2006/12/19

衣替え  

 「デジタルケーブルは現代のカートリッジである。」と誰かがオーディオ雑誌に書いていたのを読んだような記憶がある。レコードがメインソースであった時代には、複数のカートリッジを所有し、聞く曲によって取り換えて音の変化を楽しむのがオーディオマニアの間では一般的であったようだ。デジタルケーブルは差し替えが比較的容易なケーブルであり、音の変化も結構大きい。そこで昔のカートリッジのように複数持っていて、差し替えることによって音の変化を楽しむのもありかもしれない。

 確かにデジタルケーブルによって音は変わる。しかも相当に変化する。我が家の純粋デジタルラインにおいてはCDトランスポートとデジタルアンプという極めてシンプルな構成であるため、いわゆるラインケーブルというのは1本のデジタルケーブルしかない。

 RCAデジタルケーブルを使っているのであるが、一番最初はキンバーケーブルのD-60という比較的オーソドックスなケーブルを使っていた。しかし、今はサウンドデザイン特製のものを使っている。この二つを比べてみると情報量や音場形成能力、そして音の実体感等どの項目においても後者の方が優れていた。残念ながらキンバーケーブルは土俵の外へ追い出されてしまった。

 今日はショップの人の御好意により、某メーカーの発売前のデジタルケーブルをお借りして試聴することができた。見た目的には、サウンドデザイン製は全く高級感がなく安っぽい感じで、対する某メーカー製は太さやその質感、コネクターのクオリティなど相当程度上回っている。

 しかし、肝心なのは音であるので、早速試聴してみる。試聴に使ったソフトはBERLIOZ・SYMPHONIE FANTASTIQUEからMarche au supplice。演奏はPIERRE BOULEZ指揮The Cleveland Orchestra。まずサウンドデザイン製で聞き、次に某メーカー製で聞く。

 サウンドデザイン製から某メーカー製に変えると、音の色合いが暖色系に変わり、音の輪郭線が丸みを帯びる印象を受ける。これはこれで悪くない。音が多少まったりする感じで、音に木質系の柔らかさや暖かみが加わる。サウンドデザイン製のほうが、より冷静でクール、時に凄みさえ感じさせるキレを有しているのに対して、某メーカー製は暖かみのある音色で勝負という感じである。

 それぞれ持ち味がある。オーディオ的なクオリティの高さという点にだけ的を絞って評価すればサウンドデザイン製の方に軍配が上がるが、この某メーカーのデジタルケーブルが持つ音色は独自の良さがある。ソフトによってはこちらの方がしっくりくるということも充分にありえる。

 現代のトーンアームは簡単にカートリッジを替えられない構造のものが増えている。我が家のARTEMIZ2も同様である。ならば、デジタルケーブルで音の衣替えを楽しむというのも現代のオーディオの楽しみ方のひとつかもしれない。



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