2010/7/20

1589:気まぐれ  

 神様は気まぐれである。過酷な仕打ちを立て続けに繰り出してくることもあれば、粋な計らいをそっと用意してくれることもある。その法則性については、完全に不可知の領域にはみ出してしまっている。優れた叡智を結集したとしてもその法則性を探ることは困難であろう。

 昼間の酷暑の名残を色濃く残した今晩は、ゴルフスクールの予定が入っていた。いささかバテ気味ではあったが、「寧々ちゃん」に会えるとなれば、その重い腰を上げないわけにはいかない。

 スクール用に確保された打席に着いたときには、「寧々ちゃん」は既に来ていた。「暑いですね・・・」型どおりの挨拶を交わす。

 周囲を見渡してYさんとSさんが来ていないことに気づいた。「あれ、YさんとSさんは?」と「寧々ちゃん」に訊いてみた。「お二人ともお休みのようですよ・・・」との答えである。

 酷暑にうだるような一日であったが、神様の粋な計らいはそっと用意されていた。ゴルフスクールが終わったら30分ほど冷たいものを飲みながら休憩して帰るのが恒例となっている。何時もは四人であるが、今日は二人っきりなる。

 今晩は1時間半が長く感じられた。湿度が極端に高く重くなった空気は時間の流れをもゆったりとさせるようである。スクールが終わった時にはポロシャツが重く感じるほどの汗をかいていた。

 休憩コーナーのテーブルに「寧々ちゃん」を誘導して、プラスティック製の椅子に腰掛けた。ここはエアコンが効いていて快適である。テーブルには2本のポカリスウェットのペットボトルが並んだ。その表面には数多くの水滴がへばりついていた。数分に一つぐらいの割合ですっとその水滴はテーブルに向かって流れ落ちた。

 「寧々ちゃん」の顔は上気し、頬が赤く染まっていた。目もとには水滴状の汗が浮かんでいた。その瞳の色合いは体を動かして思いっきり汗をかいた爽快さにほだされたかのように、軽く朗らかな様子であった。

 その軽やかさのせいであろうか、「寧々ちゃん」は何時もより会話が滑らかであった。そして、別れ際に放った彼女の謎に満ちた言葉はその後しばらく私の心の奥深くに沈殿し、わだかまってしまった。 



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