今回は久々に"へんなようかい"をピックアップしてみます。出典元は主に江戸期の
黄表紙からです。先ずは1779年刊の『
怪談豆人形』から「
松茸の化物」。下の図画(一部フォトショで彩色)は、遠く小人島に住む豆サイズの化物達が、修行のため日本に渡航後、三保の松原にいた親切な「
松茸の化物」に相談をもちかけているシーンです。「
松茸の化物」は、"おまえらみんな、小さいから恐がられんのや。もっと修行せなあかん"と、送り出します。
豆サイズの「見越し入道」もいますが、絶対に人を見越せないでありましょう。
次は過去の記事でも幾つか参照している、1779年刊の『
妖怪仕内評判記』から、「
大の毛あし」。まるで「
足洗邸」のように、足袋の誂え屋さんに現れて、俺に見合うサイズの足袋を誂えろ と要求しました。「
足洗邸」の大足と異なる点は、目があるところです。
店員さんも、ビビらず採寸しているところが、凄いと思います。
次は1850年刊の『
想山著聞奇集』から。生き物に関する怪異譚が掲載されておりますが、その姿は"ハイブリッド妖怪"といってもいいでありましょう。下の図画は、その中から"
ムカデ化するミミズ"と"
カニ化するアサリ"の図です。
アサリに小さいカニが入っている事がありますが、ひょっとして二つが融合したのかも。
次は1788年刊の『
怪談四更鐘』に登場する化物。このように頭でっかちで、恐ろしくもユーモラスである妖怪は、日本の妖怪にはけっこう多い様な気がします。
鋭い歯が並んでいますが、腕は貧弱で、逃げ腰。強いのか弱いのか、微妙なところ。
今回の最後は、1677年刊行の『
諸国百物語』から「
遠江の国堀越」。この妖怪(
堀越)は元々は人間であったと思われます。「
堀越」が重病になった時に、看病してくれた息子の美人嫁に執着した挙句、蛇体となり嫁に巻きつき、淵と化した屋敷の水底に消えるという怪異です。
女性の蛇体妖怪は多いですが、男性バージョンは珍しいと思います。
上の図画はモノクロで、判りにくいのですが、『
妖怪交戯 肆』に、カラーで解りやすい画像がありましたので、参考に載せておきます。
嫁さんがお義父さんを親身に介護するのも、気を付けた方がいいのかも・・・

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