慈悲も慈愛もほぼ同じ意味の言葉である。
あえて「字」の違いから解釈すれば、
慈は「楽を与える」、悲は「苦をぬぐい取る」、愛は「支える」であるから、慈悲はプラスする行為とマイナスする行為の両者であり、慈愛はプラスを重ねる行為である。
四苦八苦、「四苦」とは「生老病死」、
「八苦」とは、生老病死の四苦に「愛別離苦」「怨憎会苦」「求不得苦」「五陰盛苦」の四苦を加えた八つの苦のこと。
「苦」は、存在が存在しうることになる引力、執着の機能がそのまま我欲となって現れたものと現実とのギャップによって引き起こされる。
現実世界と我との関係が我の思い通りになれば、「苦」はほとんど解消されるが、個対多の構造の中でそれは非現実的である。
より強く、より大きく、より富んだ自己を追い求める限り、もしくは築き上げてきた今にしがみついている限り、「苦」が消えることはない。
逆にいえば、「苦」が消えない限り、夢は常に一歩々々現実化していることにもなる。
ただし、いつ消えるかはわからない。
苦から逃げるか、苦を飲み込んでしまうか、何が正しいわけではない。

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