前々回の記事で、残虐でホラーな妖怪の一つとしての「
肉吸い」を紹介しました。この妖怪は、水木しげる大先生も図画にされておりますが、さすがに「
肉吸い」が人間の肉を吸っているシーンではありません。見た目は若い美女の姿で、人に食らいつく数秒前って感じです。ゾンビ映画/ドラマによくありそうな、ゾンビがいる山中を兵士が銃をもって歩いていると、急にゾンビか人間か判らない女性が現れて、銃撃を躊躇している間に、襲われるってパターンです。
こうして見ると、「肉吸い」は、ゾンビに成り立ての"元人間"かもしれません。
では今回は、「
肉吸い」に勝るとも劣らない残忍な行為を行う妖怪を幾つか紹介しましょう。尚、臨月の妊婦さんの腹を逆さ吊りして切り裂く「
安達ヶ原の鬼婆」や、幼児の首を食いちぎる「
笑い般若」の横綱級は本ブログで既出ですので省き、昭和期の妖怪図鑑などからピックアップしてみます。先ずは、
佐藤有文著『
いちばんくわしい日本妖怪図鑑』から3妖怪、トップバッターは「
血塊」。その名の通り、
スプラッターな妖怪であります。
襲われないように、にんにくを身につけて眠るなんて、臭くてできません。
次は、「
ぬりぼう」。「
血塊」と同様、"スプラッター妖怪"であります。ちなみに、水木しげる大先生は「
塗坊」名義で、2形態の妖怪画を描いておられます(
2018/4/14の記事参照)。
内臓を食べる内臓・・・。おぞまし過ぎる。
3番目は「
人食いヒル」。ホラー映画のタイトルのようです。この妖怪の所業は、
寄生バチの幼虫が、寄生した蝶の幼虫の体内を食べて成長する如く、人を体の中から食い荒らすのであります。
何か、解説文と妖怪の図画がマッチしていないような・・・
次の妖怪は、残酷というよりも、胸糞悪い陰惨なタイプ。わざわざ病弱な子供を狙って虐待する妖怪です。
佐藤有文著『
お化けの図鑑』にある「
ほうそうし」です。ひらがな表記を漢字にすれば、容姿も良く似ている事もあり、「
方相氏」(
2015/4/24の記事参照)と言う事になると思いますが、その行いに類似性はありません。
「ほうそうし」は六つ目、「方相氏」は四つ目。この違いは大きいです。
幾つか挙げてみましたが、やっぱり残虐でスプラッターといえば、地獄の「
獄卒」達が、そこに堕ちた亡者、といっても生前と同様に、そこでは生きている人間に加える凄惨な刑に勝るものはありません。今回はその一例として
南條武著「
完全図解シリーズ 妖怪ミステリー」にある「
これが地獄の世界だ!!」から"
地獄刑"です。
両肘に掛かっている、手枷はどうやって付けたのでしょう。

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