2006/8/6

ドライバーズシート  

 「高い!」思わず見上げてしまう。4メートルの高さがある。しかも広い。20畳程度あるのであろうか。壁面は反射面と吸音面が交互に展開し、床は無垢のチーク。反射面はやはりチークの付き板仕上げでとても高級感がある。チークの付き板は一定のサイズでカットされて横珊のように規則的に貼られている。普通OFF会などでリスニングルームに入ると、オーディオ機器にまず目が行くものであるが、I氏邸では部屋そのものにまず目が行く。目が行くというより、部屋そのものに圧倒される感じである。

 今日は本格的な石井式リスニングルームを新築時から採用されているI氏邸にお邪魔した。私の他、石井式リスニングルームの採用を検討されているY氏、T氏、そしてそれぞれの施工担当の方、私がお誘いしたAkimitsuさんと合計6名が松浦さんの案内でI氏邸に入らせていただいた。普通このように大勢だと部屋が狭苦しく感じられるものだが、そういった感じが全く無いほどの広さであった。

 早速音を聞かせていただいた。スピーカーはB&Wノーチラス801、アキュフェーズのSACDプレーヤーとプリアンプ、パワーアンプはマークレビンソンのモノラルである。最初はY氏の良く聞かれるジャズやフュージョンのソフトを数曲聞いた。センター位置での試聴ではなかったが、音場の見通しの良さや低域の量感と締りのよさの両立、サウンドステージの広さなど「やはり・・・」とうならざる得ないものがあった。

 続いて私が持参したクラシックのソフトから数曲聞かせていただいた。聞いた曲は次のとおりである。
 1.チャイコフスキー「瞑想曲」 諏訪内晶子(バイオリン)
 2・ルター「レクイエム」から7曲目「Lux aeterna」
 3・ハイドン「トランペット協奏曲」変ホ長調から第1楽 章高橋敦(トランペット)

 1.の冒頭のピアノの伴奏が始まった時、「しっかりとした隙のない音」という印象を受けた。続くバイオリンの音色も凛とした力強さに裏打ちされたクオリティーの高いものであった。2.ではその広大なサウンドステージに驚かされた。コンサートホールの広がり感をリアリティを持って体感できる広さである。そして音像の定位感も非常にはっきりとしている。合唱の際の奏者ひとりひとりの顔が壁面に浮かんで見えるようであった。3.ではトランペットの音の持つエネルギー感が抜け切った感じで部屋に響き渡り、ロスのない音の純度の高さが印象的であった。

 「隙がない!」毅然として整然、実に正確である。それはこのリスニングルームの佇まい、そしてこのモダンで堅牢なデザインの建物そのものからも強く感じ取ることが出来る。そして、この豪華な部屋で奏される音そのものもまさに「隙がない!」という思いを強く抱かせるようなクオリティの高さである。

 I氏はジャズやフュージュン、ポピュラーを良く聞かれていらっしゃるようである。またビジュアルにも相当、いやピュアオーディオ以上に投資されていて、シアター時の音にも標準をしっかり合わせていらっしゃる。それゆえ、吸音面積の全体に占める比率も一般的な石井式リスニングルームに比べて大目である。またチークという硬めの木を反射面や床に使用されている。その結果直間比率でいうと若干直接音重視の傾向である。それが目で見えるがごとくの高解像度の音をもたらしてくれている。

 まさに稀に見るハイクオリティな音であるのだが、私自身の好みでは直間比率を間接音の方にもう少し振りたい。これは私のメインジャンルがクラシックであることが主たる原因で、そうするとジャズなどでは音のダイレクト感が損なわれてしまうかもしれない。ビールの細やかな泡の量をほんの少し増やすと切れのある喉越しにマイルドな味わいも加味されて、さらに妙なる旨みがかもし出されるような気がする。

 I氏邸の音からは、ポルシェやフェラーリに代表されるような超高性能なスポーツカーを連想してしまう。このようなスポーツカーのハンドルはいわゆる「遊び」がなくタイトでシャープである。ドライバーの微妙なハンドル捌きにダイレクトに反応する俊敏さが身上である。そして猛烈なエンジンパワーを受け止めるだけの強靭な足回りが要求される。この豪華なリスニングルームはまさにフェラーリのドライバーズシートに身を沈めた時のような高揚感をもたらしてくれる異空間であった。

 その後しばらくして、I氏邸の近くにお住まいで、現在石井式リスニングルームへのリフォーム工事をされていらっしゃるK氏がいらっしゃった。その後K氏邸の見学もすることが出来た。まだ工事中であるので当然音は聞けないのであるが、その詳細は明日にでも・・・

音のクオリティも天井高もともに極めて高い!
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