WBCの日韓戦は、イチローの適時打で日本の勝利となったわけだが、ミサイル(またの名を人工衛星)による日朝戦の方は、どのような展開になるのだろうか。
飛んで来れば迎撃する、というわけで、まず海上自衛隊は、イージス艦に搭載しているSM3という迎撃ミサイルを発射して、大気圏外で迎撃する。それでダメなら、地上に配備するPAC3が追尾して、迎撃する。
人工衛星と呼ぼうと何と呼ぼうと、他国を攻撃すると公言している国家が、攻撃目標とされている国家に向けて、長距離飛行物体を飛ばすのであるから、領空が侵犯されれば、迎撃をするのが当然であろう。
そして、問題はその後だ。たとえ憲法第九条で不戦を約束しているとしても、憲法解釈上は、その条文が自衛権まで否定したものではない、とされている。飛行部隊を迎撃することはもちろん自衛権であろうが、その制裁をどのようなかたちで実行すべきなのだろうか。
首都平壌を爆撃して、火の海にする、という種類の報復が、問題を解決するはずもないだろう。それでは、文字通り、血に飢えた日本帝国が、再び朝鮮半島を襲った、という北朝鮮流のプロパガンダが証明されてしまって、北朝鮮2千万人の国民がこぞって日本と日本人を憎悪することになるだけである。
解決の本質は、「政権交代」だろう。しかし、現政権が変わらなければ、どんなに選挙を繰り返しても、権力の追認が繰り返されるだけで、国民の望む政権は樹立しない。
あるべき姿の国家デザインが、どうしても必要である。思い起こせば、日本の明治期も同様な事情にあり、李氏朝鮮は、宮廷内部における理念なき権力闘争のために、あるべき国家デザインを描くことができず、結果として、日本帝国による侵略を招いた。そして、主体思想という空虚な思想と飢餓と貧困という現実を抱えて、北朝鮮という国家は、他国に向かって挑発を繰り返すばかりである。
挑発に応じて、軍事的な対抗措置を取ることは、20世紀の帝国主義の再現でしかない。我々は、新時代にふさわしい、新しい問題解決の手段を見出すべきである。
日本には、自らにも国家デザインが欠如している、という問題がある。業者に利権を与えることで、献金を強要する腐敗政治家が、現政権の官僚支配はけしからん、と主張する。官僚から権力を奪いたいのは、自分が行政における決定権を握れば、もっと利権をむさぼることができるからだ、としか読めないのに、それでいて、選挙では絶対に勝てる、と自信満々だ。
おかしな国家同士のおかしな戦いになるのかも知れない。とりあえず、日朝両国家の国民には、何の被害もないことを願うものである。

0