4月:卯月
平成21年4月28日(火) 於:新宿「ゐなか」
兼題「灯」「当季雑詠」
季語ではなく、一般的に言う「灯り」を兼題として4月の句。
会員はそれぞれ趣向をこらして句を披露しました。
☆花冷えや心に灯る言葉あり 惟波
中七が実に利いています。花冷えと暖かい言葉の対比も良い
☆無沙汰わび灯す灯明春深し 惟波
何年ぶりの灯明かな
☆街灯の淡く人影花の影 素頓
とてもリズムのよい句ですね。夜桜見物の光景が
ばっちり・・・
☆夜桜や提灯風と戯れて 素頓
はなびらも舞って
ゲスト選句の摩天さんのご友人が◎をつけました。
☆手を取りて渡る歩道の花明り 鳥閑
優しさが溢れていいな。
☆夜の河桜並木の豆灯り 鳥閑
ぼんやりはなを写して川は流れる
☆灯心を見つめ合ひたる春の夜 一兎
火の不思議 求心力がある
☆昼行灯提灯持ちの春来る 一兎
好況期にはこれでもやって行けた
☆花冷えや赤提灯は裏通り 摩天
まさか裏通り専門家の閑さんじゃないでしょうね
☆春雨やかすむ駅の灯電車の灯 摩天
フランク永井の世界、宮城県出身なんだ
☆春の月明り窓よりのぞきをり 一桂
明り窓から差し入る春の月は清々しい満月か、
はたまた朧月か。スラと軽く詠めており、リズムが
とてもいいとおもいました。
ゲスト選句で○がつきました。
☆猫柳灯りに照らされ道教へ 一桂
猫柳が一斉に首を傾げて道案内をしているよう。
着眼点が素晴らしい「灯の下に道教へゐる猫柳」とでも
するとより俳句らしくなるのでは
☆ともし火にいつもと違う桜川 泰山
魅せられて飛び込まないように
☆トンネルを抜けて湖あり草朧 泰山
視界はパッと開けて
おまけ
☆言いよどみ菓子を手にする春炬燵 惟波
雑詠句のために特選には取れませんでしたが、
さりげない句なれど、情景が良く判る心に響く
句と思います。
今月の惟波さんはどれも素晴らしい句をお詠みでした。

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