2010/4/17

1495:ニューバージョン  

 高田馬場駅で電車をおりて、早稲田通りを南へ向かう。朝のうちは季節はずれの雪がところどころに残っていたが、昼頃には雲は晴れ気温も少し上がり、ほとんど溶けてなくなってしまった。

 明治通りとの交差点を直進してしばらくしたところで左折。5分ほど歩くと、東京都で唯一残っている都電荒川線の面影橋駅の側に出る。

 都電荒川線に沿って神田川が流れている。名曲「神田川」に歌われた風景の多くは失われたが、まだところどころには当時の面影が残っている。

 面影橋からほんの少し先に「甘泉園公園」がある。日本庭園風の公園でそこだけぽっかりと静かな空間が広がっている。

 Paoさんのお宅はその甘泉園公園のすぐ裏にある。家の窓からは甘泉園公園のうっそうとした緑が見える。家の北側は中低層のマンションが、家の南側には小さな出版社の3階建てのビルが建っている。

 「MARANTZ CD34がニューバージョンになったので聴きにきませんか?」とPaoさんからメールが来たのは先週であった。

 MARANTZ CD34はすでに製造中止になったモデルである。なので一般的にはニューバージョンはありえない。しかし、PaoさんのCD34は普通のモデルではない。相当に改造の手が加えられているのである。

 アンプの製造などでも一部の超マニアの間で有名なK氏の手によりCD34は何度も改造の手が加えられているのである。その改造の最新バージョンがPaoさんがお持ちのCD34にも加えられたのである。

 他の機器は変りがない。プリアンプはAUREX、パワーアンプはLo-D、スピーカーは長岡鉄男氏設計のバックロードホーン型である。

 Paoさんは我が家のオーディオを「そんな古ぼけたもののどこか良いのかね・・・もっと新らしいのにすれば・・・」と揶揄するが、今となってはPaoさんのオーディオ機器もそれなりの年月を経過したものばかりである。

 さて、ニューバージョンのCD34の印象であるが、「音にまろやかさが感じられる・・・音の表皮が有機的になり空気を通す。よりきめ細かく滑らかになった・・・」

 心の中でそう思っただけで言葉にはしなかったが、私の表情から何かを読み取ったのか、Paoさんは「良くなっただろう・・・」「これならアナログはいらないんじゃないか・・・」とニヤニヤしながら言い放った。

 その自信たっぷりな言いっぷりが若干癪に障るが、以前よりも良くなっていることは確かである。しかし、素直に認めるのもどうかと思ったので「アナログの質感に近くなりましたね・・・本当はPaoさんアナログが好きじゃないんですか?」と切り替えした。

 「俺はな、古いものは好きじゃない。レコードは時代遅れだ。CDは埃も静電気も気にしなくていいしな・・・しかもCDはキラキラしてるだろう。まさに魔法の小円といった風情だ・・・」

 Paoさんが「ひかりもの」が好きだとは意外である。それにしてもこのCD34、見た目はきわめて質素な面持ちであるが、内部は実に巧妙で高度な改造が施されているようである。



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