2010/9/6

1637:堅実  

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 走行距離は99,688km。ほぼ10万kmを走破した。5年半「相棒」として活躍してくれたBMW 735iとの別れは、やはり心が痛む。

 コードネームE65の先代BMW 7シリーズは、センセーショナルな登場をした。クリス・バングルのデザインは従来のBMWの洗練されたデザインとは違い、とてもアバンギャルドな印象を受けたのである。

 BMWオーナーの大半は拒否反応を示した。私も同様であった。そのフロントマスクはクリス・バングルが言う「猛禽類」というよりも「ガチャピン」といった風情に見えた。

 さらにリアビューも従来の造形とは本質的に異なっていた。盛り上がったトランクグリッドが、いかにもとってつけたような違和感に満ちていた。

 インテリアの質感もよりチープになったように感じたし、極めつけはi-DRIVEと呼ばれる操作系である。分かりづらいことこの上ないのである。

 このように、第一印象は最悪のE65であった。その造形に目が慣れるのには3年という長い時間が必要であった。徐々にE65の独自のデザインに対し「悪くないじゃないの・・・これはこれで・・・」といった印象を持てるようになったのである。

 乗り味は一世代前の7シリーズよりも格段に良くなっていた。ボディーの剛性感は2ランク上がった感じであったし、乗り味は「官能的」な滑らかさに溢れていた。3.5LのV8エンジンはスムースで胸のすく吹け上がりを見せてくれる。

 ハンドリングも含めて上質感に満ちていたのである。5シリーズのようにスポーティーさに大きく舵を切った味付けではないが、充分に「駆け抜ける喜び」を感じさせてくれたのである。

 残念であったのはマイナートラブルの多さであった。5年半の間、ディーラーで行われた修理は10回を優に超えた。

 そして、現在も本来は修理しなければならないマイナートラブルは10箇所もある。ドアミラーの開閉ボタンが効かない。シフトダウンの際3速から1速に飛んでしまう。オイル漏れに、冷却水漏れ・・・などなど。これらを全て修理するには100万以上の経費が必要になってしまう。

 これは個体差もあるので全てのBMWに当てはまることではないであろう。こういったマイナートラブルの多さには辟易させられた。しかし、その乗り味の美しさは5年半、10万キロを走破しても一向に変化がない。この上質感には、いつまでも魅了されていたい、と思わせる魅惑に満ちている。

 新たな「相棒」となったMercedes-Benz E350 BLUETECH STATIONWAGONにそういった魅惑の乗り味を求めることはできない。その車に対する哲学がBMWと根本的に異なっているからである。特に本来の立ち位置に戻った感のある新型Eクラスのキーワードは「堅実」である。



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