2009/4/6

1116:あばらかべっそん  

 「SOUND BOY」という名前のオーディオ雑誌、その存在は全く知らなかった。随分昔に廃刊になったものと思われる。「Stereo Sound」の弟的な存在の雑誌であったようだ。対象はオーディオ初心者でかつ若者。

 この「SOUND BOY」の1981年から1983年までの各号をY氏からお借りした。26〜28年前の雑誌である。内容も今とは相当違う。一番の違いは日本のメーカーが積極的にオーディオに参加していることである。

 今では大きなビジネスとして成り立たないオーディオ分野からは、日本のメーカーはほとんど撤退してしまったが、この時代はまだまだ熱い展開があったのである。

 特にCD登場と重なるこの時代は、大きなうねりが押し寄せてきているため、何かしら熱気のようなものがこの雑誌からも感じられる。今ではオーディオというものはかなり肩身の狭いものとなってしまったが、この時代はまだまだ市民権を失っていなかったようである。

 そのような時代の違いを感じながら、面白く読んだ。そんななか最も興味をそそられたのが「あばらかべっそん」である。これはサブタイトルが「伊藤喜多男の身の上相談室」とあるように、Q&A形式の記事で、読者からの質問に伊藤喜多男氏が応えるという形になっている。

 読者からの質問に、かなり辛口というかずばっと切り込んだ答えが返ってくるのが痛快である。この「あばらかべっそん」、これだけで一冊の本に編集すれば結構売れるのでは、と思えるほど面白かった。

 こういった企画は現在のオーディオ雑誌では成り立たないのではと思える。それだけに貴重な感じもするのである。

 残念ながら私は伊藤喜多男氏のことは全く知らない。雑誌を読むとW.Eに勤務された経験があり、アンプ設計や製作においてその優れた才能と技術を発揮された方のようである。

 この「あばらかべっそん」を面白さは、単に読者からのいささか浅薄な質問に対し切れ味鋭い一刀両断的回答が振り下ろされる爽快感にあるだけではない。その回答の中にしっかりと内在する哲学的な理念が正当である点にも大きな魅力があるのである。 



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