2007/1/18

二つの音  

 今日は二つの音を聞いた。その二つの音は極めて対照的でまさに正反対の作用を私の心にもたらしてくれた。まず一つの音は身の毛もよだつと言うか、血の気がさっと引くような音であった。「ガリ、ガリ・・・」という音と共に軽い振動がハンドルを持つ手に伝わってきた。

 車に乗っていて左折しようとした際、「冷却水が不足しています。」と表示された警告に気をとられてしまい、多少ハンドル操作を誤ったのか、左側のリアドアを電柱に軽くすってしまったのである。

 あの音ときたら・・・全く目一杯気分を落ち込ませる音である。毎日必ずハンドルを握るので、1年に1回程度は軽く擦ったり、バンパーに小傷をつけることはある。その都度、「くそ、なんだよ!」と心のなかで叫ばずにはいられない。そして、車を止めて恐る恐るその傷の具合を目で確かめる時の気分の悪さといったら、目の下にさっと青線が走る程である。

 今日もしっかり傷跡がついていた。塗装が必要な程度の傷である。ずずっと気分が重くなった。誰を責めることもできない、自分以外に責任を擦り付ける先がない。ドライバーをナイスショットしてピンまで80ヤードというところからのセカンドショットを思い切りダフッた時の気分に似ている。

 もう一つの音は、「魂の昇華」という言葉を連想させるような精妙な音であった。アルティ弦楽四重奏団の演奏をトッパンホールで聴いてきたのである。プログラムはベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番と15番であった。トッパンホールはJR飯田橋駅から徒歩10分ちょっとのところにある。小規模なホールであり、室内楽を中心としたコンサートを定期的に行っている。ここのホールの響きはとても美しい。

 今日のプログラム、私はベートーヴェンの弦楽四重奏曲15番をとても楽しみにしていた。とても好きな曲である。そして、アルティ弦楽四重奏団の演奏は期待に違わず素晴らしい演奏であった。特に第3楽章、「病癒えし者の神への感謝の歌、リディア旋法による」と記されたこの楽章の演奏には鳥肌が立ち、目がうるうるしてしまった。

 この第3楽章はこの曲の肝である。繊細で美しいハーモニーと全体を引き締め緩めることのない緊張感がとてもバランスよくまとまっており、この曲の奥深さを十二分に感じさせてくれた。

 明日は、これも前回音の良さに感心した杉並公会堂の小ホールでのコンサートに行く予定である。明日も妙なる音に感動したいものである。 



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