2010/10/24

1685:軽子坂  

クリックすると元のサイズで表示します

 軽子坂の両側には隠れ家的な店が点在している。さらに軽子坂から路地に入り込むと、何かしら由緒ありげな和風の料亭が突然出現したりする。なので、この辺りを散策するのは実に楽しい。大人の街の雰囲気が漂っている。

 軽子坂をちょうど登りきったところに、天野さんの仕事場兼リスニングルームはある。前回訪問時は、残念ながらGOLDMUNDのレコードプレーヤーは聴くことができなかった。

 GOLDMUND STUDIETTOの調整が完了したとの連絡が入ったので早速再訪することとなり、昨日お邪魔してきた。スピーカーはWILSON AUDIO。プリアンプ及びパワーアンプはJeff Rowlandである。

クリックすると元のサイズで表示します

 STUDIETTOは、非常に凝った構造と精密機械を思わせるいでたちで佇んでいた。これはメカ好きな人間にはたまらない外観である。その調整は相当な忍耐を要する作業となりそうである。メカ音痴の私にはとても手に負える代物ではなさそうだ。

 早速、STUDIETTOを聴かせてもらった。カートリッジはSHELTER 901。フォノイコライザーはNAGRA BPS。このフォノイコライザーは手のひらに乗るくらい小さい。バッテリー駆動で高いSN比を実現している。

 さて、このラインナップによる音の印象であるが、スポーツカーの乗り味といった感じであった。けっしてだぶついたり、あいまいな挙動を示すことなく、冷徹なまでに正確に最適なラインをトレースする。ロールはほとんどなく、がっちりと剛性感を確保した車体は安定している。

 低域は膨らむことなくしっかりとした密度感がある。サスペンションの調整がしっかりとしているので路面を捉えて離さず、路面情報が的確にステアリングに伝わる。

 空間表現も的確で広い。空気抵抗もしっかり計算された車体のようである。スムースに空気は流れ去り、相当なスピードを出しても耳障りな風切り音はしない。

 これはなかなか好印象・・・アナログらしい厚みのある音で色濃く聴かせるタイプではけっしてない。素材が持つ旨みをけして逃がすことなく、その良さを最大限活かす料理のようですらある。味付けは最小限に抑えられている。

 何曲が聴かせていただいてから、今度はROKSAN TMSに切り換えてもらった。こちらはカートリッジはSHELTER 9000で、フォノイコライザーはJeff Rowland。

 すると一気に音が分厚くなる。ベースの音圧がぐんとあがる。音がうねるように躍動する。こちらのほうがアナログらしい質感の音である。実にノリが良い。

 味付けはしっかりと施される。食材には熱が加えられ、その素材の味を引き立てる濃厚なソースがかけられ、皿に盛られる。熱が加えられることにより、その素材の旨みがしっかりと引き立つ。

 実に好対照な両者である。GOLDMUND STUDIETTOとROKSAN TMS・・・どちらが優れているといったレベルの問題ではなく、どちらが個人的に好みなのかといった問題である。

 軽子坂から路地に入ると、奥ゆかしい感じの和風料亭がひっそりと佇んでいる。その脇には実に練られた造形美を見せるイタリアンレストランが、これまた周囲に溶け込むような感じで店を構えている。

 STUDIETTOが料亭で出される懐石料理なら、TMSはイタリアンレストランで食するコース料理といった感じであろうか・・・老練な食通をも唸らせる贅沢な時間であった。



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ