「四苦八苦」は、生老病死の四苦と愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五陰盛苦を言う。
「生」そのものが「苦」であるのは、進化した人としての「原罪」なのであるが、これにより、意識の進化速度が他の存在よりスピードアップしたのは間違いのないことだろう。
自己を確固たるものへ、強い存在し続ける存在へと高めていくこと(富、地位、名誉など)では「苦」から逃れることはできない。
それは「失うことへの恐れ」が強くなっていくからである。
「苦」から「楽」への転換を意図しているにも関わらず、それは「苦」を拡大するに過ぎない。
「貧困」は「将来への不安」を生み出し、やはり「苦」となる。
「楽」を得るためにはどうしたらよいのだろうか。
「苦」を消滅させた結果が「楽」であるというのは間違いである。
「楽」を求めないことで「苦」は消滅する。
「楽」がなければ「苦」などない。
魂の世界、すなわち彼岸と呼ばれる世界は、思ったとおりに全てが変わる世界である。
夢を意志どおりに変えて見ているようなものである。ただし、現世に強い執着、執念、呪縛、憎しみなどを有した魂は、これにしばられてしまう。
思い通りになる彼岸と思い通りにならない此岸。
此岸すなわち現世に「苦」がない、すなわち彼岸のような世界であったなら、「楽」を目指すこともなく、より良い人生にしようとする意識すらわかないだろう。
「苦」のない現世などない、ないからこそ現世の意味がある。
そして現世の苦は「業」によって深くもなれば、浅くもなる。
より良く生きていくことだけが「苦」を浅くしていく。

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