2006/4/11

防波堤  

 先日ダイナの島田さんのところに久し振りにお邪魔した。久し振りといっても1ケ月振り位だから、それ程久し振りでもないのだが、それ以前が月に2,3度お邪魔していたのでそう感じてしまう。相変わらずアクセサリーセンターのある界隈は猥雑な独特な雰囲気があり、あの一角で何百万円もするオーディオ機器が展示・販売されていることが俄かには信じられない。

 訪問したのは、Allegroの代金を支払うためである。Allegroは1本(2m)36万円。正常な金銭感覚の持ち主であれば、相当に高額に感じるはずである。私もその金額そのものについては決して少ない金額だとは思わないが、得られる効果にたいする対価として考えれば「喜んで払いたい」と思えるケーブルである。

 Allegroは自宅モニターとして送られてきたものを、そのまま返却せずに購入させてもらった。最終的なセッティングで聞いた状況があまりにはまったので、その状況を変えたくなかったからだ。島田さんにその旨を依頼すると、快く承諾してくれた。しかし、後で聞くと何本かのAllegroのなかでモニターとして送られてきたものはもっとも音の良かったもので、一瞬躊躇したがしぶしぶ了承したとのことであった。Allegroは完全なるハンドメイドであるため、送られてくるケーブルごとに若干の音質差があるようだ。また、出荷前の製作者のヒアリングチェックでかなりのパーセンテージのものが出荷取りやめになるという、相当に拘りぬかれた製品のようだ。それを聞いて少し得した気持ちになった。単に何軒かのお宅でモニターされちょうどいい具合にエージングされただけかもしれないが、ほくそ笑んでしまった。

 ほくそ笑むといったら島田さんが満面の笑みを浮かべながら、とある商品を説明するときは要注意である。ついつい引き込まれてしまうからである。BAT VK-51SEやAllegroなど島田さんが「こんなのがあるんですよ。すごくいいと思うんですけど聞いてみます。」といいながら、こりゃたまらん的な笑顔で紹介された製品は、求心力がすごいものばかりである。トリモチに絡められた小鳥よろしくもがけども離れられない状況に陥ることが多い。

 先日もその笑顔で「スピーカーケーブルで結構面白いものがありました。聞いてみます?」と軽いジャブ攻撃。一瞬2階にある試聴室に向かうべく腰を上げかけたが、「値段はどれくらいですか?」と切り返すと「68万です。弦楽器の濡れた感じが良く出るんですよね。」68万円という金額にストレートをくらったボクサーよろしくよろめいたが、弦楽器の濡れた感じが良く出るという言葉に救われダウンはしなかった。心の中で数秒葛藤が続いたが「また今度にします。」とタオルを投げて、リングから立ち去った。

 聞いていたら今頃頭がそのケーブルのことで占められていたかもしれない。危ないところだった。しかし、このケーブルというものは楽しくもあり、恐ろしくもあるものだとつくづく感じる。Allegroのことを島田さんは「アクセサリーセンターを開店して6年ほどになるけれど、これほどのケーブルには数年に1回ぐらいしか出会わない。」と評されていたが、確かに私にとってもとてもインパクトのあるケーブルだ。(といっても私のオーディオ歴は2年程度だが)

 Allegro導入前にもしスーパートゥイーターの自宅試聴を行っていたならば、印象が相当変わっていたかもしれないと思ってしまう。Allegroの導入でかなりのレベルまで駆け上ったので、スーパートゥイーターの追加に伴う利点ばかりでなく、欠点もはっきり認識できたような気がする。そういう意味ではさらなる出費をAllegroが防いでくれたのかもしれない。

太さ比べ。一番太いのがAllegro
クリックすると元のサイズで表示します



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ