2007/1/8

詩人  

 迷い羊さんは詩人のような雰囲気をお持ちである。先日NAIT邸でのOFF会でお会いしたのが初対面であったのであるが、その際NAIT邸の音を評して「水銀のしずくのようだ。」とおっしゃられたのが、とても印象的であった。

 音の表面が滑らかでなおかつ音の質量感があるという意味だと思われるが、その表現は詩的でかつ的確である。内心「迷い羊さんって、もしかして職業はコピーライターなのではないのであろうか?」と思ってしまった。

 そして、その醸し出す雰囲気や朴訥と語る言葉の端々から「文学」の香りを感じてしまうのである。今日はその迷い羊さんのお宅にお邪魔した。先日お邪魔したNAIT邸からほど近い、利便性の高いエリアにお住まいである。私の自宅からは車で1時間半の距離であった。

 迷い羊さんのお宅は15畳前後の広い部屋にキッチンとバス・トイレが付いている。十二分な広さが魅力である。その広い部屋を縦長配置に使われている。長方形の部屋で比較的機密性が高い構造の建物である。手を叩いた時の定在波は相当ある。その定在波の音を聴くと、「この部屋を手なづけるのは、大変そうだ」と思わざるを得ない。

 迷い羊さんの愛用スピーカーはWILSON AUDIOのSYSTEM6。そしてその間に収まっているのはCLASSE OMICRON。このパワーアンプ、大きくそして精悍である。その存在感はSYSTEM6をも凌駕するかと思われる。プリはコニサー、そしてEMM Labsのペアをお使いである。素晴らしいラインナップである。しかし、セッティングなどの微調整には相当敏感なシステム構成とも思われる。

 そしてケーブルやインシュレターなどのアクセッサリーはローゼン・クランツでそろえられている。それらのアクセサリーを使っての緻密で繊細な調整は相当な試行錯誤を経て積み上げられてきたことが伺える。

 オーディオのリスニングルームとしては比較的調整が難しいこの部屋で、鋭敏な傾向のあるハイエンド機器を使いこなすことは、相当な持久力を持って調整に励む必要があるはず。納得のいく音のバランスに仕上げていく過程で迷い羊さんは相当苦労されたようである。

 しかし、その苦労の甲斐あって素晴らしいバランスに仕上げていらっしゃる。オーディオ、オーディオした音ではなく、滑らかさと豊かで美しい響きが実に上手く調和した音である。クラシック、女性ボーカル、ジャズいろんなソフトを聞かせていただいたが、その音は深い。水底を見渡せるような深遠さを感じさせるものである。

 手を叩いた時の定在波には正直ビックリした。そしてこの部屋でここまで見事に調整された迷い羊さんの手腕にもビックリした。まさにピンポイント的なセッティングでしかなし得ないバランスの良さと思われた。

 今日はセッティングの妙というものを改めて教えていただいた。そして調整の過程での数々のカットアンドトライの累積が、その音の背後にひしひしと感じられた。調整の過程を迷い羊さんは「苦しかった」と言われていたが、そのエネルギーの源泉はどこにあるのであろうか?

 中学生の頃からStereo Sound誌を愛読されていた程早熟な方であるが、その頃から燃え続けていた情熱は今も衰えることなくオーディオと音楽に向けられているようである。

クリックすると元のサイズで表示します



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ