2009/4/4

1114:小さな波紋  

 露天風呂の湯の表面に捕らえられた羽虫は仰向けになっていた。自力では決して脱出できない状況である。羽虫は時折湯につかった羽根を羽ばたかせていた。その都度小さな波紋が湯の表面に伝わったが、変化といえばその小さな波紋だけで、その波紋も音もなく収束していった。

 春ののどかな昼前、近所の日帰り温泉の露天風呂はすいている。多くの人は花見にでているのであろう。湯に捕らえられた羽虫の最後のあがきを眺めるでもなく、ぼんやり見ていた。時折湯に出入りする人が立てるお湯の音以外には物音のしない静かな時間である。

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 シーメンスのユニットは、湯の表面に小さく伝達していた波紋を思わせる造形である。この幾何学的な文様には、特殊な意味合いがこめられているようにも思われる。

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 シーメンスのユニットは背面開放型のキャビネットに納められていた。今日はYさんのお宅にお邪魔した。ishiiさんと宮内さんもご一緒であった。

 Yさんはアメリカ・タンノイのGRFをお使いであったが、最近シーメンス用のキャビネットを新調され、こちらをメインに聴かれているとのことであった。シーメンスの音は聴いた経験がなかったので、お邪魔してその音を聴かせていただいた。

 背面開放型であるからか、シーメンスのユニットの特性なのか、音に開放感がある。低音の豊かさやスケールの大きさといった観点とは違った伸びやかさがあるのである。閉じ込められた音ではないカラッとした爽やかさがあるように感じられた。

 明るく張りのある中高域が特徴で、ピアノの音など凄くはまる。低域は重い音ではなく自然な質量感である。ウッドベースのボディ感も充分に出てくる。キャビネットは新調されたばかりなので、今後時間の経過とともにさらに乾燥が進みその響きの乗り具合も微妙に変わってくるはずである。

 シーメンスの音の質感は、Yさんがお使いのデッカのアームとカートリッジの音の質感に似ている。どちらも最近導入されたものである。Yさんの音の好みに合致したこの両者、共通の性質を感じるのは当然なのかもしれない。



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