ゆえあって昨日は、書類の廃棄という作業をした。ドキュメント・デストラクションを業とする会社に電話すると、目の前でシュレッドするのと、持ち帰ってシュレッドするのとふたつのサービスがある、というので、折角だから目の前でシュレッドするのにしてくれ、と頼んだ。
ほどなくして登場したのは、コサック兵のように濃密な黒ヒゲを蓄えて腹の突き出た屈強な男と、河童の沙悟浄のような頭髪の中央アジア系筋肉質男の二人組。棄てたい紙の束が机の上に山積みになっているのを見せたところ、「OK」と納得して、彼らは運転して来た大型トラックに戻り、サンタクロースが持ち歩くような袋を5−6個とキャニスター付きのカートを持って来る。紙の束をばさばさと袋に詰めると、カートに放り込んで、まず回収が終了。次いで、トラックに戻ると、トラックの運転席の後部を開ける。すると、そのスペースには、何やら書類投入口があり、メーターもある。課金のために処理した紙の重量を測るのだそうである。
俄かにコサック兵の方がクルマのエンジンを掛ける。おいおい、ドアも開けたままでどこかに行く積りか、と見ていると、ディーゼル・エンジンを掛けたのはシュレッダー装置のスイッチを入れるためだった。このトラック、エンジンは走るためだけでなく、巨大シュレッダーを動かす動力源でもあったのである。紙が轟々と音をたてて裁断されると、それらは大型トラックの荷台部分に吸い込まれて行く。改めて見ると、一見大型トラックなのであるが、実は、これ自体が一個の巨大なシュレッダーであって、今はただその目的のために、ディーセル・エンジンがうなり、紙が裁断されているのだ。
料金を告げられて、請求書が行きますから、と言われ、その作業は終わった。後には面白いものを見た、という満足感が残った。

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