アメリカのオバマ新大統領は来年1月20日に宣誓をして大統領職に就任する訳だが、その宣誓式の牧師として、リック・ウォーレン氏を指名した。
彼は、南カリフォルニアでサドルバック教会という膨大な信者を抱えるメガ・チャーチを経営している有名人だが、そうした保守的な思想の牧師が選ばれたために、オバマ氏を支持した同性愛者たちは、がっかりしているとのことである。
実は、やはり南カリフォルニアで主に日系人を対象にした教会の牧師をしている友人(大学で同じクラブに所属していた)がいて、彼の教会に遊びに行ったことがあるのだが、その折に、彼が私を「伝道」する目的で読むようにと渡してくれたのが、このリック・ウォーレン氏の書いた「The Purpose Driven Life」という本である。副題は、「What on earth am I here for?」というもので、これを翻訳すれば、「一体全体なんでまた私はこんなところにいなくちゃいけないんだろうね?」というような語感だろうか。
自分のもらった本の帯には、「#1 New York Times Bestseller」「20 million sold worldwide」と書かれていて、確かに全米におけるベストセラーにもなった本である。実際に読んでみると、分かりやすい「生き方」「ものの考え方」のハウ・トゥ本みたいな構成になっており、一日に一章ずつ読んで行くと、40日間で、人生の生き方をすっかりマスターできるのだから、お買い得な本だと言える。
そして、その教えの核心は、「自分」は一体どう生きたら良いのか、という具合にいくら真剣に考えても、そこに答えはない、というのである。冒頭にこう書いてある。「It's not about you.」
じゃあオレのことじゃなくて、何のことが書いてあるのか、と読者に反発させておいて、「あんたがそこにいる目的は、あんたが考える以上にもっと価値があるものだ。そもそも、あんたを存在させたのは、あんた自身か?そうじゃない。それは神であり、神には、はっきりした目的があって、あんたを存在させているのさ。」と語る。
その続きは、40章からなるこの本を読んで戴きたいのだが、「私は一体どうしよう?」と悩んでばかりいた俗人が、「神はここで何を私に望んでいるのだろう?」という具合に考え始めることで、多くの人生の問題が実際に解決されているのである。
そういう観点に立てば、人生における苦痛や困難とは、わざわざ神が、ある目的を持って、特に私のために与えてくれた課題なのだ、と理解できるようになる。
この本は、やさしい英語で書かれたベストセラー本であるから、もちろん、バラク・オバマ氏のようなインテリは読んでいることだろう。そして、その結果、そうした考え方は決してふざけたものではなく、人間が生きて行く上で、有用な思想だと判断したからこそ、アメリカ合衆国にとって最も重要な式典のための聖職者として、彼を選んだのであろう。そういう思想はオバマ氏にとっても、アメリカ合衆国にとっても、そして、本ブログの読者にとっても役に立つ、と私は思うのだが。

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