ここ2回に渡って妖怪「
とらにゃあにゃあ」の図画を紹介しましたが、本ブログでは、この妖怪の出典元の『
怪奇談絵詞』から、これまでに7種類の妖怪を記事にしております(
掲載記事)。この絵巻には、いわゆる"へんな妖怪"が多数描かれていますので、今回は本ブログでは未登場の妖怪を幾つかピックアップしてみます。先ずは、上半身裸で風邪を引き、くしゃみしている唐土(中国)の妖怪「
クサメ風邪君(ふうじゃくん)」です。名前の最後に"君(くん)"が付くという意味では"さかなクン"の大先輩とも云えるでしょう。
名前を呼ぶ時は、さんをつけろよデコ助野郎。
次は虫の妖怪「
イギリスの蟻」と、「
カピタンの蜥蜴」です。"カピタン"とは江戸時代、東インド会社が日本に置いた商館の最高責任者「商館長」のこと(
Wikipedia)で、それを揶揄した妖怪のようです。
この絵巻には、このように海外の"へんな妖怪"も数種類ラインナップされており、次の「
オロシヤの人魂」もその一つで、名の示すようにロシアの妖怪です。激しい風が吹くと「おろしあおろしあ」と言うとの事です。"おろし"とは、"
六甲おろし"の"おろし"と一緒で、山や丘から吹き下ろしてくる風の呼称。まさにダジャレ妖怪であります。
ロシアの人魂、恐ろしあ。
次は、熊本の山中にある洞穴に住み、巨大な口を持つ妖怪です。この妖怪は、口周りが赤い点を含め、江戸時代中期の妖怪を主題とした絵巻物「
百怪図巻」にある「
赤口」なのかもしれません。
この妖怪の図画は、恐ろしさを感じますが、コミカルな姿で描かれている妖怪もあります。「
釜山海の蝦蟇」と「
蝦夷の狼」です。「
釜山海の蝦蟇」は一見うさぎのようですが、カエルの妖怪で、日本人を恐がるそうです。「
蝦夷の狼」は絶滅した「
エゾオオカミ」と名前が被りますが、それとは似ても似つかない姿となっております。二つとも、
ルーニー・テューンズのキャラクターにいそうな感じであります。
何気に髑髏を踏んでいるところが、妖怪さもありなんです。

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