」「いえ、そうでもないですよ。普段より背が高く見えますね・・・何ででしょう・・・」

 午前中は浜松町の顧問先を訪問していた。夕方からは、吉祥寺で打合せである。ちょうどお昼時の時間が空いていたので、昨晩メールを寧々ちゃんに送信したのである。

 「明日、都心の方の顧問先に行く予定が入っているのですが、お昼時に出てこれませんか?ゴルフの後に話した椿山荘の中の蕎麦屋でお昼をどうですか?紅葉は今が見頃で、もう少しすると色合いが陰ってくるそうです。」

 昨日の今日で、少し強引であったが、寧々ちゃんからはこころよくOKの返信が来た。目白駅の改札で待ち合わせ、タクシーに乗った。目白駅からは車で10分ほどの距離である。学習院大学や日本女子大学を通り過ぎ、タクシーは椿山荘の入り口に停まった。

2010/11/25

1717:スティンプメーター  

 ゴルフ場のグリーンの速さは、スティンプメーターと呼ばれる計測器で測って表記する。これは滑り台のような器具の上をボールを転がし、どれだけ転がるかという単純な仕組みである。

 7.5フィート以下なら 遅いグリーン、9.5フィート以上であれば速いグリーン、そして、プロのトーナメントなどでは 11から13フィートにまで 引き上げられる。

 今日ラウンドした西武園ゴルフ場のグリーンは、12フィートであった。ここまで速いセッティングは珍しい。男子プロのトーナメント並みの速さである。これはいささか驚異的であった。

 特にOUTのグリーンが速かった。INはOUTに比べると速くはなかったが、一般的なゴルフ場のグリーンに比べると相当に速い。グリーンキーパーの方はこのコンディションを保つのに並々ならない努力をしているはずである。

 素晴らしいグリーンコンディションであるが、スコア的には厳しいセッティングである。このゴルフ場は距離があまりない。そのためグリーンを難しくして、バランスを取っているのかもしれない。

 一緒にランドしたのは、ゴルフスクールのいつものメンバーである。寧々ちゃん、Yさん、Sさんの3名である。このメンバーでラウンドするのは4回目である。先週の月曜日に行く予定であった森林公園ゴルフ倶楽部でのラウンドは、メンバーの一人が風邪でダウンして中止となったので、2週間ぶりのラウンドなった。

 OUTスタートであった。OUTは速いグリーンにてこずった。特に下りの時には細心の注意を払う必要があったのである。普段のグリーンのスピードとはまったく違うので、ぜんぜん異なった世界が展開する。

 OUTは45で回った。徐々にグリーンのスピードに慣れてきてどうにかこうにかの前半であった。INはグリーンのスピードがOUTほど速くなかった。そのことが功を奏して、スコアは42であった。トータルは87。

 距離が短めで、ドライバーを思いっきり振り回すことは少なかったが、グリーンのコンディションは素晴らしい出来であった。

 最近調子を上げている寧々ちゃんもまずまずのラウンド。バンカーに入れると大たたきする悪い癖が2回ほど出たが、距離のないコースであったので、スコアは107とまとめた。

 西武園ゴルフ場は近いので、各自自分の車で来た。ゴルフを終えて、ゴルフバッグを担いで駐車場の車に向かう途中、寧々ちゃんに話かけた。

 「今度、椿山荘に行きませんか?あそこの日本庭園は紅葉が綺麗ですし、庭園内に蕎麦屋があるのです。車で1時間半ほどで着きますから、それほど遠くないですよ・・・」

 「庭園の中にお蕎麦屋さんがあるのですか・・・それは良いですね。景色もきっと素敵でしょうね・・・じゃ日程はメールで相談しましょう・・・」

 Mitoのハッチバックゲートを閉めながら、寧々ちゃんは微笑んだ。「どこかで待ち合わせて1台の車で行きましょう・・・都心のほうに行くならMitoのほうが小回りが利いて良いかもしれませんね・・・」

 「一度Mitoを運転したかったので、私が運転してもいいですか・・・待ち合わせは田無のグリーンゴルフ練習場の駐車場にしましょう・・・あそこからなら1時間もかからないはずです・・・」

 Mito、紅葉、お蕎麦・・・一挙に三つの楽しみを味わう機会を得た。寧々ちゃんと二人っきりで会うのも、これで9回目となる。

2010/11/24

1716:オーディオ君  

 「おでん君」はリーリー・フランキー原作の子供向けアニメである。下の子が好きでよくテレビで観ていた。それを脇で眺めていた時ふと思った。「でも、何故主役のおでん君は餅巾着なのであろうか?」「餅巾着はおでんの具のなかで主役級の存在感を有しているのであろうか?」

 「コンニャクやちくわや大根では主役になれないのであろうか?主役のキャラクターが餅巾着である必然性はあるのであろうか?」といった疑問を持ったのである。

 しかし、その他のおでんの具をひととおり思い浮かべてみても、主役をはれるような存在感を有しているものは見当たらなかった。個人的には餅巾着は好物なので、主役の「おでん君」が餅巾着であっても、一向に構わないのである。

 そう考えてくると、「おでん」にはそもそも主役はいないのではないかという気になってきた。これっといった主役はいないが、様々な具が混ざり合い、総体として「おでん」という料理を形作っている。俺が俺がといったでしゃばりはいない。それぞれの具が持ち味を活かして、調和しているのである。

 これは「すき焼き」とは決定的に違う点である。「すき焼き」の主役はあくまで牛肉である。その証拠にすき焼き鍋に登場するのも一番早い。そして食べるほうも、われ先と牛肉に突進する。ねぎもしらたきも白菜も、そしてその他の具も牛肉に従じているのである。

 もしも「すき焼き君」というアニメがあったとしたら、その主役である「好き焼き君」のキャラクターは、あくまで牛肉であるべきである。もしも「すき焼き君」のキャラクターが焼き豆腐であったなら、私は猛烈に抗議するであろう。

 では、話が変わって・・・もしも「オーディオ君」というアニメがあったとしよう。その場合、主役をはる「オーディオ君」のキャラクターはなんであろうか・・・やはり、この場合スピーカーであろう。

 スピーカーが主役をやるべきである。アンプ君やレコードプレーヤー君、さらにはCDプレーヤーちゃんは個性的な脇役として存在すべきであろう、という気がする。

 そういう意味では「オーディオ君」は、「おでん君」ではなく、「すき焼き君」の仲間といえるかもしれない。

 もしも、将来私が漫画家となり「オーディオ君」を世に問う時には、TANNOY CHATSWORTHをモデルとして、主役の「オーディオ君」を書くことになるであろう。

2010/11/23

1715:相続  

 Paoさんが運営されているブログ「AcousticPao」の更新が最近まったくない。以前は週に1,2回記事を更新されていたのであるが、ここ2ケ月程まったく更新がないのである。少々心配になってきたので、Paoさんにメールしてみた。

 「Paoさん、ご無沙汰しています。最近ブログまったく更新されていませんが、体調でも悪いのですか?」

 すると翌日返信がきた。「体調が悪いのは私ではなく、同居している母親のほう。歳も歳だし、結構状況が悪いので、ブログを書く精神的な余裕がない。もしもの時には、Taoさんに、相続税の相談をしなければならないようだね。」

 Paoさんは、母親と実家で同居している。離婚した奥さんと子供とは行き来はほとんどない、とおっしゃられていたので、二人っきりでの生活が続いていたのである。

 Paoさんの実家は新宿区にある。土地の広さは60坪程であろうか。建物は古く40年以上は経過しているはずである。

 国税庁のホームページでPaoさんの実家のある土地の路線価を調べてみた。すると、1平方メートル当たり370,000円であった。すると、土地の相続税評価額はおよそ7,000万円。建物はほとんど価値がないはずであるので、金融資産が若干あっても、ほとんど相続税はかからないはずである。

 近い将来もしものことがあれば、あの土地と建物はPaoさんが相続することになるであろう。そうなると老朽化している建物を建て替える可能性も出てくる。

 場所は素晴らしいところにあるので、収益物件も兼ねた自宅になるであろう。離婚しているので同居する家族はいない。広めのオーディオ専用ルームを組み込むことも可能であろう。

 もしも、そうなったらPaoさんはどんなオーディオルームを造るのであろうか・・・と、まだどうなるかもまったく分からないことながら、勝手に想像をめぐらしてしまった。

 「俺はだだっ広いオーディオルームは好きじゃない・・・でもやっぱり8畳だと狭苦しい。10畳以上は欲しいなあ・・・」と以前おっしゃられていたので、きっとそれくらいの広さにされるであろう。「窓がない部屋も息苦しく嫌だな・・・ちゃんと日の光が入ってこなきゃ・・・」とも言われていた。

 土地のすぐ北は甘泉園公園の緑が広がっている。その美しい景色がスピーカーの背後の窓から見れれば素敵であろうな・・・などと思ってしまうのである。 

2010/11/22

1714:RPM Revolution  

クリックすると元のサイズで表示します

 ゾーセカス製のオーディオラックに収まっているのは、上からIMMEDIA RPM Revolution、dcs パガニーニ、ジェフ・ローランド クライテリオン 、dcs エルガーである。

 Dolon邸の前段機器である。それぞれが、オーディオ機器として孤高の存在感を有するとともに、きわめて高精度な造形美を提示してくれている。

 RPM Revolutionは、一時我が家にも存在した。中古がたまたま出たものを思わず購入したのである。中古で出ることも稀な名器であったので、レコードプレーヤー好きの私は衝動を抑えることができなかった。

 しかし、やがてモーターの調子がおかしくなり、電源を入れるたびにスピード調整を行わないと定速回転しなくなってしまった。オーバーホールすれば良くなるはずであったが、レコードプレーヤーが3台もある異常事態から脱却するために、結局手放すことにした。

 その構造は理詰めで、素材もきわめて堅牢なものが使われている。磐石な構造が功を奏しているのか、実にしっかりとした音を紡ぎ出す。いかにもアナログらしい音とは違う、精巧な音を構築してくるタイプのプレーヤーである。

 Dolonさんのお宅のアナログは、CDと同等に高いレベルの音を聴かせてくれるが、中低域がよりふっくらして、厚みがある。最初にピアノを聴いたが、ピアノの外枠が木でできていることをしっかりと感じさせてくれる。

 キレはCDのほうがあるが、タメはアナログのほうがある・・・といった印象を持った。それぞれの持ち味が活きているというところであろう。

 EVA CASSIDYのField of Goldをアナログで聴かせていただいたとき、その声の質感がしっとりと伸びきっているのが心地良かった。彼女の歌声は、広大な自然の風景を脳内スクリーンに映し出してくれる。

 RPM Revolutionは、硬質感が漂うサイボーグ的な造形ではあるが、その繊細な針先から紡ぎ出される音の質感は極めて精緻で有機的である。

2010/11/21

1713:ペンギン・ハイウェイ  

 ペンギンは陸の上ではその動きがぎこちない。体を左右に揺らしながら、よちよちと歩き、頼りなげである。しかし、一旦海に飛び込むと、陸での動きとはまったく別の次元のすばやさを身につける。

 海をも潜るロケットのようなすばやさで海中を縦横無尽に泳ぐのである。そして、その勢いに任せて好物の魚をGETする。海では立派なハンターである。そして陸では愛らしく、また幾分謎めいてもいる。不思議で魅力的な生き物である。

クリックすると元のサイズで表示します

 今日はDolonさんのお宅を訪問した。アンバーさんとpontaさんとが、ご一緒であった。Dolon邸を訪れるのはほぼ1年振りとなる。

 スピーカーは、AVALON EIDOLON。AVALONのスピーカーを見ると、何故かしかペンギンが連想される。大まかなシルエットがペンギンに似ているからであろうか?

 おなかの辺りが少し出っ張っていて、上に向かってすらっとしている。左右に小さなヒレをとつければ、スピーカー下辺のはかま辺りから小さな足が生えてきて、よちよち歩き出しそうである。

 送り出しはdcsである。1年前と変わったところはトランスポートが最新鋭のパガニーニになったことである。プリアンプとパワーアンプはジェフローランド。パガニーニとプリアンプのクライテリオンはともにアルミ削りだしのフロントパネルを持ち、色合いと質感において整合性が上手くとれている。

 EIDOLONは購入されてからちょうど10年が経過するとのことである。10年は短い時間ではない。この10年の間には、2000年、2004年、2008年と閏年が3回含まれているので、3,653日の経過を要する時間である。

 その時間の経過は確実にEIDOLONを熟成させたようである。そして、完熟のEIDOLONにはDolonさんの人間性のバランスの良さがしっかりと乗り移り、あらゆるジャンルの音楽を、実にバランス良く、しっかりと聴かせてくれる。

 基本は明るく高精度なアメリカン・ハイエンドの音世界なのであるが、そこには繊細で実に丁寧に練りこまれた深みのある味わいが加わり、音楽が上滑りしない。「熟成の音ですね・・・」という感想が自然と口から漏れる。

 AVALONはある一定以上の条件の下では、海に潜るようである。陸の上ではあれほど頼りなげであったにもかかわらず、海に潜ると、目にも止まらないような素晴らしいスピードで魚を追う。そして、ものの見事に音楽をくわえて、海から飛び上がってくる。EIDOLONはDolonさんのお宅で、美しく澄んだ海を得たようである。



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ