<<<架空インタビュー>>>
・ オバマさん、任期満了を控えて、すっかり余裕をかましておられますね。
・ そりゃ、8年間、よくがんばって来たからねえ。
・ そう言えば、7年前の10月にオバマさん、オスロに行っておられますが、あれは一体なぜだったんでしたっけ?
・ オスロ? あああれは、ノーベル賞をくれるって言うから、素直に行ったんだよ。ボクはボブ・ディランと違って変わり者じゃないし。
・ その前の4月にはプラハに行かれました。
・ そうそう、あれは名演説だったね。"As the only nuclear power to have used a nuclear weapon, the United States has a moral responsibility to act."って言ったんだ。感動的だろう。
・ ええ、そうでしたね。そんな素晴らしい演説をなさったから、ノーベル文学賞をお取りになったんですよね。
・ 違うだろ。平和賞だよ。
・ あ、これは失礼いたしました。すっかりフィクションの方のご才能で受賞されたのかと勘違いをしておりました。ところで、今度の国連では、核兵器禁止条約の交渉開始決議案が出されますねえ。
・ あ、あれはダメ。核兵器なんか禁止しちゃいけないから。
・ ちょ、待ってくださいよ。今年の5月27日に、あなたは広島でこう語っておられますね。"That is a future we can choose, a future in which Hiroshima and Nagasaki are known not as the dawn of atomic warfare, but as the start of our own moral awakening."
・ そうそう、これも感動的な演説だったよね。
・ もしもオバマさんが「道徳的な覚醒」をなさってるんでしたら、当然、核兵器を禁止したいと思っておられるんじゃないんですか。
・ それはそうさ。ボクは覚醒しているんだけれども、たぶんアメリカ国民は道徳的に覚醒してないヒラリーを大統領に選ぶだろうね。
・ 核兵器廃絶を訴えてノーベル賞まで取ったオバマさん、あなたの任期中に国連総会でこの決議案が出されるわけなんですから、賛成なさるのは当然なんじゃないんですか?
・ なあるほど。それも一理あるね。
(と言って、彼は8年前につくられたプラカードを取り出すが、それには"YES WE CAN"の文字が。)
・ なつかしいものを見ますね。
・ だろう。
(と言って、彼がそのプラカードを裏返すと、そこには"NO WE CAN'T"の文字が。)
・ はあ?それは当時からそう書かれていたんですか。
・ 当たり前だろ。大統領選は、カネを掛けた者が常に勝つ。バーニーはカネがなかったから、ヒラリーに負けたんだ。ボクがなぜ選挙に勝てたのか、それを考えれば、答えは自然に分かるだろ。
(と言って、彼は魅力的なウィンクをした。)
・ ほ、本日はまことにありがとうございました。
・ Don't mention it.

4