2010/7/21

1590:冗談  

 話は今週の金曜日に予定しているラウンドのことから始まった。この様子では猛暑の中でのラウンドとなる可能性が高い。熱中症対策を万全にする必要がありそうである。

 そして、何かをきっかけとして話はその方向性を変えた。Coreさんのレコードコレクションに対する「寧々ちゃん」の不満が噴出しはじめたのである。

 「レコードのために6畳の一部屋が完全に占領されているんです・・・いったい何枚あるか分からないくらいなんです・・・Taoさんも無数のレコードを持っているんですか?」

 「いえ、私は数百枚程度です。聴く可能性がないものはすぐに中古レコードショップに売ってしまうので、数は増えません。Coreさんはレコードコレクターだから、増える一方でしょうね。コレクターの方はなかなか手放さないから・・・」

 「それはそうと○○さんは、ご自身のレコードはもっていないんですか?あんなに豪華なオーディオがあるのならきっと良い音で聴けますよ・・・」

 「私の持っているのは中学生や高校生の頃に買ったレコードが30枚くらいかしら・・赤い鳥の大ファンでLPは全部持っています。」

 「赤い鳥ですか・・・私も一枚LPを持っていますよ。真っ赤なジャケットのやつで、確かスタジオ・ライブというタイトルだったような・・・」

 「あのアルバムは大好きです。Taoさんはどちらが好きですか、A面とB面とでは・・・?」「私はB面ばかり聴いていました。」「私もB面が好きです。特に2曲目の小っちゃな子守唄が一番すきなんです・・・」

 「出だしでトイピアノを間違うやつですね・・・」「そうそう、あの曲は表面的には美しいファンタジーのような曲ですが、とても悲しい曲のような気がするんです・・・私の勝手な解釈ですけど・・」

 そう言われてその歌詞を思い出そうとした。小さな子供が飛ばしてしまった風船を追いかけて自転車で虹をわたるといった歌詞だったような記憶がある。

 「あれは、子供を亡くした母親の歌のような気がするんです。大切に両手で持っていた風船が飛んでしまって、それを自転車で追いかけた子供は車に撥ねられて亡くなる。自分の命よりも大切な存在であった子供を亡くした母親の悲しみの歌・・・そんな風に思うとあの歌の別な側面が浮かび上がってきます・・・」

 「そういえば、歌詞の中に夢の中で子供が自転車でわたっていた虹を狼のような雷様が壊したといった表現がありましたね・・・」

 「それはきっと、雷のような大きなブレーキ音を立てた止まったトラックでしょう・・・ファンタジックなメロディと歌詞ですが、その裏には悲しみが詰まっているんですよ、きっと・・・」

 「Taoさんは大切なものをなくされた経験はありますか?」「節操でしょうか・・・あっすみません冗談です・・・○○さんはどうです・・・?」

 「私は4年前に女を失くしました・・・」「えっ・・・それどういう意味です・・・」「いえ、なんでもないんです・・・冗談ですよ・・・仕返し・・・」

 「寧々ちゃん」は微笑んだ。しかし、その言葉を発した時、「寧々ちゃん」の瞳の奥には、深い悲しみの色合いが垣間見れたのである。すぐにはぐらかしたが、その言葉の裏側には何かしら別の側面があるような気がした。「女を失くした」・・・その何気なく「寧々ちゃん」が発した言葉は私の心の奥深くに沈殿した。

 「Coreさんの浮気と関係があるのであろうか?夫が浮気したことを女を失くすと表現するのはおかしい・・・女性的な魅力を失ったという意味なら的外れも甚だしい。4年前といったらまだ30代、閉経ということも普通ありえない・・・やはり単なる冗談か・・・」と思いなおした。



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