2010/1/9
1396:新年会

「QUADを聴く会」の常任幹事のishiiさんから新年会のお誘いを受けたのは年末のことであったであろうか?「毎年恒例のQUADを聴く会の新年会を1月9日にやりますが、参加されますか?」やや事務的な口調である。
「毎年恒例なのですか・・・ならば参加したいですね・・・」と受け答えをしながら頭の中では「毎年恒例だっけ・・・知らなかったな・・・」と思った。そこで「新年会って毎年やられているですか?」と恐る恐る確認したところ「そんなこともしんねんかい!」と切り返された。やや気まずい沈黙の後、受話器の向こうで押し殺した笑い声が漏れ聞こえてきた。
この会に入会したのはもう1年以上前のことである。入会金はゼロである。しかし、詳細に規定された会則に即した言動を行わなければ即「退会勧告書」が簡易書留で送られてくるというきわめて厳格な会である。
その新年会とあらば参加せねばと思った。そして、副会長のKさんの仕事場兼リスニングルームに出かけた。そこには会のメンバー12名が終結していた。入り口でメンバー証を見せると厳重に鍵がかけられた重々しい金属製の門が開いた。
そして、中に入るとそこにはQUAD63PROの真っ黒な姿が・・・その63PROを駆動するのはQUAD44とQUAD405のペア。そして送り出しはNAGRAのオープンリールデッキである。

ジャズ・クラシック・ポピュラーと様々なジャンルの名盤がNAGRAから繰り出される。そのスピード溢れる直球はQUAD44・QUAD405でさらに加速され63PROからリスナーめがけて一直線に放たれる。
しかし、私はいたってへぼな打撃能力しか有していない。その直球のスピードに目がついてゆかないのである。むなしくバットは空を切るばかりである。
ど真ん中のストライクゾーンを通っているはずであるが、タイミングが合わないのである。そこで少しばかりバットを短くもつことにした。巨人の大道選手さながらである。しかし、当たらない・・・自分の未熟さを痛感する破目に・・・
「やはりダメである・・・QUAD22・QUADU・ESLのラインが放つナックルボールなら打てるのだが不思議である・・・」
QUADを聴く会の会則第34条には「ESL、ESL63、ESL63PROの三つのスピーカーの特徴をふまえ、それぞれを完璧に使いこなすことを会員は心がけるべきである」と規定されている。またもや「退会勧告書」の危機が現実味を帯びてきた・・・
(今日pontaさんから「QUADを聴く会ってそんなに厳しい会なのですか?」と真顔で聞かれた。「もしかして本気にされているのでは・・・」と思い、「まったくのでたらめです、実際はオーディオ好きな仲間が気さくに集まるだけで、会の名前も会則も役職も全くありません」と答えた。)