2006/10/31

廃棄損  

 私の事務所の顧問先には何社かコンビニエンスストアを運営している会社がある。コンビニエンスストアは今ほぼ飽和状態で、極めて競争が激しい。特に東京の郊外では既存店よりもはるかに広い駐車場を持った新規店が次々に出店しており、既存店はますます窮地に追い込まれている。

 コンビニエンスストアでは賞味期限を過ぎて売れ残った食品などは全て廃棄される。この廃棄された商品の原価は当然運営会社の負担となる。そこで経営者はこの廃棄金額を少しでも抑えようと知恵を絞る。販売見込みぎりぎりの数量の仕入れをすれば、廃棄損を抑えることができる。しかし、抑えた仕入れではある程度の量が売れた場合棚がスカスカとなり見た目的に物寂しくさびれた雰囲気を醸し出してしまう。

 コンビニの棚は常に商品で溢れ、しかも整然と陳列されていることが、消費者の購買意欲を掻き立てるためには必要なのである。棚がスカスカでわびしい感じでは消費者の購買意欲やリピート来店率を下げてしまって、売り上げがジリ貧状態になってしまう可能性もある。そのさじ加減が難しい。廃棄を怖がりすぎてもいけないのである。

 棚が寂しい・・・それは我が家のリスニングルームにも当てはまる。廃棄を恐れて仕入れを抑えたわけではない。むしろ大量に仕入れた。それも高価な機器を何台も。その大量仕入れに備えて、ラックはクワドラスパイアの3段のものが三つも並んでいる。つまり棚板の数は9枚。9台のオーディオ機器がその棚に整然と収まるはずであった。

 向かって左側のラックにはXERXES 20、Synphonic、XERXESの電源部が、真ん中のラックにはCDP-X5000、SD05、BAT VK-51SEが、そして右側のラックにはemm labs CDSD、emm labs DCC2、AntelopeAudio OCXが整然と並べられ、その壮観な様を見ながら「これで私も一端のハイエンドオーディオマニアだ・・・」と悦に入る予定であった。

 しかしながらその3列に縦列駐車しているラックには今は2つの機器しか並べられていない。棚が寂しい。スカスカである。アナログ機器は近い将来、ハイファイルネッサンスの社長のスケジュールが空けば納品される予定であるが、その他の機器はリフォーム工事完了前のように段ボールに収められ階段下の物置に収納されている。

 棚に並べられたたくさんの機器を愛でるのは楽しいものである。それは少年の頃夢中になって集めた色とりどりのミニカーを棚に並べてうっとり眺めた楽しさに通じるものがある。しかし、今は棚をスッキリさせたい気持ちのほうが強い。それは、今この部屋から聞こえてくる音がそういう気持ちにさせたのかもしれない。

2006/10/30

ピアノ戦争  

 昨日のCDP-X5000(改)+SD05の音体験では、幾つかのステップを踏むごとに音が向上することがはっきりと分かったのであるが、ハイライトはリスイニングポイントから見て右手の側壁を占領している妻のアップライトピアノをその壁に沿ってずらし角まで持っていき、両方のスピーカーをそれぞれのコーナーにセッティングしなおした時であった。

 一気にサウンドステージが広がり原寸大を思わせるサイズに拡大したのである。映画館でCMと予告編が終わりいよいよ本編が始まる際にスーと幕が広がるようにサイズアップしたのである。まさに目の前が開けたという印象を受けた。

 この音を聞いて喜び勇んだのは当然であるが、その心の裏側で一種ヒヤッとするものを感じた。「これはひと悶着あるな・・・」そう思わずにはいられなかった。まず間違いなく妻からのクレームがある。それも相当激しいものにならざる得ない。

 もともと妻は部屋のリフォームには反対であった。特に窓をつぶすということには強固なる抵抗を受けた。どうにかなだめすかしてやってきたのであるが、工事が予定よりも2週間も遅れ、その間廊下に置かれたピアノで練習するはめとなり、フラストレーションはうなぎのぼりであった。

 やっと部屋が完成しピアノは比較的いいポジションに置かれ、その音もかなり良くなったので、最近は機嫌が良かったのであるが・・・センターポジションから部屋の片隅、しかも出入り口のすぐそばにピアノが移動されたのでは、これはひと悶着ないほうが不思議である。

 やはりピアノ戦争は勃発した。危惧していたとおり相当な攻撃力でもって侵攻してくる。こちらは防戦一方である。昨日GRFさんから言われた「そういう時はガツーンと、ここは俺の部屋だ!と一喝すればいいのです。」という言葉を思い出した。

 「ガツーンと一発・・・」と内心つぶやいていたが、そうすると相当な期間の冷戦状態となることが目に見えている。それでは神経を消耗する寒波の到来を告げることになってしまう。「しかし、この音を捨て去るわけにはいかない・・・」

 しばらく考えて妻に言った。「わかった、元に戻すよ・・・」ピアノにはキャスターというか車輪のようなものが着いている。動かないようにキャスター受けがあるため、容易には動かせないようになっている。しかし、このキャスター受けをはずせば一人でも移動は可能である。多少床に跡はつくが目をつぶろう。

 ということで普段は真ん中にピアノがあり、オーディオを聴く段になると、そのピアノを移動させる必要が生じることとなった。時間にすると3分程度で済むのであるが、結構力仕事である。ほぼ毎日行うことになる。いい筋力トレーニングと捉えるしかないようだ。

 オーディオにとってこの部屋にピアノがあることは百害あって一利無しではあるが、家庭生活との両立にも配慮しなければならない。オーディオはとかく家庭のなかでは孤立しやすい趣味である。家庭生活とオーディオというテーマは結構厄介なものだ。しかし、様々な制約のなかで工夫と努力を重ねることも大事なことなのかもしれない。

これがなければと正直思うこともあります・・・
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2006/10/29

思いのエネルギー  

 人生で起こることは、全て偶然で、「人生は偶然の累積である。」という人生に対する捉えたかがある。一方、人生で起こることは全て必然で、「全てのことに理由がある。」という捉え方もある。

 私は全く人格者でも哲学者でもなく、また達観とは程遠い次元であくせく生活している。ビジネスの心配をし、金勘定で頭を悩ませ、家族との人間関係で後悔したり、物欲や性欲はたまた食欲に振り回され、人生を過ごしてきた。

 しかし、はっきりとした理由は提示できないのであるが、「人生で起こることの多くは必然で、理由がある。あるいは原因がある。」という気持ちが強い。その人が持ち続けている思いというエネルギーが、人であったり、物であったり、アイデアを引き付けてくるような気がしている。

 今日はGRFさんがサウンドデザインでカスタマイズされたCDP-X5000を我が家に持ってきてくれた。そして私にとってGRFさんやSD05ヘの「架け橋」となってくれたハンコックさんも同席してくれた。

 リスニングルームのリフォーム工事と電源改良工事を経て、我が家の音は見違えるようになった。目標であるコンサーホールの響きを髣髴とさせる音に大きく一歩近づいた。しかしまだ掛け値無しとはいかない。先日GRFさんのところで聞かせていただいた音は掛け値なしと言っていいレベルであった。

 GRFさんのところは部屋の広さが私のリスニングルームの倍以上、やはり部屋の広さはいかんともしがたい。等身大のサウンドステージのためには、やはり20畳以上の広さが必要なのではないかと内心思っていた。

 emm labsを中心とした現在のラインナップもこの部屋を得て、その実力を遺憾なく発揮してくれるようになったので、CDP-X5000(改)とSD05のペアがきたら、実力伯仲したバトルを展開するのではないかと、内心密かに期待していた。しかし、実質9畳程度の広さのこの部屋では、いずれが勝ったにしても、サウンドステージには一定の縮尺率を掛け、またコンサートホールの髣髴度合いにも多少掛け値を掛けた音になるだろうと予想していたのである。

 CDP-X5000に電源をいれ、SD05とデジタル接続して、音だし。従来の駆動系よりも音のたたずまいが落ち着き軽やかさも出てきた。次にラックの中段に置いてあったSD05を隣のラックの最上段に移す。音の伸びやかさが加わり、押さえつけられていたものから開放されたような印象を受ける。

 そしてリスニングルーム右手に大きく陣取っている妻のアップライトピアノを3人がかりでずらし、そのうえでスピーカーをより両方のコナーに近づけた。二つのスピーカーの間隔はさらに広がった。そのうえで音を確認した。

 そこにはコンサートホールがあった。髣髴度合いに対する掛け値がほぼない状態である。3人とも笑った。目の前で起きていることに対する反応としてはいささか滑稽ではあるが、自然と笑った。しかも3人ともである。

 そして、音を聞いているときは照明を消して聞いていたのであるが、スピーカーの向こうに演奏者の気配が感じられる。その息使いのようなものが肌で感じられるような印象である。

 今日ここで体験したことは、偶然の累積とは私には思えない。私は、オーディオに対する知識も経験も正直未熟である。ある面全て人からのノウハウや情報、技量で支えられており、私自身の実力などはっきり言ってこれっぽっちもない。ただ、強い思いだけは持っていた。「コンサートホールを髣髴とさせる生きた音が聞きたい。」その思いだけである。そのための手段は私の手元には全くなかった。

 しかし、そのための手段は外からやってきてくれた。松浦さんとともに石井式リスニングルームが、Akimitsuさんとともに素晴らしい電源環境が、そしてGRFさんとともにCDP-X5000とSD05のペアが・・・それらは決して偶然の累積ではなく、必然であった。

 思いというのは強いエネルギーを持っている。どういう思いを抱くか、意識的にせよ無意識的にせよ、どういう思いを抱いて生きているのか、その思いの質と強さがその人の人生を決めていくような気がする。いつもは低次元の悩みを抱え、地上を這いつくばって生きているが、今日はこの音を聞いて心が潤された。「ありがとうございます。」と深々と頭を下げたい気持ちである。

2006/10/28

直球勝負  

 高校時代に本気で野球をやっていたような人とキャッチボールをすると、ボールをグローブで受けた瞬間ビシッと乾いた音がして、その衝撃度合いは結構ある。何球かキャッチボールをしていると手が痛くなることもある。

 今日はクッパ邸でのOFF会があった。クッパさんは初対面であるが、その醸し出す雰囲気はほのぼのした温かさが感じられる方で、とても気軽に会話することができた。しかし、その醸し出す雰囲気から想像していた音とは180度趣の違う直球勝負の音がそのスピーカーからは放たれていて、その大きなギャップに多少面食らった。その音はビシッと音がしてミットにすっぽり収まる感じのするものであった。

 クッパ邸でのOFF会にはhades氏とオルフィ氏もご一緒であった。御二人とも初対面であったが、「只者ではない感」が全身から発せられていた。そしてそのお話を伺い、やはり只者ではない、ということがよ〜く分かった。

 クッパさんを含め、総勢4名でご自宅に向かったのであるが、その場所がまた凄い。都心の真ん中なのである。「大都会」という雰囲気の中クッパさんの自宅はあり、周囲には大きなビルが林立している。同じ東京都とはいえ、我が家の近所の雰囲気とは相当な差がある。

 リスニングルームは和室で6畳ほどの広さ。横長に使われている。かなりのニアリスニング。そしてAVALONのアバターmk2以上に存在感があり目を引くのがPARASOUNDのパワーアンプ。全く知らないメーカーであるがその堂々たる躯体はいかにもパワーがありそう。

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 まずはCDから聞かせていただいた。そしてその音の第一印象は最初に述べたように「直球勝負だ!」というもの。びしびしと矢継ぎ早に直球が投げ込まれるという感じ。しかもそのテンポが速い。セットポジションから結構切れのある速球をコントロール良く投げ込んでくるピッチャーである。CDトランスポートはエソテリックのP0。そのウォーミングアップは多少時間がかかるが、読み込みが完了したらすばやい。

 低音に締りがある、全体のバランスもいい。中高域に速球が掠め飛んでいく際の空気音のような緊張感を伴うスピード感を感じる。音の隈取はやや濃い目であるが太い線で書かれたものではなく切れがある。音抜けもいい。

 アナログプレーヤーはROKSANのラディウスをお使いである。もうすぐ導入予定である私のレコードプレーヤーもROKSANである。ラディウスはアクリル仕様でシャープなたたずまいである。「やはり気になる・・・」

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 一通りCDを聞いてティーブレークの後、お願いしてアナログを聞かせていただいた。アナログの音が流れてきた瞬間「う〜ん、アナログの音にはタメがある。」と感じ、少し力が入っていた肩からスッと力が抜けた。脳波の波形も若干ゆったりとしたリズムを刻み始める。

 「ピッチャー、振りかぶって、投げました。」のアナウンスにおいて、「振りかぶって」と「投げました」の間に一拍の休符がある。軸足に体重が乗って充分なタメがあってから投げ込んでくるので、音に実体感というか、腕のしなりが活きた音が投げ込まれる。キャッチャーミットに収まった時の音の質量感も心地よいものだ。

 OFF会の後4名でダイナの島田店での試聴会に参加。そこでGemokuさんと合流。総勢5名で食事をしながらのオーディオ談義。その会話はとても濃い。そしてとても深い。初心者である私は会話についていくだけで大変であるが、このメンバーのオーディオに対する熱意の凄まじさに、「私などまだまだ甘い!修行が足りない・・・」と感じてしまった。

2006/10/27

至近距離  

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 近い、近い・・・至近距離にスピーカーがあり、二つのスピーカーの間隔も狭い。視覚的には正直圧迫感があり、良いとは言えない。

 実は昨日の記事に対するmoukutsuさんのコメントに「例えば、部屋の真ん中付近に、スピーカーの間隔を1〜1.5mくらいにしてセットし、ワンポイント(ペアマイク)録音のソースを聴いてみてください。初めは違和感があるかも知れませんが、ホールの響きの広がり、消え方、聴取位置を移動(頭を左右に振るなど)させたときの音像の動きなどに注目して、耳をリラックスして2時間くらい聴き続けていると面白い体験ができるはずです。」とあり、早速実験してみた。

 ほぼ指示通りの位置にセッティングして、多少半信半疑ながら音を出してみる。視覚的な不慣れさからくる違和感があるので目をつぶっても試聴開始。

 音場の形成はスピーカー後方奥深く、目をつぶれば至ってまっとう。低音の力感も結構ある。管楽器などの音色も自然でリアリティーがある。各楽器の定位感も定かである。目を開けても、音そのものに対する印象は変わらない。(しかしすぐそばにある黒い二本のトーテンポールは存在感ありすぎ。)

 こういった見た目的には変則的なスピーカーセッティングも面白いものだ。リスニングポイントすぐそばにスピーカーがあるのであるが、そのはるか後方の背面にしっかりめのサウンドスーテージが構築され、二本の門柱を通してそのステージを見ているような感覚に陥る。

 両方のスピーカーの間隔は1m30cm。普段のセッティングよりも1m以上狭い。そして部屋の真ん中のライン上のスピーカーをセッティング。部屋を横長配置に使用しているため、相当なニアリスニング状態となる。

 視覚的な違和感と部屋の使い勝手が悪くなること以外、結構良いとの判断が下せる。スピーカーのセッティングは奥が深い。特に水平360度無指向性のHRS-120はセッティング実験にはもってこいなのかもしれない。

2006/10/26

直間比率 1:9  

 リスニングルームの床材はタモ。これはカリンほどではないが、比較的硬い木材である。床材の場合ある程度の硬さがないと、すぐに傷がついてしまう。またタモはその木目が美しく家具の材料としても良く使われるようである。値段も比較的安価である。

 壁と天井の反射面に使っているのは、スプルース。これはタモとは逆に比較的柔らかい木材である。その響きが豊かで美しいため、ギターやバイオリンなどの楽器の素材として用いられることも多い。見た目は淡白な白木。特にいい香りがするというわけではなく、落ち着いた印象を与えてくれる。

 私のメインジャンルはクラシックである。コンサートホールにおける豊かで澄んだ音の響きを再現することが、私にとっての最大のポイントである。そのために壁や天井にスプルースを使い、また部屋全体に対する吸音層の比率も若干低めに設定してある。

 低音は締りがあるというよりも、豊かで滔々と流れる感じを重視している。おそらくジャズやロックでは低音のタイトな感じがなく、ピントが合っていない印象となってしまうかもしれない。しかし、「二兎追うもの一兎をも得ず」なので、ここは割り切ってクラシックに標準をあわせるしかないと思っている。

 しかし、低音の質感はスピーカーのセッティングにより相当影響を受けるはず。特に背面の壁との距離は重要なファクターである。一般的には背面の壁に近づけるほど量感のある豊かな低音となり、離すほど解像度の高い締まった低音になると言われている。

 ということで今日はスピーカーと背面の壁との距離を調整して低音の質感の変化を探ってみた。リフォーム後に一旦スピーカーを設置してから、その位置を全くいじっていなかったのであるが、その変化の度合いはどのようなものであろう。

 当初は背面の壁からスピーカーセンターまでの距離は39cmかなり背面の壁に近い設置である。この距離を44cm、49cm、53cmと背面の壁から遠ざけていく。そうすると響きがスッキリとしてくるが音の生命感が減少する印象を伴う。ある意味バランスよく端整な感じとなるのであるが一番の肝である音が生きている感じがなくなるのである。

 結局ほぼ最初の位置に戻すこととなった。背面の壁とスピーカーセンターまでの距離は39cm、左右の壁からスピーカーセンターまでの距離は86cm、スピーカーの間隔はセンター間で2m40cm。今日の短い時間での検証ではこの値が一番いい結果が出た。平均的な設置方法に比べ左右のスピーカーの間隔が広く、背面の壁までの距離が近い。背面の壁までの距離が近いということは壁の反射音を相当加味しているということであろう。コンサートホールの直接音と間接音との比率は1:9と何かで読んだことがあるが、その比率に近いバランスなのであろうか。

2006/10/25

ベンチ入り  

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 「届いた!」と喜び勇んで、SD05を早速開梱。ラックにセットしてみて、すぐさま記念撮影。「よ〜し、その実力の程を検証してみるか・・・」と思い、emm labs CDSDのデジタル出力を確認すべくその裏面をのぞいて、がっくと肩を落としてしまった。

 もう1年近く使用しているCDSDであるが、デジタル出力端子がDSDについてはSTのみ、PCMについてはAES/EBUのみということにはじめて気付いた。emm labs DCC2とはSTケーブルで接続しているのであるが、それ以外は試してみたことがなかったので、このような仕様になっているとは知らなかったのである。SD05のデジタル入力はRCAとBNCが2系統づつである。したがってCDSDとSD05との接続は不可能である。

 SD05と純正ペアを組むべきCDP-X5000はまだ改造の最中で、我が家に届くのは来週の後半になる予定とのことである。CDP-X5000がくるまで、CDSDをトランスポートとしてSD05の実力を検証してみようと目論んでいたのであるが、残念ながらかなわなかった。

 とりあえず、SD05はラックでくつろいでいてもらっておこう。最愛のペアとなるであろうCDP-X5000が着いたならその実力を遺憾なく発揮してもらうため、英気を養っていてもらうこととなる。

 DCC2からのアナログ信号をSD05に送り、プリメインアンプとしての能力を試すという選択もあるのであるが、我が家のプリアンプ BAT VK-51SEはバランス接続オンリーなので我が家にはRCAケーブルがない。そのためだけにRCAケーブルを買うのももったいない。RCAのデジタルケーブルは先日中古で安いものを仕入れてあったのであるが、これも手持ち無沙汰な表情で佇んでいる。このケーブルもCDP-X5000の到着まで休んでいてもらおう。

 というわけで新たな仲間がはるばる来てくれたのであるが、試合には出られず当分の間ベンチを暖めていてもらうこととなった。 

2006/10/24

不動  

 車に乗っていて踏み切りの前で結構な時間を待たされることは、そう珍しいことではない。三鷹〜国分寺間の中央線には「開かずの踏み切り」で有名な踏切がいくつかある。そのため、JR東日本は中央線の高架化に着手している。そういう踏切では、電車が過ぎ去ったと思ったら逆方向から電車が来ることを示す赤い矢印が点灯し、がっくりくることが多い。

 しかし、電車が来ることを示す赤い矢印が両方点灯していて、「両方から来るのか、結構かかりそうだ・・・」と思っていると、両方から電車がほぼ同時にやってきて、踏み切りで丁度すれ違い、スッと遮断機があがる時がたまにある。そういう時は「ほう、こんなこともあるんだ・・・」と、なんだか得したような気持ちになる。

 リフォーム後のスピーカーのセッティングは「とりあえず、この辺でいいか・・・」といった感じでポイ置きしたままである。普通はそれから、ああでもない、こうでもないとその位置をメジャーを片手にずらすのであるが、今回は最初の位置から全く動かしていない。

 今日でリフォーム後の音だし3日目であるが、スピーカーの位置は初日から全く変わっていない。私はもともと堪え性のない性格であるので、ひとところに留まるのが苦手なところがある。その私がこの3日間全くスピーカーの位置を調整しない、あるいはしようという気すら起こらない。

 このことは目の前で2台の電車がタイミングよくすれ違い、踏み切りの遮断機がスッと上がったときのような稀有な印象を与える事実である。

 今日はJohn Rutterのレクイエム7曲全曲を通して聴いた。普段は7曲のうち2曲ほどをチョイスして聴くのであるが、今日は全部聞きたい気分であった。

 この曲の持つ神聖な美しさに魂をぐっとわしづかみにされるような感覚を味わうことができた。白いガードレールにそっと添えられた瑞々しい花束を目にした時のように、深い悲しみと心からの祈りをその音楽からは感じ取ることができた。

2006/10/23

魅惑のスキャンテック  

 一昨日のインターナショナルオーディオショウでもっとも多くの時間を費やしたのは、スキャンテック販売の部屋であった。それほど広くない部屋で、しかも左側全面がガラス張りという音響的にはあまり恵まれた環境ではなかった。しかし、その部屋には目も耳もそして心をも奪うほど魅力的なオーディオ製品が、これでもかというくらい展示されていた。

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 まずはSPIRAL GROOVEのプレーヤーにGRAHAM ENGINEERINGのトーンアームそしてLYRAのカートリッジの組み合わせ。華麗である。見ているだけでも飽きない。何か神々しい輝きのようなものを放っているように感じられる。もちろん音も素晴らしい。情報量や音の力強さ、生命感・・・一流だ。

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 そして、斜め傾斜好きの私には堪えられないのが、GLASS MASTERのプリアンプ。ガラス部分から真空管が垣間見え、知らず知らずのうちにじっと見入ってしまうほどの美しさである。なんとも思い切った造形であるが、全く破綻していないばかりか、美しさ・力強さ・そしてモダーンなシャープネスを有した容姿である。ボリュームを変更する時にガリガリと音がしていたが、そんなことが些細なことに思われるほどの魅力度である。

 この二つ以外にも素晴らしい機器が並んでいたのであるが、この二つを交互に目にしながらその音に舌鼓を打つのは、至福の瞬間である。贅沢な時間を過ごさせてもらった。

 さて、今日はリフォーム後2回目の音出し。最初はシベリウス交響曲第1番パーヴォ・ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団。冒頭の印象的なクラリネットのモノローグが聞こえた瞬間、嬉しくなる。嬉しくなって顔がにやける。もちろん細かな改善点は幾つも指摘できるだろうが、その音の活き活きとした感じが嬉しい。生きている音である。

 次にロドリーゴ アランフェス協奏曲ペペ・ロメロ(ギター)サー・ネビル・マリナー指揮アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズを聴いた。録音は1978年であるので約30年前の録音であるが、瑞々しいギターの音は、果汁が滴り落ちるくらい新鮮に感じられる。

 当然まだ、若干の音の硬さは残っているが、音楽の爽やかな息吹が感じられる音になったため、音楽を聴いていて楽しく、音楽に浸れる。

2006/10/22

コンサートホール  

 昨日はインターナショナルオーディオショウに出かけた。今回で3回目であるが、その熱気はますますヒートアップしているように感じた。人気のあるブースは講演会でなくても常に満席状態で、お目当てのひとつであったAVALONのISISは人垣の頭越しでの試聴であった。もうひとつの注目株であるGerman Physiksのフラッグシップ機は、音を聴くことはできなかった。しかし、その姿は予想以上にかっこよく、現実的な価格ではないが、「いつかは・・・」と内心思うところがあった。

 その後Akimitsuさん主催の飲み会があり私を含めて7名のオーディオマニアが集い飲んだ。私以外は皆さん数年来のオーディオ仲間であり、その会話の濃さとディープさに目を白黒させながら聞き込んでいた。飲み会が終わったのは11時過ぎ、家に着いたときは日付が変わっていた。疲れきっていたので、そのままベッドへ直行。

 今日はやや遅めの朝食を済ませてから、リスニングルームのドアを開けた。ドアを開けた瞬間、オーディオ機器の熱が確かに感じられる。機密性が極めて高いので、熱もほとんど逃げない。夏は結構辛そうである。窓を開けて空気を換気。外からは涼しい爽やかな空気が流れ込んでくる。

 空気が大方入れ替わったところでCDトランスポートのトレーをOPEN。リフォーム後初めての音出しとなる。かけるCDは以前から決めていた。ブルックナー 交響曲第7番 ニコラス・アーノンクール指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団をCD棚から取り出し、emm labs CDSDのトレーに載せる。

 あまりにテンションを高くして前のめりになって聴くと、肩透かしを食らったときもんどりうって倒れてしまう危険性があるため、多少慎重に身構えながらリモコンのPLAYボタンを押す。冒頭の弦楽器の音が流れてきた瞬間、「音の生命感が違う・・・」とつぶやかずにはいられなかった。「部屋の重要性は大きい、ある意味オーディオ機器よりも大きな要因となる。」ということは、頭の中では分かっていたのであるが、今回その音の変わりようを実際耳にして、その感を改めて強くした。

 全てのオーディオ機器は使用期間が1年未満。部屋も電源関連部品も新品状態。味わいの深さやコク、まろやかさはこれからの熟成によりさらに進化していくことであろう。現状では音の片鱗に精密な工作機械から削り出されたばかりの金属部品のような角が立った感じが散見されるが、これは時間の経過とともに解消されるはず。

 ブルックナー 交響曲第7番の第1楽章が終わったところでディスクを取り換えた。次はマーラ− 交響曲第2番 GIRBERT KAPLAN指揮ウィーンフィル交響楽団。冒頭の凛と張り詰めた低弦楽器の音が噴き出すように湧き上がってくる。SACDらしい広いダイナミックレンジを感じさせる音である。特に低音の力強さと床を這うような量感は、細身のHRS-120 CARBONから出ているとは俄かには信じられないくらいである。

 この低音はリジットな床がしっかりと受け止めてくれなければ絶対に出ないものであろう。以前の床では床が盛大に鳴ってしまって、音を相当濁らせていた。混濁感のない、そして量感のある低音は心地良いものである。マーラーなどの編成の大きな交響曲にはこの低音の支えはとても重要な要素である。

 マーラーの交響曲第2番も第1楽章が終わったところで、トレーから取り出した。次のディスクはJENNIFER WARNES「THE WELL」。4曲目too late love comesをかける。この曲は昨日のインターナショナルオーディオショウのスキャンテック販売のブースにておいてアナログで聞いて感動した曲。

 スキャンテック販売のブースではSPIRAL GROOVE+GRAHAN ENGINEERING+LYRAという華麗にして壮麗なまでの美しさに彩られたアナログ機器を中心としたシステム構成であり、その音はとても魅力的であった。我が家で聞ける音もオーディオ的な評価軸で言えば、昨日聞いた音と拮抗している。味わい深さという点ではアナログにやはり分があるが、我が家のオーディオ機器の真のポテンシャルは相当高得点を叩きだせる力があるということが、今回改めて分かった。

 セッティングのさらなる詰めや、機器や電源関連部品及び部屋自体のエージングにより深みとコクのある音色に熟成していくことを考慮すると、今回のリフォーム工事は大きな成果を上げた、と言っていいようだ。いろんな経過があったが、私一人だけが観客であるコンサートホールをようやく手に入れることができた。



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