2008/7/20

856:HAL 9000  

 新松戸で武蔵野線に乗り換えた。運良く二人分の座席が空いていたのでFairbrookさんと並んで座った。しばらくは、今聴かせていただいたエム5さんのお宅での体験について話していた。

 日頃超多忙の生活を送られているFairbrookさんは、南越谷を過ぎたあたりから熟睡モードに・・・私も新小平までまだしばらくあるので、少しばかり寝ておこうと目を閉じた。

 目を閉じると5つのスピーカーが脳裏に浮かぶ。三つは真っ直ぐこちらを見ている。じっと見つめられている感じである。背後の2本は目には映らないのであるが、その存在感がしっかりと背中に感じられる。

 そしてその5本のスピーカーは、その中に座っている私にめがけて、音の洪水を投げかけている。それは激しくも心地よく、滑らかで、情念に溢れている。もの凄い低域もいささかも加減することなく投げかけてくる。金管や木管のふっと吸い込まれるような場の集約力もホールで聴く質感のまま流れ出でてくる。目を閉じたままであったが、眠ることはできなかった。

 エム5さんのシステム構成は、前回3月にお邪魔させていただいたときと比べ、全くといっていいほど変わっていた。前回の時はJM labのグランドユートピアをお使いであったが、今回はB&WのM801を5本使用したマルチチャンネル構成となっていたのである。

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 雄大なグランドユートピアの残像が脳裏に残っていたので、M801が若干かわいらしく見えてしまった。しかし、このスピーカー、ドラえもんのポケットから5本とも出てきたのではないかと思うような、信じがたいイリュージョンを矢継ぎ早に見せてくれる。

 SACDマルチの音をメインに聴かせていただいたのであるが、「凄い・・・」という言葉の後に続くべき言葉が見当たらないのである。なので寡黙になる・・・もともと私はどちらかというと寡黙な方なのであるが、今日はそれに輪をかけて寡黙になった。

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 黙した私は、目の前のセンターポジションのM801に話しかけた。「君の黄色に輝くスコーカーは、HAL 9000の目のようだ。その目で見られると心の中を見透かされている気になるよ。その目で見ると私の心はどんな具合だい?」

 しばらくHAL 9000は黙っていた。そして、一瞬その黄色の光度が少しばかり増したかのように見えた後「透明感のある黄色が見えます。それはすっかり溶けたバターのようです。どうやら、融点を越えたようです。」と静かに抑揚のない声で語ってくれた。



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