2010/9/9

1640:間隙  

 2階の主寝室においてある二つのシングルベッドの間隔を目一杯広げた。するとその間隔は80cm程になった。そして、1階のリスニングルームからアームチェアを持ってきた。このアームチェアはアームが独特の曲線を描く美しい椅子である。

 そのアームチェアを二つのシングルベッドの間に押し込んだ。ぴったりと測ったように、そのアームチェアはその間隙に収まった。

 そして次は、そのアームチェアにゆっくりと体をたゆたえた。視線の先には3人掛けソファの背が見え、その先にはやや大きめのコーヒーテーブルが横たわっている。そして、さらにその向こうにはQUAD ESLが茶色のパネルを上方斜め上に向けながら佇んでいる。

 この位置から聴くと、QUAD ESLはやや遠くに感じる。やや遠くに感じるのであるが、ホールの中間よりも少しばかり遠い席で聴く感じの雰囲気に似ている。この感じは、なんとなく心が落ち着く。ほっとするのである。

 先日、Ktemaをハイエンド機器で駆動する音を聴いた。そのとき、まず感じたのは音源に肉薄するようなズームアップ機能の精緻さである。「シュッ・・・」と乾いた音をたててものの見事に被写体にフォーカスが合うのである。

 そしてそのフォーカス機能はサウンドステージ全体に行き渡っており、隅々までピントが合っている。まさにハイビジョン映像のごときであった。

 それに比べてしまうと、QUAD ESLをシングルベッドの間隙に挟まったがごときアームチェアに座って聴く音は、そのサウンドステージの右上には「アナログ」と表示され、その下方端には「2011年9月にはアナログ放送は受信できなくなります」と注意を促されているような音質である。

 しかし、落ち着くのである。落ち着きすぎて、聴いているうちに首が90度ほどの角度に折れ曲がったりする。首が90度に折れ曲がってしまえば、すぐ脇にあるシングルベッドに倒れこめばいいのである。まさに効率的な配置・・・

 「何でこんなところに椅子が置いてあるの?」怒気を孕んだ妻の声で目が覚めた。「こ、これは何でもないだよ・・・すぐにどけるから・・・」と飛び起きて、アームチェアを片付ける。

 「いかん、いかん、こんなところにアームチェアがでんと置いてあったら怒るよな〜」内心思いながら、シングルベッドの間隔を元に戻した。



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