2009/8/13

1248:珊瑚蒸風呂  

 「お風呂の王様」とは、結構ポップなネーミングである。スーパー銭湯と銘打っているが、いつも行く花小金井店は天然温泉である。露天風呂やサウナだけでなく、趣向を凝らしたいろんなタイプのお風呂が用意されているので、子供達も飽きない。今日は夏休みであったので家族を引き連れて行ってきた。

 お風呂の種類は10を超えるのではないであろうか?建物には幾つかのタイプのマッサージルームがあり、食堂や休憩室のほかに理髪店も入っている。

 私の場合大概同じようなパターンで過すのであるが、その行程のなかに必ず入ってくるのが「珊瑚蒸風呂」である。サンゴ石を使用した低温スチームサウナで、結構な発汗作用がある。

 そのなかに一歩入ると、そこは別世界である。スチームが狭い空間のなかに充満していて、視界がほとんどない。数メートル先がぼんやりと把握できるだけである。

 濃霧の森の中に紛れ込んだような錯覚を覚えるほどである。一人掛け用に区分された石の椅子の上に座り前を見ると、かすかに前に座っている人の輪郭が浮かぶ。

 この霧の中は別の時間が流れているかのような気になる。この空間だけは日常的な時間や空間から隔絶され、非合理的な世界観が支配的であるかのようである。

 この「珊瑚蒸風呂」にいると、何故かしら最近よく聴くハインリヒ・シュッツの音楽が思い出される。ヘビーローテーションとしてLINN LP-12のターンテーブルにのるのは、「Kleine geistliche Konzerte」harmonia mundi盤である。

 ハインリヒ・シュッツは、ドイツの作曲家。ドイツ・バロック初期の音楽を代表し、ヨハン・セバスティアン・バッハが生まれるちょうど100年前に生まれた。

 300年以上前の音楽である。多くの人にとってはとても退屈な音楽と思われるであろうが、こういった古い音楽は入り込んでいくと結構奥が深い。

 深い霧に包まれた森のなかをさまよいながら歩いているような気分にしてくれるのである。そのレコードは、聴き進んでいくと「できればその霧は晴れないでいて欲しい・・・そのまま視界を遮り、時間をゆがめ、異次元の空間を浸していて欲しい・・・」と思わせる魔力を有しているのである。



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