2009/8/21

1256:インナースリーブ  

 レコードは中古に限る。古いジャケットからインナースリーブを取り出すと、あの古いレコード独特の臭いが発散する。ジャケットやインナースリーブは長い時間の経過によって紙質が変質したり、色合いが変わっていたりする。そのくたびれた感じがまた良いのである。

 しかし、最近はアナログブームを反映してか新譜がアナログでもでる。特にジャズ・ボーカルなどは結構魅力的な作品が出ている。

 ダイアナ・クラール「クワイエット・ナイツ」やメロディ・ガルドー「マイ・オンリー・スリル」などのアナログ盤が発売されていることを雑誌で見かけたりすると、「う、欲しい・・・音も良さそう・・・」と心の中でつぶやいたりする。

 そして、HMVで頼んだ。しかし、「マイ・オンリー・スリル」は何故かしら入手困難とのことで「クワイエット・ナイツ」のみが我が家に届いた。

 そのジャケットは当然のことながら綺麗である。つやつやしている。しかし、なんだかワクワクしない。引っ掛かりがない感じである。

 ジャケットからインナースリーブを抜き出しても強烈な臭いがしない。真新しい紙の臭いがするのみで、複雑怪奇な有機的臭いがしないのである。

 中古レコードは大概30年以上の時間が経過している。その時間の経過の中でカビが生えたりジャケットやインナースリーブの紙質が古く変質したりといろいろな要素が加わり複雑怪奇な臭いが宿る。

 その臭いは私の鼻には甘く香る。どことなく安心するのである。あたかもその臭いには色があるかのように感じられる。当然華やかで鮮やかな色合いではない。穏やかで渋みのある色合いである。

 さて、新品である「クワイエット・ナイツ」であるが、音は最新録音らしい端整さである。充分に高音質なのであるが、どこかしらひっかリが少ないような気がする。もう少し深い陰影感があれば・・・という気がしないでもない。

 もしかして、それはあの臭いがないせいであろうか?カビや黄色く変色したインナースリーブに包まれてはじめてレコードは深い陰影感がでるのであろうか?

 もちろんそんなことはないはず・・・単なる気のせいでしかない。しかし、何故かしらそういう気になってしまう。



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