2010/9/10

1641:冷血  

 「この」「その」「あの」と三つのレコードプレーヤーが三つ巴の戦いを展開している間に、「とある」レコードプレーヤーが私の心の奥底に染み渡ってきた。

 「とある」レコードプレーヤーは、リニアトラッキングアームを搭載しており、精緻な精密機器を思わせる風貌を有している。

 今はハイエンドメーカーの雄となったスイスのメーカーがかって作っていたものである。「とある」レコードプレーヤーは、リニアトラッキングだけにその動きが独特である。全てが直線的な動きを見せるのである。

 わが家の1階のリスニングルームで活躍しているLINN LP-12とはまったく対照的と思える姿形をしている。

 「とある」レコードプレーヤーの実物を見たのは、今までに2回だけである。直線基調の、その真っ黒な精密機器は、独特の雰囲気を有している。有機的というよりも無機的であり、冷徹なまでに澄み切った容貌は、クールな質感に溢れている。

 「とある」レコードプレーヤーを2階のSOLIDSTEELの最上段に据え置き、その動きを長い時間飽きずに眺めてみたいものである。

 私自身の音の好みとはきっと相反する要素が多いはずではあるが、でも心惹かれる。LINN LP-12はQUADのアンプ、TANNOYのスピーカーで鳴らしている。部屋はスプルースの壁板に囲まれている。その音の質感は「木」に満ち満ちている。

 この「木」の音が本来の好みの音である。きっと「とある」レコードプレーヤからは「木」の音は染み出してこないはずである。もっと都会的で、洗練されていて、「冷血系」であるような気がする。もっと智的で戦略家である。情よりも智のまさり、癒しよりも結果を求めるタイプであろう。

 SOLIDSTEELの棚板の色はグレーである。そして支柱の色はつや消しのシルバー。寒色系の色合いである。そこに冷徹な黒が居座る・・・収まりが良いような気がするのである。

 そうなってくると、QUAD ESLのパネルは現在のブロンズではなくグレーのものが欲しくなる。確かパネルだけでも購入できたような気がするのである。

 いつの日か「冷血系」システムが2階のリスニングルームを占拠する日が来るのであろうか・・・1階は「暖」、2階は「寒」・・・「頭寒足熱」システムの完成である。



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