2008/7/14

850:作品空間  

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 シューマン歌曲集「女の愛と生涯」作品42 白井光子(ソプラノ)ハルトムート・ヘル(ピアノ)から1曲目「私が彼を見た時から」2曲目「彼、すべての中で一番立派な人」4曲目「お前、私の指の指輪よ」を聴いた。

 LINN CD-12とEMM Labsとの聴き比べで、この3曲を交互に聴いたのであるが、やはりそれぞれ魅力的であると同時に個性的である。

 CD-12はその精緻で絶妙なデザインは素晴らしいの一言。非常に都会的で抜群のセンスの良さを感じさせる。その佇まいからは、多少近づきがたいような孤高の存在感を感じさせてくれる。

 一方EMM Labsは実直一辺倒というか、そもそもデザインというものにそれほど関心がないかのようないでたちである。都会的というよりも、郊外あるいはそれよりもさらに一歩踏み込んだ「田舎」の佇まいである。人工物ばかりでない、自然の景観が広がるなか緩やかに時間が流れる、そんな雰囲気を有した機器である。

 そして出てくる音もそんな感じなのである。EMM Labsは透明感やキレのよさといった要素を突き詰めた感じではなく、自然で広がり感のある空間表現、音像の穏やかな輪郭感や人肌感のある音が聴き手の心にじっくりと訴えかけてくる。

 一方CD-12は音像の質量感が上がり、彫りの深さや音のリアリティ度がアップ。空間的な広がり感はEMM Labsよりも一回り狭くなる印象はあるが、その空間内における密度はより濃厚になる。そしてそのサウンドステージは都会的である。自然な拡がりよりもきっちとした凝縮感が感じられ、適切なバランスで配置され隙のない感じなのである。

 そこには一つの「作品空間」といったものが感じられる。EMM Labsの作為のない広く自然な空間表現とは、相当異なっていると感じさせられた。



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