10月:神無月」
平成17年10月30日(火) 於:有楽町「卯波」
兼題「干柿」
☆白壁に淡き夕日の柿すだれ 鳥閑
夕日の中ふたりで帰る高校生、遠い昔の景色
☆干柿に渋き時代のありしかな 鳥閑
人は反対に甘さから渋さに変わってゆく
☆干し柿や茅葺屋根の軒あかり 一兎
じいさんや、干し柿でも食べるかね そうだね ばーさん
☆山里の深閑としてつるし柿 一兎
閑があるから一票
☆仏壇に干柿ふたつ母の郷 摩天
たしか生柿二つだったはずよ
☆欠伸して猫の見上ぐる吊るし柿 摩天
よう食うよ、こんなもん。と言ったかどうか。
☆三脚をかつぎて山路吊るし柿 惟波
三脚に吊るし歩いていたら干柿になった。
☆木犀やきのうと違う風になり 惟波
いい句ですね。本来なら◎ですが・・・
☆青空に映える干し柿玉すだれ 均光
さては南京玉すだれ、サテ サテ サテ・・・
☆黄葉の深き谷間にこぬか雨 均光
なんともいえぬ安らぎを覚える好句です。
(コメントの割にはこの句を選んでは居ませんでした)
☆干し柿や50年目の同窓会 素頓
どの顔もどの顔も干柿、とね。そのとおり
☆箱の隅少しの金と干した柿 素頓
・おい越後屋、足りないよ
・今は宅急便、昔は郵便小包 ありがたい事
句の解釈が二つに割れました。
小判を下敷きの干柿の詰め合わせとの理解。
故郷から送られてきた荷物に干柿とお小遣いが入っていた、という母への愛の句。
作者は母への愛を詠んだようです。
☆大和には柿干す軒が似合ひたる 泰山
日本のことではない。神奈川県大和市。人口21万人、面積27平方キロ
(作者は奈良の大和のつもりでした・・)
☆秋のてふ命をつなぐ大乱舞 泰山
その中にトンボまで混じって
兼題「干柿」
あまり広がりがなく、同じような句が並びました。
兼題を出したご本人は、今回トップの得点を取りました。
腹案があっての提言だったかもしれません。
泰山は全く不調におわりました。
★今月は、憧れの「卯波」での句会。
そして、我らがアイドルの、神野沙希さんに逢える事ができました。
神野沙希・・昭和58年愛媛県生まれ。句集に「星の地図」。第一回芝不器男新人賞、
坪内稔典奨励賞受賞。現在NHKBS俳句王国司会。
仕事中の沙希さんに、石の会の今月の句を5句選句してもらいました。
その結果です。
特選 木犀やきのうと違う風になり 惟波
並選 甘柿を隠しおきたる秘密基地 摩天
山里の深閑としてつるし柿 一兎
辞してなお目覚めは早し金木犀 一兎
そぞろ雨べったら市の人の群れ 摩天
惟波さんおめでとうございます。
綺麗な句です。
次回は、芭蕉「奥の細道」旅立ちの地への吟行と決まりました。
どのような事になるか、乞う、ご期待を・・・

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