インテルのロゴが変わります、という発表があったばかりだが、"Business Week" 2006年1月9日号の表紙には、"Intel Inside Out" という駄洒落が載っていた。意味は、あなたのパソコン上にも恐らく貼ってある "intel inside" のステッカー表示はもうなくなる、ということなのだが、英語をそのまま読めば「インテル裏返し」とも読める。
記事を読むと、これは単なるロゴの変更だけではなく、インテルという会社自体を大きく変革するということらしい。そして、それを推進しているのは、「キムチを食べるアメリカのビジネスマン」として既に有名であるらしいCMO (Chief Marketing Officer) のエリック・B・キム氏だということである。
キム氏は、1954年のソウル生まれだが、11歳の時に一家でロサンジェルスに転居、UCLAでエンジニアリングを学んだ後、ハーバード・ビジネス・スクールで経営を学んだ。ロータス社勤務などを経て、ベンチャー企業の経営者をしていたところ、サムソン社に目を付けられて、1999年に同社に入社。それからのサムソンが、世界的におしゃれな広告宣伝に打って出て、今やソニーにも並ぶサムソン・ブランドを確立させた張本人が、この人であるらしい。そういうスーパー・スターが昨年9月、再びアメリカに戻って、インテルに入社、「新しいインテル」をプロデュースしに掛かった。
インテルと言えば、選りすぐりの技術者集団だ。しかし、今年の5月にCEOの地位に付いたのは、文系出身のポール・オテリー二氏である。彼は、就任後、マイクロ・プロセッサーを設計する超エリートのエンジニア部隊をバラバラにし、複数の事業部を一気に立ち上げた。インテルの主戦場はパソコンなのではなく、家電、携帯、医療等々、インテルの技術を必要とするところはどこでもだ、という布陣を敷いたのである。
そういう動きに、インテル創立者のひとり、超有名人のアンディ・グローブ氏はご満悦だと言う。いつも過去の自分を否定しながら、イノベーションを続けて来た人物だ。自分たちが築いて来たマーケットから離れて、インテルが次に向かって移ろうとするのを素直に喜んでいる、と言う。
才能のあるところには、別の才能が集う。まるで、生きた三国志を見ているようである。

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