2010/9/1

1632:むくむく  

 「このレコードプレーヤー」のダストカバーのデザインは秀逸である。いや秀逸といった表現にとどめておくべきではないのかもしれない。芸術的なセンスの良さをその全体から窺わせるのである。

 このダストカバーのデザインだけでも、「このレコードプレーヤー」の存在価値はあるのではないかと思わせる。

 私はダストカバーがあまり好きではない。1階のリスニングルームにおいてあるLP-12は附属しているダストカバーをあえてつけていない。

 1階はピアノと同居ながら専用ルームであり、埃が比較的少ない。だからダストカバーなしでも可能である。普通の部屋ではダストカバーはやはり必需品であろう。

 このダストカバーであれば、むしろダストカバーを外すことなど考えられない。このダストカバーがあってこそ、全てが成立しているとも言えるであろう。

 キャビネット自体は明るめの色合いの木をうまく使っている。同じイギリス製であるLINN LP-12も木を効果的に使っているが、その質感とは根本的に異なる造形である。LP-12はシンプルで、素朴ともいえる美しさを湛えているのに対して、「このレコードプレーヤー」はモダンでキレのある造形美を提示している。

 イギリス製レコードプレーヤーのもう一つの雄であるROKSAN XERXES20と比べてもまた異なった質感を有している。XERXES20はその要求される機能を追及していった結果としての造形が見事に形成されているのに対して、「このレコードプレーヤー」は造形が最初にあり、その指定する範囲内で音質的な配慮を施していった風情なのである。

 そして究極のマッチングをみせるのが同社のトーンアームであろう。曲線を多用したその独特のラインは見るものの視線を釘付けにする。その素材はカーボンである。カーボン独特の冷徹な質感を有した網目模様は、「このレコードプレーヤー」のモダンな資質を如実に、そして強烈に主張しているかのようである。

 「このレコードプレーヤー」は、かってのAuraのアンプ郡が放っていたようなイギリスの持つモダンで繊細なセンスの良さを見事に体現している。

 最近私を頓に悩ます「むくむく」の主要因は、造形美である。男性は視覚的刺激に弱いという特徴を有しているものである。男性である私はやはり視覚的刺激に極端に弱い。「このレコードプレーヤー」のモダンでシャープな美しさは私の抱える「むくむく」を助長するに十分すぎるのである。



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