先日、朝のNHKニュースで、「
狐の嫁入り」行列が紹介されていました。それは近々結婚予定の男女が主役となって、ご両人は勿論、地元の住民達が"狐のお面"ではなく"狐メイク"を施し、「嫁入り行列」の習慣を再現させたという内容でした。子供の頃、晴れているのに雨が降ってくる怪気象(
天気雨)を「
狐の嫁入り」と訳も判らず言っておりましたが、コスプレの映像であれ、妖怪ファンとしてはリアル「
狐の嫁入り」を見て、いささか感動致しました。水木しげる大先生も「
狐の嫁入り」は「
百鬼夜行」のように妖怪と認識されているようで、図画を残されておりますが、「嫁入り行列」をする"
狐"こそが妖怪とも云えるでしょう。
「こ、これは何と面妖なっ」
水木大先生は上の図画以外にも「
妖怪道五十三次」の"
大磯"(
日照雨[そばえ])にも、妖怪「
雨女」が降らせただろう俄雨の中をそぞろ歩きする「
狐の嫁入り」を描かれております。
色っぽい仕草の"雨女"はやがて訪れる初夜の淫靡さを表現しているかのようです。
二つの図画には、恐らく駕籠に乗っているであろう花嫁の姿は判らず、どのような衣裳を着ているか気になるところですが、駕籠の中の花嫁が描かれた図画がありました。少年マガジン昭和43年6月16日号の特集「
日本の怪異 大妖怪」から…
狐の新婦でも、きちんと花嫁衣裳を着て、"角隠し"も被っているようです。
ところで結婚の怪異譚と云えば、本ブログでも幾つか記事にしていますが、
雪女の説話や恩人である人間に動物が"押しかけ女房"となる"恩返し譚"、妖怪の分際で人間様の女を見初めて強引に嫁にしようとする"略奪婚"など、色々ありますが、妖怪同士の結婚は余り例をもません。ただ、江戸時代は文久3年(1863)に
岡義訓なる絵師が描いた「
化物婚礼絵巻」には妖怪同士の婚姻の情景が描かれております。妖怪の花嫁は人間と同様に、婚礼衣裳の白無垢に
綿帽子を被り、固めの杯を交わす盆には風流にも鶴亀などが、設えられております。
そして、婚礼のその日の内に花嫁から"一つ目小僧"の赤ちゃん誕生。早っ!
"妖怪の花嫁装束・角隠し"で、不気味で、グロくて嫌な妖怪を思いだしました。ゲゲゲの鬼太郎アニメ第5シリーズではコミカルなキャラで通していましたけれど、やっぱ好きになれない妖怪「
お歯黒べったり」であります。

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