サンクスギビング・デーである。この日、ほとんどの店は休業となり、各家庭では七面鳥を囲む。かつてピルグリム・ファーザーズがアメリカにやって来て、そのまま飢えて、全員が死ぬかとまで覚悟をしたのに、神は彼らを助けて収穫をもたらし、この地で暮らし、繁栄することを約束した。その神の恵みに感謝する一日である。
そうは言ってもアメリカ資本主義はたくましい。静かな一日を過ごすのは今日だけで、明日からは、激しいホリデー商戦に突入する。シリコンバレーでヤマダ電機に相当する「Fry's」でも明日は午前5時から店を開けて大セールをする。今日は道も空いているが、翌日は早朝からショッピングのクルマで混雑するのが恒例である。
その商戦で意を決して買いに行っても、まず手に入らないと言われているのが、昨日の記事の「Xbox360」である。発売当日でも、予約券を持っていた者以外はほとんど買えなかった。購買者はじりじりしながら争って買うしかない。それなら、もっとたくさん作っておけば良かっただろう、との批判もあると思うが、そうもいかない。
ある調査会社が、早速ネット・オークションで1台ゲットし、装置を分解した。その結果、この装置の製造コストは、ハード・ディスク付きの定価$399のモデルで$553と算定された。つまり広告宣伝費などを全く考えなくても、その製品は1台売るたびに$154づつ損をするようになっているのである。ハード・ディスクのない定価$299のモデルでも原価は$310であり、決して儲からない。この手の商売は、「髭剃りと替え刃」商法と言われる。髭剃り1本を損して売っても、継続的に替え刃を買ってもらえば、結局儲かる、という仕組みだ。このゲーム機用のソフトが1本売れれば、マイクロソフトには$7から$8の収入が入るし、自分でソフトを作ればもちろん(売れさえすれば)ぼろ儲けとなる。同じ商法は、プリンタとトナーの関係もそうだし、日本ではエレベータの商売がそれで、いったんエレベータを設置してしまえば、毎年法定の定期保守のため、自動的に儲かる。
ところで、「i-Pod Nano」用にフラッシュ・メモリーを入れているSamsungにダンピングの調査、との記事もあった。確かにあの値段を見れば、メモリーだけ取り出して使っても得なくらいだ、と思える。
皆さん、結局は金儲けを目指すのだが、消費者としては、とりあえず安いものが手に入る。そういうことも含めて、神に感謝すべき日であろう。

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